目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「ひとがた流し」 北村薫

2006年08月04日 | 読書
さきちゃんが高校生になって帰ってきました。

朝日新聞で連載されていた小説が単行本化。
「ひとがた流し」 (北村薫 朝日新聞社)

連載が楽しみだー!と息巻いていた私も、
毎度の日々の忙しさにかまけて、第二章くらいで挫折
・・・とほほ。
単行本になってしまうと、毎日入っていた
おーなり由子さんの挿絵が見られないのが残念です。
優しい色合いの装丁に、透明な帯がかかっていて綺麗。

千波、牧子、美々という四十代の女性3人を中心に、
その娘や夫たち家族を交えた物語。
生活も落ち着き、いろいろな人生経験も重ね、
充実した時であろうこの時期に、
3人は大きな転機を迎えることになります・・・。

”さきちゃん”は北村さんの作品、
「月の砂漠をさばさばと」で主人公だった
小学生の女の子でした。
牧子(作家)の娘で、今回は高校生になっている、という設定。
お父さんはいません。

千波は”女子アナ”なんて職業が一般的でなかった頃から
その仕事に一線で取り組んできた人。
お母さんを看取り、未だ独身。

美々には、写真家の夫と、大学生の娘・玲がいます。

幼馴染の3人は、不思議な縁で近い場所に住み、
お互いの家を行き来したり、ことあるごとに
集まったりしています。
お互いを思いやり、近すぎず遠すぎない距離を保ちながら、
長年の付き合いで自分の役割を心得ているのです。

一歩間違えばお節介に思えることも、
性格を知り尽くした友達だからこそできること。
そんな関係が少し、「トラベリング・パンツ」を思わせました。
友達のありがたみや、自分を支えてくれる人の
深い愛情が心に染みます。

北村さんは、千波の病名と、”涙”という言葉は
意図して使わなかったといいます。
安易なお涙頂戴だというイメージを与えないためでしょうか。

人生って 思いもよらないことがたくさんあって
後悔することもたくさんあるけれど、
少しでも 後悔を少なく、充実した毎日を
生きていけたらいいなぁ。

北村さんの小説には珍しいラブシーンにも 
なんだか泣けてしまいました。

きれいな水を一息に飲んだような気持ちになれる小説です。
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2 コメント

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読んでませんが (mさと)
2006-08-13 10:19:20
とても好感が持てるストーリーのようですね。



「幼なじみ」と言うと、「金曜日の妻たち」を思い浮かべてしまいましたが、もっとさっぱりしたお話のようで。。



年代の設定もワタシに近いモノもありますし、つい最近、初恋の女性の旦那が病死したことを知らされて、少し心が震えたことを思い出しました。



読んだ方が良いかなぁ。。(^^ゞ

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さらっとしてます (☆kino)
2006-08-13 18:02:08
>さとさん

穏やかで細やかで静かな物語です。

ガチャガチャしてないんですよね。そこが北村作品の良いところです。



だんだんと、身近な人の訃報に接することも多くなってきました。

悔いのない人生を過ごしたいですね。

図書館ででも借りてみてください!
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