「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」 入魂！

ゴールデン・グローブ賞で主演2人がダブル受賞ほか、
各映画賞でも数多く賞を獲得！
ということで　楽しみに観てきました！
（しかし、超話題作だし！と日曜朝イチのシネコンに行ったらば、
お客さんは10人弱でした。えっ？？）

幼い頃　兄を亡くしたトラウマを抱える音楽好きな青年、
ジョニー・キャッシュ（ホアキン・フェニックス）は、
セールスマンとして働くも、音楽への想いを捨てられない。
やがて、彼の歌が世に認められ、ミュージシャンの道を歩みだす。
子供の頃からの憧れだった　ジューン・カーター
（リーズ・ウィザー・スプーン）とも同じステージに立つようになるが・・・。

評判どおり、主演2人の演技と歌声は入魂！って感じで、
演技ということを忘れてしまうような、素晴らしいものでした。

器用でクレバーな印象があるリーズの上手さには今さら驚かないけど、
歌は　コブシ（？）が効いててホントに上手かったなぁ～！！
黒っぽく染めた髪型や'50sの衣装もとてもよく似合ってました。
感情だけに流されない、芯の強いしっかりした女性を無理なく演じてました。

そしてホアキン！よくぞがんばりました。うんうん。
彼は亡きリバー・フェニックスの弟で、女優サマー・フェニックス
（「ディナー・ラッシュ」）の兄で、昔はホアキンじゃなくてリーフ
って名前だったよなー　といつもセットで思い出します。
（さすが　ヒッピーな両親。子供の名前が
リバー・レイン・リーフ・リバティ・サマー！）

「グラディエーター」「クイルズ」以降　気になる俳優の1人です。
金髪でスっとした顔立ちのリバーとは似ても似つかぬ
ゴッツイ系の顔とカラダも　結構好きだったりします。
不器用で、いつも悲しそうで、暗い狂気を秘めたような目が
とっても気になるのであった・・・。

前作「炎のメモリアル」では　ぼってりした岩石岩男体型だったのが、
実在のシンガーを演じるにあたってのカラダ作りの成果か、
シャープでちょいワルで、セクシーさを醸し出しておりました。
歌は・・・上手いんかな？ビミョウな気もしましたが、
魂のこもった、なりきり熱唱で、気持ちは熱く伝わってきたのは確かです！

荒れまくったジョニーが、楽屋で洗面台をぶっ壊すシーンは、
台本になくて、ホアキンのアドリブだというから・・・
かなり憑依してましたね。ええ。

・・・とまぁ、主演2人の素晴らしさは枚挙に遑がないのですが、
ストーリーの方は、予告から想像してたのとは　ちょっと違ったな。
最近までご存命だった人の、実話に基づく話なので、
リアルさがあってよかったのですが、それが　ちょっと話としては
退屈な感じもしました。
ロマンチックなラブストーリーというより、
丁寧にマジメに作られている　ドキュメンタリー風映画かな。

でも、私が不満だったのは、ジョニーのお母さんと、奥さんの描き方。
歌が好きで優しくて、ジョニー兄弟に大きな影響を与えたと思しき
お母さんなのに、大人になってからのジョニーと
ほとんど口もきかないのはどうしてなんだろう・・・。
子供の頃からの溝を深める父と息子の間に立つ気配もないし。
（そのぶん　ジューンの両親がいい味出してます）

ジョニーの父親役のロバート・パトリックも、すっかりオジサンになりました。
「ターミネーター２」の水銀男です。

このストーリーは、ジョニーとジューンの長きに渡る
友情と愛情を描いているんだけど、ジョニーと奥さんの関係に
どうも　納得できないものを感じてしまいました。
ジョニーとジューンが　紆余曲折をへて結ばれた後、
末永く添い遂げたのは　ホントによかったんだけど。

そりゃ、ジョニーの生き方を理解しないお嬢さん育ち風の
奥さんとだんだん心が離れていくのもわかりますよ。
でも、親に反対されながらも、ジョニーの押しの強い求婚に応じて
結婚したんでしょう？たぶん半ば勘当されたような形で。
売れない時は　お金がなくて大変だし、
売れたら売れたで　旦那は仕事で家にいないし、
子供のことをそれほど大事にしてるようにも感じられないし。

家庭を顧みない旦那が、他の女の写真を飾ろうとした日にゃー
そりゃ　奥さん、怒るわ。

と、あんまり本筋じゃないところが気になってしまった私ですが
そういうところよりも　2人の歌声に酔いしれましょう。