針
安積 得也
お人好しの針
どこにでも割って入り
どんなぼろでも縫い合わせる
勇気のある針
曲がるくらいなら折れてしまう
威勢のいい針
無限の糸を尾に引いて
縫って行く縫って行く
私たちの心の奥に
自分自身を育ててゆきたいという願いがいつも生きていれば
・・・ 教えはどこにでも見いだせるのだろう。
庭を掃いていた時 竹に小石がはねとんで
その音で悟りをひらいたとか
桃の花のひらくのを見て
悟りをひらいたとかいう禅僧があるが
いずれも 心のうちに平素あたためてきたものが 時熟して
小石が竹にあたる 桃が花ひらくという縁を得て実を結ぶのであろう。
小石や花に特別な意味があるわけではない。
これに意味を見いだすのは
私たちの心の中に生きつづけている願いであるはずだ。
この人は平凡な縫い針の中に教えを見いだしている。
よそ行きの衣装だから
ぼろだからというえりごのみをせず 無心に縫う。
縫って役に立つものをつくる。
それをつくることに自身を役立てて
役目が終わればただちに針山にもどって
・・・ 次の役を仰せつかるまで黙っている。
その針は 真っすぐで 正直で
・・・ 自分の利益のために妥協することを知らぬ。
文化は進んで 蛮勇は減ったが
節操を貫く勇気にいたっては 針に対してはずかしい。
自分の仕事の跡をはっきりと残してゆく。
いわゆる先達とは この針のような存在であろうか。
その人は亡くなっても 業績が人々の心の中に生きて残っている。
仕事が生きつづけて行くのを伝統というのであろうが
伝統をきずきあげた人の尊さが
・・・ 一筋の糸の跡目にも感じさせられる。
* 2010.11 東ブータンで
安積 得也
お人好しの針
どこにでも割って入り
どんなぼろでも縫い合わせる
勇気のある針
曲がるくらいなら折れてしまう
威勢のいい針
無限の糸を尾に引いて
縫って行く縫って行く
私たちの心の奥に
自分自身を育ててゆきたいという願いがいつも生きていれば
・・・ 教えはどこにでも見いだせるのだろう。
庭を掃いていた時 竹に小石がはねとんで
その音で悟りをひらいたとか
桃の花のひらくのを見て
悟りをひらいたとかいう禅僧があるが
いずれも 心のうちに平素あたためてきたものが 時熟して
小石が竹にあたる 桃が花ひらくという縁を得て実を結ぶのであろう。
小石や花に特別な意味があるわけではない。
これに意味を見いだすのは
私たちの心の中に生きつづけている願いであるはずだ。
この人は平凡な縫い針の中に教えを見いだしている。
よそ行きの衣装だから
ぼろだからというえりごのみをせず 無心に縫う。
縫って役に立つものをつくる。
それをつくることに自身を役立てて
役目が終わればただちに針山にもどって
・・・ 次の役を仰せつかるまで黙っている。
その針は 真っすぐで 正直で
・・・ 自分の利益のために妥協することを知らぬ。
文化は進んで 蛮勇は減ったが
節操を貫く勇気にいたっては 針に対してはずかしい。
自分の仕事の跡をはっきりと残してゆく。
いわゆる先達とは この針のような存在であろうか。
その人は亡くなっても 業績が人々の心の中に生きて残っている。
仕事が生きつづけて行くのを伝統というのであろうが
伝統をきずきあげた人の尊さが
・・・ 一筋の糸の跡目にも感じさせられる。
* 2010.11 東ブータンで