僕にとって未知の国、ドイツ&オーストリアは刺激的だったし、
あらためてヨーロッパ文化やキリスト教の奥行きの深さを感じることができた。
僕は当然、日本文化に誇りをもっているし、禅や侘寂(わびさび)などにほのかな憧憬の念がある。
しかし、ヨーロッパ文化の荘厳さを目の当たりにすると、
わずかではあるが、気後れみたいなものを感じてしまう。
矛盾するが、気後れの後には、また、自国への愛が沸々とわき上がってくるのを今回感じた。
やはり、異国を旅することはたのしい。
ロックバンドのベテラン・ベーシストのようなユーゴ人 チボーさんの運転で、
ドイツ・フランクフルトからオーストリア・ウィーンまでの気の遠くなるような長距離を、今回の旅では移動した。
そのチボーさんとも別れを告げ、いよいよ日本への家路につく。
ウィーンのホテル→ウィーン国際空港→フランクフルト国際空港→関空→福岡空港→自宅
をノンストップでイッキに帰る。
所要時間は、23時間。
幻影のなかで夢を見つづけていたような旅が、今、終わろうとしている。
瑞々しい気づきと若くてキレイな感動をあたえてくれたこの旅も、
やがてアンティークなリズムを奏ではじめるのだろうか?
『独墺紀行』 完