歳末恒例の今年1年の世相を表す漢字1文字に「災」が京都清水寺で発表されました。2018年は台風・ハリケーン・サイクロン、豪雨・洪水・熱波・干ばつ・山火事など世界の各地で災害が多発した年です。限界集落の当地でも杉、ヒノキなどの大木が豪雨、台風で根こそぎ倒れる被害が発生しました。主に経済優先の人為の活動による温室効果ガスの排出が起因しています。
最近発表された「Science Advances」誌の 論文にこのまま地球温暖化が続けば気象災害は2100年までに1.5倍に増え最大で3倍になる恐れがあると指摘されています。台風やハリケーンなどの熱帯帯低気圧の移動速度が数十年前より遅くなり、大きな被害をもたらす事が明らかになった。熱帯低気圧が遅くなる事は風速が変わらず移動速度が遅くなり同一場所が豪雨などにより先鋭化した災害をもたらすのです。
西から東に吹く寒帯ジェット気流は北極圏の寒気と熱帯の暖気の温度差によって生じます。北極圏の温暖化は他の場所より2~3倍も進行し気温差が小さくなりジェット気流の流れが遅くなるのです。ジェット気流の流れが遅くなり特に夏の間は蛇行し停滞するのです。北極圏の温暖化が進み気圧の勾配に変化が生じ熱帯高気圧を移動させる風も弱まっているのです。このまま化石燃料を燃やし続ければハリケーン・ハービーのような停滞型の熱帯低気圧が増え激しい大被害が予想されるのです。
先進工業国の大気汚染物質の排出量を削減し中緯度と北極圏の温度差をある程度回復できればジェット気流は比較的弱まらず異常気象は抑えられるとも指摘されています。先進国が率先して温室効果ガスを削減し後進国も追随し戦争、紛争、貧困、犯罪、事故も回避し国家も個人も「災い」を最小化し幸多い地球人生活に最大限の努力をしたいものです。
写真は広島豪雨災害 日経新聞転載
記事参照 National Geographic