歴史的、地政学的に根深く凄惨(せいさん)なパレスチナ戦禍の先が見えない。イスラエルの国連決議違反や人道無視の横暴が国際世論の非難を浴びています。パレスチナ、ガザの積年の領土やパレスチナ人抑圧が今回のハマスのテロを誘発したのです。戦禍の報道は多いので割愛。中東情勢と「抵抗の枢軸」について考えてみます。
抵抗の枢軸は中東各地でイラン(イスラム教シーア派)が支援する武装組織のネットワークを指します。中東情勢を理解するにはイスラム教シーア派とスンニ派、イスラエルのユダヤ教の宗教対立も根底にあります。イスラム教の宗主国の大国はシーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアです。上図のようにシーア派、スンニ派の国別、国内%になっています。
イスラム教のシーア派とスンニ派の違いは7世紀頃予言者ムハンマドの後継者アリの後継者争いで2派に分裂した。ムハンマドの言葉や行動、習慣を重んじるスンニ派とムハンマドのいとこのアリの血統を重んじるシーア派の違いです。全イスラム教徒の多くはスンニ派でサウジアラビアは約85%、シリアでは約70%です。統治するアサド政権はシーア派に近い宗派です。
イランでは約90%、イラクでは約60%がシーア派です。大国のイランとサウジアラビアの違いはイランが1979年の革命でシーア派が王政を倒した事です。サウジアラビアはシーア派が革命を起こす敵とみなすようになったのです。内戦状態のシリアではシーア派に近いアサド政権を支持しサウジは反体制派を支持しています。イエメンではサウジが政権を支持しイランはシーア派武装組織を支援し内戦状態です。
国別にみるとシーア派の多い国はイラン、イラク、レバノン、アゼルバイジャン、バーレーン、アフガニスタンにパレスチナもです。スンニ派の多い国はサウジアラビア、パキスタン、アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーン、カタールです。
今ガザ、イスラエル戦争に参戦もしくは同調している「抵抗の枢軸(すうじく)」はパレスチナのハマス、レバノンのイスラム教シーア派のヒズボラ、イエメンの反政府勢力のフーシ派、カタイブヒズボラやイラクやシリアの民兵組織が含まれます。
世界史は戦い、侵略、戦争、植民地化等の歴史です。抵抗は目に余る強い者の横暴があるからです。ナチスもユダヤも冷徹です。仏教徒のような寛容や慈悲が希薄です。教育をし情報やAIが進化しても支配や軍拡や戦争を克服する英知が一部の指導者に備わっていない。
中東もウクライナも諸々の価値観の違いを乗り越えや武力や我欲を捨て停戦、和解をし平和を希求して欲しい。
写真はDMTVの転載です。