お化けダンダン
都市伝説ってあるじゃない。人面魚とか口裂け女とか、東京の下水には真っ白くて巨大なワニが住んでいるが、それはペットが逃げ出して何世代にも渡って繁殖したもの、とかいうたぐい。それの地域限定、年齢限定版があるとしたら、今は無き横浜市立戸部小学校、四年一組の生徒にとって『お化けダンダン』がそれだった。
お化けダンダンは通学路にある、石積みの急な階段で真ん中に鉄の手すりがついていて、下から見ると途中からは真っ直ぐだが、最初のうちはらせん状に広がっている。昼間は何の変哲もない退屈な階段だ。通学路といっても一部の生徒しか使わないし、お化けダンダンを避けて回り道をすることも出来る。お化けダンダンを登って坂の上に出ると、意外なほど視界が広がっていて、頂上から両方向に市街地が見下ろせた。丘の上には大きな煙突を持つ銭湯があって、そこは同級生のおませなxxナベちゃんの家だった。丘伝いにはいくつか同級生の家があった。自分の家は学区の外れでお化けダンダンは通らない。
そこでは、夜おじいさんを見たら、実は前日に亡くなっていた、といった怪談がささやかれていたが、そういう話しは女子の方がよくしていた。朝登校したら女子が異様に盛り上がっていた。勉強は今一つだがクラスの世話役的な女の子が、前の晩担任の先生(もうおばあさんだった。)が犬を何頭も引き連れ、お化けダンダンを歩いている姿を見た。その姿は光って見えた、と大騒ぎ。結局、先生に昨晩どこそこ方面に出かけましたか、と聞いていたが、先生の「どこへも行っていません。」の一言で静まった。
お化けダンダン、この濁音の多い階段を十代の終わりにたまたま通ったら、景色は大して変わっていなかったが、何とも貧相で何でもない階段だったのでがっかりした。あと丘の上の銭湯は無くなっていた。子供の時、夕暮れ時に通ったお化けダンダンの「ああ暗くなる、どうしよう、早く」といった緊張感、あれは何だったんだろう。どこに行ってしまったんだろう。
都市伝説ってあるじゃない。人面魚とか口裂け女とか、東京の下水には真っ白くて巨大なワニが住んでいるが、それはペットが逃げ出して何世代にも渡って繁殖したもの、とかいうたぐい。それの地域限定、年齢限定版があるとしたら、今は無き横浜市立戸部小学校、四年一組の生徒にとって『お化けダンダン』がそれだった。
お化けダンダンは通学路にある、石積みの急な階段で真ん中に鉄の手すりがついていて、下から見ると途中からは真っ直ぐだが、最初のうちはらせん状に広がっている。昼間は何の変哲もない退屈な階段だ。通学路といっても一部の生徒しか使わないし、お化けダンダンを避けて回り道をすることも出来る。お化けダンダンを登って坂の上に出ると、意外なほど視界が広がっていて、頂上から両方向に市街地が見下ろせた。丘の上には大きな煙突を持つ銭湯があって、そこは同級生のおませなxxナベちゃんの家だった。丘伝いにはいくつか同級生の家があった。自分の家は学区の外れでお化けダンダンは通らない。
そこでは、夜おじいさんを見たら、実は前日に亡くなっていた、といった怪談がささやかれていたが、そういう話しは女子の方がよくしていた。朝登校したら女子が異様に盛り上がっていた。勉強は今一つだがクラスの世話役的な女の子が、前の晩担任の先生(もうおばあさんだった。)が犬を何頭も引き連れ、お化けダンダンを歩いている姿を見た。その姿は光って見えた、と大騒ぎ。結局、先生に昨晩どこそこ方面に出かけましたか、と聞いていたが、先生の「どこへも行っていません。」の一言で静まった。
お化けダンダン、この濁音の多い階段を十代の終わりにたまたま通ったら、景色は大して変わっていなかったが、何とも貧相で何でもない階段だったのでがっかりした。あと丘の上の銭湯は無くなっていた。子供の時、夕暮れ時に通ったお化けダンダンの「ああ暗くなる、どうしよう、早く」といった緊張感、あれは何だったんだろう。どこに行ってしまったんだろう。