旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

石持大漁

2018年04月16日 18時24分39秒 | エッセイ
石持大漁

 一投目から当りが出た。釣れ上がったのは、トラギスだったかハゼだったか。どのみち大した獲物ではないが、幸先が良いじゃないか。海の底は食い気がいい。

 京浜大津、春の早朝、ボートでアジを狙った。ま、アジはターゲット代表。釣れればキス、メゴチ、カサゴ、ベラ、カレイ、ウマヅラ何でも良い。但しフグやハオコゼ、ヒトデはいかん。
 ボート屋で聞くと、イシモチが出ているらしい。手前から2つ目の海苔しびと言うから、たいして沖じゃあない。京浜大津は水深が深い。岸からちょっと沖へ漕ぎ出すと、直ぐに水深が2-30mになる。錨の上げ下げが大変だ。
 さて今までの経験から、沖に行けばよいとは限らない。時には、テトラで釣っている人の投げる重りが届くほどの所で入れ食いになったりする。海苔しびは、沖に向かって4段に設置されていたから、2段目はちょい沖だ。
 内湾を出て、猿島に向かって右側に移動する。旧市営プールの所がよい。海底が岩礁なので、根掛かりは多いが魚種が豊富だ。メバル、カサゴ、アイナメの類いが釣れる。ボート屋の親父がびっくりするほど大きなキスも、あの辺で釣った。
 旧市営プールまで横移動、2つ目の海苔しびまで縦移動。もちろん斜めに漕ぐわけだが、たいした距離じゃあない。海苔しびと隣の海苔しびの中間にボートをもって行き、錨(コンクリートの塊)を投入した。

 仕掛けは胴つきにして、重りからキス狙いの底を這わす針を1本伸ばす。もう一本の竿はサビキにしてアミコマセの袋をつける。最初は何が来るか分からないからね。リールをフリーにして、8号の重りが底に着いたら、ちょい巻いて糸ふけをとる。
 1本目の竿を出して、2本目の仕掛けを用意していると、カッカッカと置き竿に小さな当たりが出た。巻き上げると先ほどのトラギス。エサはアオイソメ、点検して再投入。
 おっとサビキに当たりだ。おっおっ結構いい引きするじゃん。銀色の魚体が現れた。イシモチだ。いいぞ。小アジ用のサビキの針が一つ抜けている。これじゃあ駄目だ。大きな獲物に逃げられる、とサビキを外して胴つきにする。

 おお、向こうの竿がガクガクいっている。イシモチの当りは鮮明だ。15-25cmはあるから引きも良い。まあ一本調子の引きではあるが。アジならもっとククッと引く。アイナメならクイ、クイっと首を振る。
 底物狙いの針を外して、竿2本とも胴つき2本バリにする。針3本でも良いが、ここは取り込みのスピード重視。重りは10号に変更。

 It's showtime! 入れ食いタイムが始まった。正味30分ほどだったと思う。仕掛けを降ろして底立ちしたら、いきなりガッガッと当り。合わせを入れて2巻きほどして、ボートに竿を置き、別の1本を巻き上げる。こちらはさっきからガクガクしている。魚を取り込み、仕掛けを確認してリールをフリーに。置き竿を巻き上げ、魚を取り込み、仕掛けを降ろす。別の竿の重りは底についているから、リールを2巻き、おー、もう食っているじゃん。
 忙しいこと。時には2匹掛け、これは重くて竿がしなる。ウヒャー、たまらん。今日来てよかった。手はズボンは、イチモチのうろこで真っ白(銀色)。イシモチは、浮袋を口から出し、グッグッと鳴く。大きいの小さいの、とにかく釣れる魚は全てイシモチ。

 本当に不思議なんだが、俺がメチャクチャに釣れまくっているのを見たオッサンが、ボートを寄せてきて10mほど離れて釣り始めたが、そんなに釣れない。ポツリポツリと探り釣り。イシモチは、群れでいるんだろうが、よほど1ヶ所に集中しているらしい。
 ああ、今日に限って小さなクーラーBoxで来てしまった。この魚は淡泊だが、塩焼きにすると美味い。刺身もよいが味が薄い。酒蒸しがよい。ただ煮るのと揚げるのはどうもね。アジに比べると調理のバリエーションは少ない。

 狂ったような入れ食いは、突然パタっと止んだ。多分群れが去った、というより食事タイム(潮が動いてプランクトンが活発に動く時間)が過ぎたのと、ボートが流されたのだろう。錨を入れておいても、ボートは結構移動するものだ。
 小さめのクーラーが満杯になり、ビニール袋も使って獲物を持ち帰った。しばらくはイシモチ塩焼きの日々が続いた。自分の釣った魚は格別に美味しい。