ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

カチカチ

2008-09-13 12:20:57 | 透明水彩画インド
Copyright2008 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 
「ビチョーラ湖と宮殿」透明水彩画 30号F 2006年作
インド・ラジャスターン州、ウダイプル 

この絵を描いていた大きなガート(沐浴洗濯場)は、民家から離れた岬にあるので、とても静かでした。お城が目の前に見えて、ウダイプル庶民の憩いの場でもありました。夕方になると仕事を終えた人達や子ども達がワイワイやって来て、沐浴して体を洗い(パンツ付き)洗濯して、ついでに水泳してお喋りして家に帰ります。

絵を描いていると色々話しかけられますが、ウダイプルの人はラジャスターン州の中でも一番絵が好きみたいで、 「集中したいから今喋れないんだ!」 って言うと、あんがい素直に聞いてくれます。

それでもシツコイ人はいるもので、そんな時は鳥が歌っていると思って、ひたすら耐えるしかありません。

11月にもなるとかなり寒くなり、上にセーターでも着ないと寒いぐらいです。
家にお風呂の無い庶民の方々は、選択肢が無いので湖で沐浴して元気に耐えていました。
が、かなり寒むそうです。思い切って泳いで、唇を紫色にして、歯をカチカチ鳴らして上がってきます。

そんな11月の晴れた夕方、ガートの側に座って絵を描いていると、たまたま人の気配がなくなりました。しばらく平和で贅沢なひと時です。 

「邪魔されずに絵を描くのって最高~♪」

しばらくして、後ろに回したウエストポーチを誰かが引っ張ります! 
しつこいので、 「こらっ!」 って振り向いたらリスでした♪ 可愛い~

そこへお母さんと男の子2人(3歳と4歳ぐらい)がやって来まして、はじめ男の子2人は、私の絵をはしゃいで見ていましたが、お母さんに呼ばれて、体を石鹸でゴシゴシ洗われ、その後濯ぎで湖にジャポン!

「ひえー 寒みー 」

しばらくきゃっきゃっ言って、水泳してはしゃいでいました。

この幸せな世界を横目に、私はいつの間にか絵に集中していまして、・・・・
気がつくと私の耳元で 「カチカチカチカチカチカチ・・・・」 っと寒そうに歯の鳴るさっきの男の子がひっついてきました。私の耳に彼のホッペが当たるぐらいにくっついてきて、彼の呼吸とカチカチ音が生々しく、可愛らしかったです。
しばらく私の絵を眺めてカチカチ言った後、とても小さなささやく声で・・・・

「グッッ~ドゥオ♪  カチカチカチカチカチカチ・・・・」

耳元でささやかれてしまいましたが、心の声が聞こえたみたいで嬉しかったです。
その後すぐにお母さんに呼ばれて3人で帰っていきました。


おっさんだと  キモイかも~





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« インド・ジョードプルの凧上げ | トップ | インド・ラジャスターン州 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

透明水彩画インド」カテゴリの最新記事