ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

のどかな島④

2010-02-28 01:05:28 | 透明水彩画小浜島
Copyright2008-2010 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 「小浜島のヘリポート」 透明水彩画 小全紙(660×505) 2009年作 小浜島


小浜島に来て遊びつつも、相変わらず私の描きたいテーマはなかなか見当たりませんでした。

でも、
放牧牛に会えた喜び、雲が低いところを飛んでいく楽しさ、草が風にそよいでいる心地よさ、などの援軍を毎日眺めていましたら、ニッコリ絵が描きたくなってきまして、スケッチブックを片手に制作スタートいたします。

絵を描く時、まず第一に描きたい風景探し、第二にそのポイント周辺の日陰探しです。

が、困ったことに描きたいポイントを見つけましても、あたりに日陰がありません。
日陰や木陰の中で描かないと正直集中できないんです。
私は気を心の真ん中にボウル球のように一塊になってもらってから、その塊で風景を見、捉え、ゆだねて鉛筆を走らせています。
日にあたり、体が苦痛を感じ出すと気が体を助けようと飛んでいってしまい、どんなに気張っても戻って来てはくれませんし、
紙も白色ですからまともに目を焼き、ダメージを受けてしまいます。
小浜にはほとんど街路樹がないので、かなり困りました。

でも、
細いタイプですが電信柱が沢山生えていまして、その細い電信柱の影に人が一人ギリギリ入りますから、
この影を利用しました。(肩幅から手は出せない)

影は少しづつ日時計のようにどんどん動いていくので、私も合わせて動きます。
で、いづれ首だけが左向きになってしまい、これ以上首が回らないところでギブアップ!っす。 イテテテテェ~
電信柱の多くは、たいがい草むらから生えていたので、ハブがいないか十分に注意してから座ります。
で、安心して絵を描いていると、ムカデがよく足元を走っていきました・・・・シャカシャカシャカァ♪
あと背の高い草の影や、かろうじて立っている小さな街路樹の木陰なども私の仕事場になりました。


あっち~よ~
小浜の太陽




余談ですが、

インドの砂漠の町、ジャイサルメールでは日中50度もありますから、大きな樹の木陰でさえ絵を描くのは無理でした。
てっ言うか生きてるのが難しい!





にほんブログ村 美術ブログへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

のどかな島③

2010-02-26 00:04:08 | 透明水彩画小浜島
Copyright2008-2010 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 「庭あそび」 透明水彩画 4F(352×243) 2009年作 小浜島



小浜島に着いて初めのころは、大将の船でよく、釣りに連れてってもらいました。
全開通した鼻の中に入ってくる海の香りは珊瑚の匂いで、磯臭い本土の海より幾分軽い感じがします。

船で小浜をグルリと回るとけっこう時間がかかるし、また違う表情が見えるもので、
島はあんがい大きい。

海がめは船からだとよく出会います。マンタにも一度出会いました。

もちろん
絵の制作をサボって遊んでいた訳ではなく、「遊ばしてやるからこの後、必ず小浜のいい作品を描いてみせろよ!」的、先行ご褒美系充電と言うやつです。
ま~遊びました。もずく採りにも行きました。貝とりにも熱中しました。海の恵みを、おもいっきり満喫させてもらって、とっても楽しかったです。
もともと狩猟採取が大好きな私ですから、ビンゴ♪なんです。

これで絵が描けるようだったら、ずーと住んでもいいな~ 船舶免許取りにいかなな~
とか夢に思いつつ遊んでいました。


ひたすら遊びつつ、絵心が沸騰してくるのを、実は気づかれないようにチラ見しながら、手ぐすねを引いて待っているのでした。
フフフフフ・・・・


余談ですが
大将の船で
小浜島の南側海岸線から1.5キロほどの海上で、もずくの成長具合を観察していましたら、
大将の携帯が鳴り、

相手
「きょうは風もないしいい天気さ~」
「で、そこでなにしてんだ?」
「で、横にいるのは誰だ?」
大将
「あ~今度来た新しい従業員♪」

電話が切れた後、どこから見てたんだろうと周りの船を探しましても何も見えません。

まさか小浜じゃないだろうと思いつつ、遠く島の林の方に目をやると、
林の隙間から一瞬!白い軽トラが走り去るのを見てしまいました。(※ちなみに私の目は2.5♪です)

島はあんがい・・・・・小さい。





にほんブログ村 美術ブログへ
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

のどかな島②

2010-02-23 23:08:25 | 透明水彩画小浜島
Copyright2008-2010 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 「島の風」 透明水彩画 4F(352×243) 2009年作 小浜島(個人蔵)


小浜島の港に、私がこれからお世話になる料理屋さんの大将が迎えに来てくれていまして、
「よろしくお願いいたします♪」の後、
まず店まで案内されて、その後、島1週ツアーをしてくれました。

小浜島の面積は7.84k㎡、島の周囲16.6㎞、人口600人ぐらいで、水は西表島から、電気は石垣島から来てるそうです。
あと注意事項を教えてくれました。

ハブがいるから草むらとかジャングルには気を付けてね。
噛まれたら血清打たないと危ないし、バレーボールぐらいに腫れて、しかも痛み止めはまったく効かないからね♪
それから入ってはいけない神聖な場所がいくつかあるから注意してね。
入ると大変なことになるよ。
見れば分かるよ!

「???」


軽自動車で島1週30分ぐらいでしょうか?
思った以上にちっちゃーい島です。

集落は島の中心あたりにあって、駐在所とガソリンスタンドと商店が2軒と郵便局などがあります。
島のほとんどは、サトウキビ畑か牧草地帯で、あまり木や林がなく、少し殺風景な印象でした。
たまに伐らずに残されたがじゅまろの大木があると、ほっといいたします。


私がこれから小浜で住む場所は、島の集落から離れた人気の無い寂しい所で、
お店の横にある小さな屋根付シャワートイレ付のプレハブでした。


「ま~孤独な場所やな~でも絵描きに集中できるからいいね♪」


凄いもので、杉や檜の花粉が飛んでこない小浜島では、花粉症で詰まっていた私の鼻は到着から3日目にして半開通、
1週間目にはジェット噴射並みにエアーが通るようになりました。ふっふーぅぅぅぅん♪
あぁぁ 空気がうま~い。

鼻全開通までは想像以上に順調で、この勢いに乗って本題の行き詰まりも開通するのでは・・・・・・

なんて、甘くニヤケている何も知らない鼻詰まらない行き詰まりの私でした。




余談ですが・・・・

島には鳥居がいくつかあります。
そこは島の聖域で、巫女さんしか入れないそうです。
立ち入り禁止の立て札など全く無いのですが、
決して中に入ってはいけません。
入ると・・・・・

生きて島からは


出れな~い!!!


にほんブログ村 美術ブログへ
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

のどかな島

2010-02-22 11:25:36 | 透明水彩画小浜島
Copyright2008-2010 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 「ねずみの尾」 透明水彩画 4F(352×243) 2009年作 小浜島


大阪から小浜島までは、飛行機で石垣島まで飛んで、あとは船に乗って30分で到着します。
海外に画材を背負って出る大変さを思うと、とっても楽ちん。

石垣島は3月というのにもう半袖で、大阪では見ない南国のカラフルな花が沢山咲いていていました。
言葉はもちろん日本語なんですが、濃口顔の方が多く、
バスの運転手さんなんかにしゃべりかけると、違う国の人みたいに思えるから不思議です。
(島の方から見ると、私が薄口顔の日本語をしゃべる外人)
小浜島行きの船は高速艇で、ごう音とともに水しぶきを高く上げてモ~スピードで走っていきます。
時折エメラルドグリーンの海が見えると、私のホッペタが勝手に上昇していまい、嬉しさを抑え切れませんでした。
平べったい竹富島をかわして視界が開けると、次は小浜島が見えるはずなんですが・・・・・大きな島が見えてきます。

が、「こんなにデカイはずはない!」

小浜島はどこだろうと思ってキョロキョロあたりを見渡してみましたら、
デカイ島(西表島)にダブってわからなかった小さな丘みたいなのがどうやら小浜島らしく、やっぱりその丘みたいな島の桟橋に到着いたしました。

いよいよ荷物を背負って港に一歩足を下ろした瞬間! 最高に気持ちよかったです。
行き詰まりと鼻づまりの中、にっちもさっちもいかずに大阪を出て、行き着いた日本の端っこ。

西表島にダブってわからないぐらいの小さな島でしたが、
体当たりして木っ端微塵になれるぐらいの大きな相手がいるようで、
その時の私には、とても有り難い存在でした。



余談ですが・・・・・

小浜島のホテル従業員さんから聞いた話で、
ギボアイコさんが船で小浜島に来たとき、
船から小浜島を眺めて

「私、この島には降りれないわぁ 無理よ!」

と言って、船から一歩も降りずに石垣島に引き返した・・・・・


そうです。





にほんブログ村 美術ブログへ
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

牛に会いたい

2010-02-18 10:29:21 | 透明水彩画小浜島
Copyright2008-2010 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 「サニファー」 透明水彩画 4F(352×243) 2009年作 小浜島


行き詰って大阪を出る決意をしたあと、まず頭に浮かんだのが、

「牛に会いたい」です。

インド野良牛天国から帰国後、日本で一度も牛さんに会っていなかった私は、
牛恋しさが膨らみ、毎日モーモーと胸の中で泣いていたので、
せめて放牧されている牛のいる所で絵を描こうと思った訳です。

放牧された牛がいて、仕事と食事と住む所があって、絵を描く時間がもらえて、花粉症から開放されて、
おもいっきり遊べる自然がある場所。

むむむ・・・・・南西。

インターネットで沖縄の住み込みのアルバイトを検索すると、
沖縄県八重山諸島・小浜島の料理屋さんに、アルバイトの募集を発見いたしました。
すぐさま連絡して応募いたしましたら、OKをもらえたので早速行く事に。


もともと海が大好きな私は、
沖縄に行くのが初めてと言う事もあって、かなり興奮ぎみになってしまい、
もう画家として後がないぐらいに追い込まれて絵を描きに行くのに、
何故かスノーケリングの道具一式買い込み、
胸の中で泣いていたモーモー モーモーの泣き声なんかすっかり忘れて、
海の中で、ブクブク~ ブクブク~と、開通した鼻からもれる泡の音に酔いしれている私へと変わっていました。
絵の道具と合わせてダンボール箱3個で、送料1万2千円也。


あ~

青い海~

青い空~

そして・・・・・・

抜けるような~

鼻づまりからの開放♪


小浜島までモーすぐだ!    ブクブク~ ブクブク~








にほんブログ村 美術ブログへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いきづまりの決意

2010-02-15 15:45:36 | 透明水彩画小浜島
Copyright2008-2010 Kiyotaka Yamanaka.All Rights Reserved. 「がじゅまろの木」 透明水彩画 4F(352×243) 2009年作 小浜島(個人蔵)


小浜島に行く前の去年の今頃は、行き詰まりのピークでした。
何に行き詰まっていたかと言いますと、困ったことに絵の制作なんです。

絵が好きで、16歳から絵描きになろうと勉強してきて、
今更行き詰るなんて笑っちゃいますが、
原因は26歳の時にまでさかのぼります・・・・・。


ヨーロッパの風景に憧れていた私は、23歳の時に海外スケッチ旅行をして、
写真をバンバン撮って、日本に帰ってから写真をベースに制作いたしました。

が、あまかったぁ~。
絵を描こうとしているのに、看板ばかり描いてしまって、なんの勉強にもなりません。

で、思い直して現場で直接描くことにいたしました。

やっとお金が貯まった26歳の時に、ベルギーのブルージュに半年間滞在制作することが出来まして、
憧れの大好きな風景と会話しながら、幸せに現場で描くことをいたしました。
日本では得れない風景のエネルギーや、
統一され、代々引き継がれてきた手作りの町を愛する上品な人の心と言いましょうか、
そんなモチベーションが上がるすべての要素に圧倒され、どんどんヨーロッパが大好きになり、
恋い焦がれていきます。

で、これ以降、日本の風景を見ても気分が盛り上がらず、
描いても途中で冷めてしまい、作品に仕上げる力を無くしてしまった、
海外限定風景画家の完成に至った訳です。 バンザーイ!


で、海外制作するための滞在資金が用意できなくなると・・・・・。

しかたなくメソメソ日本(大阪周辺)を描き始め、
「エネルギーをもらえねぇ~」なんて非常に受身なセンスで苦しみます。

1年も掛けて完成作品ほとんど無し。

そんなこんなのいよいよ行き詰った去年の今頃
鼻で息が出来ないほどの花粉症に苦しみながら
近くの公園で毎日
あてもなく
白くて可愛らしい梅の花を
何枚も何枚もスケッチをして

ふと

決意。


「大阪を出~よおっ♪」



行き詰まりの鼻詰まりの行き詰まりの決意です。





にほんブログ村 美術ブログへ
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする