「なんとしても福島へも行かなければならい 」そう思い続けていました。
一昨年、郡山の郊外にある大玉村で里唄コンサートを行い、「ほんとうの空の村」という歌を創りました。これは言わずもがな、あの智恵子抄の有名な一節
「智恵子は東京に空がないと言ふ、ほんとの空が見たいと言ふ。智恵子は遠くを見ながら言ふ。阿多多羅山の上に毎日出てゐる青い空が智恵子のほんとの空だといふ。あどけない空の話である」からいただいた「ほんとうの空」をモチーフに創り上げた「里唄」です。
3番の歌詞に「虹が架かった 七色の虹 ほんとうの空に ほんとうの虹 ここが好きだよ 私の空」という言葉を入れました。
でも今、福島の上に掛かるのは「ほんとうの虹」ではないなのです。智恵子さんはどれほど嘆いていることでしょう。
午後1時半より郡山女子大学の芸術館で一般のコンサート。
沢山の皆さんがご来場してくださいました。コンサートを始めてみて驚きました。会場の雰囲気がとても明るいのです。とくにご婦人達。
ちょっとしたギャグにもゲラゲラと声を挙げて笑ってくれ、ノリのいいこと。福島はもともと東北の中では「明るい県民性」と言われますが、この状況下で、この明るさはちょっと感動的でした。
そして、福島のために創り上げた「涙と希望の村」を演奏すると、場内は涙で溢れました。会場の真ん中あたりにいたお父さんは、顔をぐしゃぐしゃにしながら泣きはらしていました。
そして、曲が終わると、割れるような拍手をいただきました。
郡山女子大のコンサートが終わるとすぐに20キロほど北にある大玉村に移動。大玉村にある仮設住宅集会場でコンサートをさせていただきました。
この仮設住宅は福島第二原発がある富岡町から避難してこられた方達が住んでおられるところです。狭い集会場にお婆ちゃんや、お爺ちゃん、お母さん達が溢れています。
ここは郡山に増してノリがいい。コカリナが鳴り始めると演奏中であるにもかかわらず「ウーン、いい音だ」、矢口が歌い始めると「キレイな声だ」と
合いの手を入れてくれる。なんとも、楽しくやらせていただきました。そしてここでも「涙と希望の村」を演奏、涙、涙で聴いてくださる皆さんを前に、こちらも涙ぐんでしまいました。
終了後「皆で歌っていきたいので楽譜が欲しい」と言っていただきました。
このコンサートには、東京コカリナアンサンブル、長野コカリナ合奏団、合わせて約20名のメンバーも同行「浜辺の歌」、「紫陽花」を演奏してくれました。
さらに、郡山周辺で活躍する「コカリナ愛好家」も一緒にステージに乗り、「ほんとうの空の村」を矢口周美の歌と共演してくれました。
福島にも行き続けなければ、と思っております。
明日からまた石巻、陸前高田に行きます。
