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愛しき生き物達と人間の営み・・・メトロポリタン美術館展

2012-11-30 22:31:31 | 一期一絵
メトロポリタン美術館と言えば・・・昔NHKのみんなの歌でありましたね。

♪タイムトラベルはたのし メトロポリタンミュージアム
  大好きな絵のなかに 閉じ込められた♪

この映像がインターネットの動画で見れないか、と探しましたが、オリジナルは見つからず、映像をセピアに変色し歌をJAZZバージョンにしたこちらがやっと見つかりました。
オリジナルは大貫妙子さんがビロードのような歌声で歌ってました。こちらで聞けます。

ちょっと不思議な歌でした。クレイアニメの映像も不思議ですよね。夜の美術館で女の子がミイラと包帯もちながら踊ったり・・・
でもこの美術館が絵画だけでなく遠い古代の遺物も収集している場所であることは理解できました。

初めて聞いたのは息子1が生まれ、NHKの子供番組を見るようになってからの事です。

そして11月29日、日本のメトロポリスでアメリカのメトロポリタン美術館展を見に行きました。


自然をテーマに生き物達や自然の風景など133点の作品が展示されています。
この美術展は生き物を作品にした展示が多かったので楽しかったです。
なのでインターネットで見つけたなかでも気に入った作品をいくつか紹介します。

最初はメソポタミア

「リラのための牛頭の装飾」紀元前2600~前2350年頃
上の右図がメソポタミアの竪琴リラです。こんなふうに牛頭がついてたんですね。かなり大きななリラだわ♪(図はこちらから転載させていただきました)
これも

「カエルの分銅」紀元前2000~前1600年頃
ホッコリとした顔立ちが癒やし系

次にエジプト

左が「黄金のホルス名の象嵌」紀元前360~前43年頃
右が「猫の小像」紀元前332~前32年頃
ホルスはヒエログリフ文字の一部だそうです。
そして猫はきりっとした顔つきでとっても素敵でした。ミニチュアでいいから家に飾りたいわ~♪
他にも石を彫ったカバの顔の一部、目から口鼻だけ残っている彫像がありましたが、とても特徴をとらえていて良かったです。

エーゲ美術では

「タコのあぶみ壺」紀元前1200~前1100年頃
思わず「タコツボ」とつぶやいてしまいました。よくまあこんなに完全な形に残っていたもんです。壺のタコはモダンな絵柄。お魚も描かれているのもいい感じです

時代は下って中世ヨーロッパ

左が「ライオンの水差し」1400年頃ドイツ
右が「ライオンの頭の兜」1460~1480年頃イタリア
ライオンは強さと権威の象徴。どちらも咆哮してます。
兜はかぶると開けた口の所に目がおさまるようです。長身のヘラクレス並みに逞しい騎士がかぶったのでしょうか。頭が重そう。
かわいらしいのもありました

「聖餐用のハト」1215~1235年頃フランス
キリスト教での儀式に使うパンを背中のふたをあけて入れたそうです。飼いならしたハトのように吊り下げて止まり木に乗っている風にして素敵ですね。

そして19世紀と20世紀

「カエルのモチーフの盆」1879~1880年アメリカ
ティファニー社の工芸品です。ジャポニズムの影響を色濃く反映してます。
当時装飾過多なビクトリア調の製品に見慣れた人々はすっきりとして構図のおもしろい日本のデザインに新鮮な風を感じ、とてもおしゃれに感じたのでしょう。

「ハイビスカスとオウムの窓」1910~1920年アメリカ
こちらもティファニー社。美しい曲線と色のステンドグラスはティファニー社の看板のような工芸品。やはり日本の花鳥画の影響をうけている。
外光を通してこのステンドグラスを見たら、オウムやハイビスカスがキラキラ輝いて綺麗でしょうね~。

「シロクマ」1923年頃フランス フランソワ・ポンポン作
真っ白な大理石の肌合いがシロクマにぴったり。かわいらしくそれでいて顔つきは媚びてない。
この展覧会では子供達が好きな作品をスケッチできる企画もされていましたが、小さな女の子がこのシロクマをスケッチしてました。傍には若いママさんが心配そうに見てましたっけ。
このシロクマの飴細工がミュージアムショップにありました。また流氷のような形の製氷皿に小さなシロクマがついている商品もありました。氷を水に浮かべてその上に小さいシロクマを乗せればそこは小さな北極海。

他に初期からの写真作品も見ごたえありました。

それ以上に関心があったのは、作品数はあわせて3点と少ないけど特に芸術家ではない人の手芸作品です。私もパッチワークのバッグを作ったりビーズでアクセサリーを作ってみたりして手仕事をよく楽しんだものです。
一つは刺繍でアダムとイブを表した作品で16世紀末にスコットランドもしくはイギリスで作られたもの、
もうひとつは目の粗い麻布に羊毛や綿をくくりつけて農家と空にかかる虹を鮮やかに表現した「壁掛け」1860年頃アメリカの女性作品。
残念ながらどちらも画像が見つからずアップできませんでした。
もう一つは画像がありました

「花のアップリケのキルト」1850年アメリカ エメリン・トラヴィス・ラディントン作
2メートルを超える大きな作品です。ベッドカバーに作ったのでしょうか。
作る人の息遣いも感じます。家族のために作った気持ちも込められ、愛情がいっぱいつまっている作品です。家族の思い出もおそらく詰まっている。
こういういわゆる芸術家の作品でなくても芸術品として収集保存するメトロポリタン美術館に懐の深さと幅の広さを感じます。

そして絵画作品。
沢山いい作品が展示されていましたが、1点だけ紹介します。

「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」1835年ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作
イギリスの天気は曇りや雨が多いと聞きます。そんな国の人がイタリアヴェネツィアに来て、太陽のまぶしさと海の輝きに感動した気持ちが絵画に表現されていて、見る私にも感動が響いてきます。
展覧会場の壁は黒っぽい色合いで作品はまるで浮き上がっているように見えます。その中でもこの作品は輝いて見えました。

この展覧会の副題は「大地、海、空─4000年の美への旅 西洋美術における自然」です。
遠くメソポタミアから現代にいたる生き物達の生命感、自然の素晴らしさを発見し、感じ、表現しているのは人間です。愛しき生き物達の作品に感じると同時に人間の営みにも感動します。
膨大なコレクションをもつ美術館では、はてしなく作品が並び到底1日ではみられないでしょう。
その前に果たして私は今後本物のメトロポリタン美術館にいけるだろうか。
133点とコンパクトながら大切な作品が海を渡って日本でメトロポリタン美術館を体験できた事はなんて幸せなんだろうと思いました。

最後にインターネットで画像が見つからなかったけど、心に残った絵を。
「人間の三世代」1514~1515年イタリア ドッソ・ドッシ作
・・・多分展覧会でも目玉作品ではないと思います。近くで見てる人がデッサンの狂いを笑って喋ってました。でも私は感じるものがありました。目をつぶると画面が見えてきます。
森の中に3組みのカップルがいます。左手前には若い男女が愛を語り合ってます。右側に小さな男の子と女の子が若いカップルを興味深げに眺めています。右側森の奥に初老の男女が寄り添い歩いています。
これを見て、私はもう左手前の若い世代ではない。右奥で寄り添う二人の年齢に入ってしまったと感じました。でも、もうこれでいい。時間は取り戻せないのだから不可能な事を望んでも虚しい。改めて今を大切にしようとおもいました。

絵画鑑賞は個人的なもので感じ方は人それぞれ。感覚で好き嫌いでもいいし、理詰めで鑑賞してもいい。みんながいいといってなくても気に入ればそれは素晴らしい作品。
ただし今見た作品は今後もう一度見れる可能性は少ないです。特に海外からやってきた作品はね。そのときに出会った作品はまさに一期一絵。出会いを大切に感じ、これからも見ていきたいです。

まだまだ素晴らしい作品もあるし、私の拙い文章でも興味を感じる作品がありましたら、是非自分の目で確かめてくださいね(#^.^#)
2013年1月4日まで都立美術館で開催されています。

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