2022年9月30日朝日新聞デジタル版に「旧統一教会と接点議員、計180人に 自民追加報告、新たに4人公表」とする記事がある。
自民党は30日、党所属国会議員に報告を求めた「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」や関連団体との関係点検について、計12人から追加の報告があったと発表した。8日の結果発表後、接点があった議員は新たに1人増えて、対象議員379人中計180人となった。このうち、自民が一定の基準を設けて氏名を公表している議員は4人増えて125人となった。
点検項目の「旧統一教会関連団体の会合への出席」では、新たに6人から報告があった。このうち、今回新たに木原誠二官房副長官、石井拓衆院議員、今村雅弘元復興相、比嘉奈津実参院議員の氏名が公表された。
自民党が前回(同年9月8日発表)おこなった調査が不十分であることを考慮し「旧統一教会関連団体の会合への出席」という項目を追加して実施されたものである。
ところで統一教会は自民党国会議員に無条件且つ万遍なく、支援を与えてきたわけではない。昭和62(1987)年頃の統一教会が国政選挙に出馬する候補者を支援する基準は、次に掲げる条件を呑んで統一教会に「誓約書」を提出した候補という条件がついていた[1]。
第1条は「私は勝共連合勝共議員になることを宣誓する」
第2条は「私は統一教会を絶対的に支持する」
第2条は「私は統一教会を絶対的に支持する」
第3条は「統一思想は人類を解放することができる思想であることを受け入れる」
要するに、統一教会に選挙運動を支援してもらった議員は誓約書を統一教会に提出済みだということが重要である。近年の国政選挙に於いて統一教会が設けた選挙支援の条件が、如何なるものかはわからない。しかしながら、統一教会が、自称他称の候補者を無条件に受け入れたわけではないことだけは間違いないところである。この点について昭和62(1987)年頃の文鮮明は「(無条件に候補者を支援するほど)私はそんなに馬鹿ではないのです」とはっきりと否定している。どう考えても統一教会の支援を受けて当選してきた国会議員は、何らかの一文を統一教会に入れていたことだけは間違いない。
そして文鮮明が「誓約書」を差し入れた候補者を支援するには訳があった[2]。
『(一番目は)国会議員との関係強化です。そのようにして国会内に(統一)教会を作るのです。国会内の教会ですよ。衆議員教会・・・。国会議員たちを120人以上束ねことのできる名簿を作成するように言っただろう? 今からそのようにして、それ(日本の国会議員)が教会の組織になるようにするのです。そこで原理を教育するだとか・・・すべてのことが可能になるのです。
二番目は、秘書です、秘書。(統一教会から)国会議員の秘書を排出するのです。
三番目は、国会内の組織体制を形成するのです。
四番目は、党の収拾と連合。
五番目、行動結束と挙国。
それで自民党の安倍派などを中心にして、(勝共の)久保木を中心として、超党派的に、その議員を結成して、その(勝共議員の)数を徐々に増やして行かなければならないのです。わかりますか?』
この文鮮明が語った内容からもわかる通り、国会議事堂をチャーチ(教会)にしてお祈りをするのが目的だとはっきりと述べている。文鮮明の目的は、最初から憲法20条「政教分離」に違反しているのだ。
その後に、文鮮明は選挙支援をした政治家を公表している。それが「思想新聞」1990年3月25日号に掲載した『勝共推進議員名簿』である。現在、統一教会問題では必ず登場する安倍晋太郎、森喜朗、細田博之、麻生太郎、衛藤征士郎の名前を確認することができる。
その後、統一教会と国会議員の関係が明らかになったのは『週刊現代』99.2.27号で「現職国会議員128人の「勝共連合・統一教会」関係度リスト」においてである。このリストから現在も国会議員で且つ勝共連合から送り込まれた統一教会員秘書を受け入れていた議員をあげると以下の三人が目を引くところである。。
細田博之 1名
麻生太郎 1名
衛藤征士郎 5名
細田博之は、平成2年(1990)年の衆議院選挙に島根県全県区から立候補して初当選している。細田が、当選できたのは『勝共推進議員名簿』からもわかるように島根から立候補するにあたり統一教会に「誓約書」を提出していたから選挙支援を受けることができたと自ら告白していることと同義なのだ。その後の細田は、衆議院議長となった現在まで統一教会とは不可分の関係にあった。細田は、次回は選挙に出馬できないであろうからこの期限りで引退ということになる。畢竟、細田は、国会議員在任期間全てが統一教会系であった。これもすごい話である。
憲法では、国会は「国権の最高機関」と定めている。その長である細田は、国民に政策の実現を約束しておきながら統一教会との約束を守ることを優先するという国民に対する裏切りなのである。細田は、衆議院本会議で野党党首から睨みつけられても仕方のない典型的な統一教会系国会議員だったのだ。
週刊文春 2022年9月29日号に「統一教会・文鮮明“お言葉集”発掘「安倍晋太郎は私と契約書を書いた」「福田赳夫と中曽根は私が首相にした」」とする記事が掲載されている。この記事には文鮮明が自民党安倍派(安倍晋太郎)を積極的に支援していたことを示す文鮮明の『御言選集』の存在があることを紹介している。
以上
⇒当記事は10月21日投稿記事へと続く。
[1] 『国会議事録という動かぬ証拠(1)』小日向白郎学会(13頁)。
[2] 同上(15頁)。
(寄稿:近藤雄三)
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