前原誠司氏が国民民主党を離党し、新たな政党を立ち上げると宣言した。前原氏に付いては(2023年11月26日))『宗主国アメリカからみた現地政権「自由民主党」の衰退と荒廃 -アメリカの意向は「自衛隊海外派兵を可能にする」政権に再編すること-』(クリックで遷移)で「日本の国家主権と云う至極の特権を握る」宗主国アメリカの意向に従う政界再編が進むであろうことを報告したばかりである。その中で、前原誠司代表代行の去就が、自由民主党の新たな受け皿の動向に大きく影響するであろうことを予感していた。
2023年11月30日、よろずーが『前原誠司氏が新党「教育無償化を実現する会」結成 国民民主4人が離党届 “ノーサイド”ではなかった!?』を配信した。
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国民民主党の前原誠司代表代行(61)が30日、国会内で会見し、同党を離党する意向を示し、新党「教育無償化を実現する会」を結成すると発表した。
会見には国民民主党の嘉田由紀子参院議員(73)、鈴木敦衆院議員(34)、斎藤アレックス衆院議員(38)も同席。
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無所属で、7月に立憲民主党を除籍となった徳永久志衆院議員(60)との5人で新党立ち上げを表明した
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教育無償化を旗印にした理由について、前原氏は「教育無償化のワンイシューだとは思っていない。今までの日本の凋落を考えた時に、教育や研究開発にしっかりと予算を取ってこなかった。人の育成にしっかりと対応してこなかった。結果として教育格差を生み、少子化の大きな要因になり、経済成長が極めて低く賃金も上がらない日本をつくってしまった」と説明した。
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同じ志を強く感じたという前原氏。「我々衆議院議員は、いつ解散になるかわらかない。志を決めた時点で、政治決断をすることが大事。次の衆議院選挙で政権交代を目指すという思いで取り組ませていただく」と、船出を宣言した。
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前原新党代表が、この時期に結党した理由を考えるにあたり、決め手となるのが彼の政治思想である。それを端的に表しているのが2022年12月16日に国民民主党安全保障調査会長前原誠司として発表した『【談話】防衛3文書の閣議決定にあたって』[i]とする談話である。
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本日、外交・防衛の基本方針である「国会安全保障戦略」、防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」、防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」の3つの文書が閣議決定されました。
政府が防衛3文書を改定するに先立ち、国民民主党は安全保障調査会において『国民民主党の安全保障政策2022~我が国の自立的な安全保障体制の構築に向けて~』を取りまとめました。
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今回の政府防衛3文書には反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有やミサイル防衛の強化、防衛費増額などが明記されており、国民民主党が提案した考え方が概ね反映されたものと受け止め、公党としての一定の役割を果たせたものと考えます。
……
我が国を取り巻く安全保障環境は、様々な安全保障上の課題や不安定要因により一層厳しさを増しています。国の安全保障に関しては、与野党の垣根を越えた取り組みが必要であり、国民民主党も積極的に議論に参加していく決意です。
今後も国民民主党は「自分の国は自分で守る」という基本理念に基づき、自立的な安全保障体制の構築を訴えて参ります。
……』
つまり、前原新党代表は、今ではその根拠が消滅した防衛利権のための「防衛三文書」を作成することに積極的に賛成し、取りまとめに協力してきたと自らが認めているのだ。したがって、前原新党代表は、防衛三文書の作成に関して、麻生太郎元財務大臣、秋葉国家安全保障局長、日本国際問題研究所理事長佐々江賢一郎を中心とした外務省と共同歩調をとっていたのだ。つまり、前原新党代表は、外務省を中心に進めた外交利権、防衛利権の莫大な利権を確保するための理由として「ロシアによるウクライナ侵攻という一方的な現状変更を認めない」という奇妙な理屈で、台湾有事と尖閣領有問題が日本の安全保障上危機に瀕していると先導して防衛費拡大に賛成してきた、野党という隠れ蓑を着た外務省利権グループの議員なのである。
現在、日本の安全保障を危うくしているのは「国連軍地位協定」と「日米地位協定(日米行政協定)」であるが、この二つの協定を自ら進んで提供してきたのは自由民主党であり、外務省である。この「日本の国権をアメリカに売り渡した」二つの協定を締結したのは外務省であることから、その実態を知らないわけはない。したがって、外務省利権グループと共同歩調をとる前原新党代表も日本の宗主国がアメリカだということを十二分に理解している。そのうえで「憲法改正」をおこない「自衛隊を海外派兵できるようにすること」を政治信条としているのだ。つまり、前原新党代表の「憲法改正」論においては「日本の主権を回復したのちの憲法改正」ではなく「宗主国アメリカに永遠の隷属を誓う憲法改正」を早急に進めていくと考えているのだ。前原新党代表が憲法改定の前提条件を示さないままに憲法改正を急ぐのは、日本国民が日本には国家主権がないことに覚醒する前に行いたいからだけなのである。
しかし、日本国民は日本がアメリカの属国であることに、急速に気が付き始めている。あまりに稚拙であるばかりか、国民を愚弄する卑怯千万な議員ということになる。
また、前原新代表の目指す「政権交代の在る2大政党制」とは、宗主国アメリカの下で存続を許される与党と野党による談合政治を目指すものなのだ。そして、宗主国に許された政党となる条件は「憲法を改正して、海外派兵できる自衛隊」にする究極の売国政策を実施する事なのである。
それは、自らの政治生命を安定的なものとするという私的な理由で、日本を守るための自衛隊を宗主国に提供するという売国の極みと云ってもよいことなのである。そして、今回の前原新代表の国民民主党離党とは、宗主国、外務省が綿密に計算して日本を「永久に宗主国に隷属させる」計画の一端であると考える必要がある。
逆に考えるならば、宗主国としては今後も自由民主党を与党として存続させる理由がなくなったということであり、宗主国アメリカに隷属を誓う野党があらたに政権についたとしても何ら問題はないと考えたことの表れでもある。宗主国アメリカと外務省は、既に、自由民主党を見限っており、その受け皿として前原誠司新党代表を首班とする政権を目論んでいるとみる以外にない。
ところで、今回新党に参加した議員の政治信条を確認すると面白い答えが出てくる。
・嘉田由紀子参院議員 …憲法改定賛成
・鈴木敦衆院議員 …民社協会系(旧民社党系)
・斎藤アレックス衆院議員…憲法改正賛成
・徳永久志衆院議員 …憲法改定
である。つまり、たいがいは憲法改正の条件を言わない改正、つまり、「宗主国アメリカに永遠の隷属を誓う憲法改正」とみて間違いはない。
さらに新党に参画した議員の人脈は、立憲民主党執行部(泉健太(憲法改定賛成)、大串博志(憲法改定賛成)、笠浩史(憲法改定賛成))など前原新代表と何らかの関係があると考えられる議員たちである。
ところで、現在の立憲民主党は、執行部が財務省と一体となり消費税を継続させることを宣言していることから、国民からも乖離するだけではなく、党内からも厳しい追及が行われて窮地に立たされ居場所がなくなってきている。この点を考えると、前原誠司新代表は、立憲民主党首脳部をも回収するために新党を結成したとみて間違いないであろう。
そして、今回の前原新党で政界再編の構図が鮮明になる。憲法改正につては、「宗主国に永遠の隷属を誓う憲法改正」VS「日本の国家主権回復後に論議する」の戦いであり「売国」VS「救国」ということになる。
尚、憲法改正については下記のスレッドに詳細を纏めてきた。
・(2023年11月28 日)『「自由民主党は売国政党だ!!」と断定する理由』
・(2023年11月26日)『宗主国アメリカからみた現地政権「自由民主党」の衰退と荒廃 -アメリカの意向は「自衛隊海外派兵を可能にする」政権に再編すること-』
・(2023年11月16日)『岸田首相の改憲論は売国政策の極み』
・(2023年09月24日)『自由民主党という売国政党を支える売国官僚たち』
・(2023年08月25日)『カルト(Cult)とかした野党』
以上(寄稿:近藤雄三)
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