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岸田文雄首相と習近平国家主席の会談 -日本政府も「一つの中国」政策に回帰することを認めた-

2023-11-18 | 小日向白朗学会 情報
 2023年11月17日、REUTERSは『日中首脳会談、習主席が戦略的互恵関係の再確認呼びかけ』を配信した。
『……
[北京 17日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は米サンフランシスコで16日に日本の岸田文雄首相と会談し、両国は「戦略的互恵関係」の位置付けを再確認し、新たな意味合いを持たせるべきだと述べた。
対面の会談は1年ぶり。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の合間に行われた。
会談の冒頭、習主席は、岸田首相と会談できて「非常にうれしい」と発言。その上で中日両国が「共通の利益に焦点を当て、相違点を適切に処理」すべきだと述べた。
岸田首相は、日中が共存共栄し、世界の平和と繁栄に貢献する責任があると述べた。
両氏はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の合間に会談した。
……』
 この記事で最も重要なことは「両国は「戦略的互恵関係」の位置付け」を再確認するということである。この文脈が出てきたのは、習近平国家主席が会議の冒頭で「ことしは両国の平和友好条約の締結から45周年にあたる。45年間、この条約を含む4つの政治文書のもと、両国関係は、風雨にもかかわらず、全体的に発展の勢いを保ち、両国の人々に幸福をもたらし、地域の平和と発展、繁栄の促進に積極的な役割を果たしてきた」[i]と述べた後に「戦略的互恵関係」の再確認」となったのである。
ここで習近平国家主席の言う「条約を含む4つの政治文書」とは次の四つである。この出所は外務省HPである。(リンク済み)
一、日中共同声明(1972年)
  • 中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の合法政府である
  • 台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である
  • 目台条約、すなわちすでに述べたような経緯・背景の下に目本が台湾(中華民国)と結んだ平和条約は不法・無初であり、廃棄きれなければならないという三つの原則の下に、日中国交正常化を実現することになった。
である。
 
 つまり、習近平国家主席が「戦略的互恵関係」の再確認」としているのは1972年(昭和47年)に日中両国で確認しあった「一つの中国」という合意を再確認しようということなのである。
何故に、習近平主席が日中首脳会談冒頭で、わざわざ、この点を強調したのか。
 それは、2022年末に日本政府は新たな安全保障政策「防衛三文書」で中国を仮想敵国に指定したからである。それも台湾の扱いに関して日本政府は中国による台湾侵攻時には、日本としても台湾と共同で迎え撃つばかりか、反撃能力としてトマホークを大量に整備することにした。これで日中は一発即発の事態となった。そのため中国政府は「一つの中国」政策に回帰することを求めたのだ。
 これに対して岸田首相はNHKが配信した『【詳細】日中首脳会談“意思疎通重ね 新時代の関係切り開く』[ii]のなかでつぎの様に述べている。
『……
ことし5月に日中防衛当局間の連絡メカニズムのもとで、ホットラインの運用を開始したことを歓迎しつつ、安全保障分野での意思疎通の重要性を指摘しました。
 その上で、沖縄県の尖閣諸島を含めた東シナ海の情勢について、深刻な懸念を改めて伝えたほか、日本のEEZ=排他的経済水域内に設置された中国のブイの即時撤去を求めました。
 そして、ロシアとの連携を含めた中国による日本周辺での軍事活動の活発化にも深刻な懸念を重ねて表明しました。
 このほか、台湾海峡の平和と安定が日本を含めた国際社会にとっても極めて重要だと強調するとともに、台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はないと伝えました。
 また、岸田総理大臣は、中国国内で相次いで拘束された日本人の早期解放を求めました。
さらに、福島第一原発の処理水放出をめぐり、科学的根拠に基づく対応とともに、日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を改めて求め、日中双方は、互いの立場に隔たりがあることを認識しながら建設的な態度をもって、協議と対話を通じ、問題解決の方法を見いだしていくことになったとしています。
  このほか両首脳は、北朝鮮や中東、ウクライナを含めた国際情勢に関しても意見を交わし、緊密に意思疎通を行っていくことも確認しました。
……』
 この岸田首相の発言の中で注目すべき点は「台湾との関係に関する日本の立場は、昭和47年=1972年の日中共同声明にあるとおりで、一切変更はない」という点である。これによりこれに日本政府もアメリカ政府と同様に「一つの中国」政策に回帰することを認めたのである。したがって台湾問題と日本政府の関係は「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」ことから中国政府が祖国統一を目指した台湾侵攻を行ったとしても、日本政府の外交的な立場に変更はない。つまり、関与しないということを表明したということである。
 ならば日本政府は、中国政府が強く求めていたと考えられる防衛三文書に記載した仮想敵国リスト「中国、北朝鮮、ロシア」から中国を削除する必要がある。しかし、岸田政権にはここまで踏み込むことはできない。それは、防衛三文書が示す安全保障戦略が間違いであったことを認めなければならず、その結果、防衛予算の算出根拠が失われてしまうからだ。それは、当然のこととして防衛費強化という名目の予算は、予算根拠が消失しているのであるから、予算執行を停止しなければならない。これは自由民主党=保守=国防利権としてきた支持層から、厳しい反発を受けることになって、党として存続が危うくなるからである。
 岸田首相にとって「一つの中国」を再確認することは、進も地獄、退くも地獄という、自由民主党解党の一里塚なのである。

 ところで岸田首相が日中首脳会議で「一つの中国」政策に回帰することを認めたことで、日本政府の安全保障政策が大きく動きだした。2023年11月18日、NHK『巡航ミサイル「トマホーク」米から日本へ最大400発の売却承認』を配信している。
『……
アメリカ国務省は17日、巡航ミサイル「トマホーク」の日本への売却を承認し、議会に通知したと発表しました。「トマホーク」をめぐっては、日米両政府が取得することで一致していて、日本は相手のミサイル発射基地などを攻撃できる「反撃能力」にも活用する予定にしています。
アメリカ国務省は17日、巡航ミサイル「トマホーク」最大400発の日本への売却を承認し、議会に通知しました。
 売却額は「トマホーク」とその関連装備で、合わせて23億5000万ドル、日本円でおよそ3500億円に上ります。
 「トマホーク」をめぐっては先月、木原防衛大臣がオースティン国防長官と会談した際、現在アメリカ軍で主に運用されているものを2025年度から取得することで一致していました。
 「トマホーク」はアメリカで開発された巡航ミサイルでGPSなどの誘導によって、ピンポイントで目標を攻撃することができるとされています。
 日本は相手のミサイル発射基地などを攻撃できる「反撃能力」にも活用する予定にしています。
……』
 つまり岸田政権は日本の安全保障政策を見直さざるを得ないことになったことで、動き出したのが「トマホーク」を大量に輸出することになっていたアメリカであった。アメリカは、日本政府の政策変更で巡航ミサイル「トマホーク」が不要になりキャンセルされる可能性がうまれ、慌てて輸出することを決めたのだ。またまた、日本政府は、ガラクタを購入してしまったのだ。これは日本政府の無能ぶりを証明する無駄使いとして、会計検査院の監査を受ける事案となるであろう。

 尚、「一つの中国」
 政策に付いては下記のスレッドでまとめてきた。
・(2023年10月27日)『王毅外相とブリンケン国務長官会談
・(2023年06月22日)『上海コミュニケ
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