『朝ドラ、梅ちゃん先生』
私からみた最近のNHKの朝ドラは当たり外れが大きい。前回の岸和田を舞台
にした、小篠親子の話は久々に楽しく観させてもらった。今回は今の所、可も
なく不可もなくとの採点だ。
20年以上前のことだが丁度、今の筋と同じような場面に私の友人がいた。
周囲の人は肺がんで余命半年くらいと家族に宣告され、本人には知らせない
で欲しいと希望された。こうしたことは家族の事情や想いで辛い決心によるも
のだから、正しいとかおかしいとか勝手なことは言えない。
しかし、周辺の人へはそれが伝わり、本人だけは知らされていなかった。
本人からすれば、病状は回復とは逆に向っていることは明らかであるのに、
医師の説明はどうも腑に落ちない。私が見舞いに行った時『自分の症状は
癌に違いないと思うが、医者は違う病名を言っている。』と言っていた。
『今頃は癌の告知も本人にするようになったから、きちんと説明があるだろう』
と私は素知らぬ顔をして答えた。こうした状況の中で友人は医師を捕まえて
は本当のことを教えてくれと懇願するものだから、医師は逃げ回るようにし
ていたらしい。
ある時、所謂大名行列で偉い先生が友人を診て『未だ若いから何とかしてや
れ』というようなニュアンスで行列にいる医師に言ったそうだ。友人は目の前
で聞いていた。そうしたことも含めて、自分の病気を癌と確信するのに医師
は否定する。友人にしてみれば癌と分かれば希望が湧く訳ではないが、そ
れに対する短いかもしれない自分の人生設計を家族のために変更しておく
ことを考えていたのかもしれない。
結局、友人は最後まで癌であることを告知されなかった。今は、調査票に
告知の希望有無を回答する蘭があり、最初から本人が対応すればこの話
のようなことはないだろうが、告知のあり方は今後も課題の一つであり続け
るだろうか。