一昨年の3.11大地震と津波、それによる原発事故の記憶は生々しいはずなのに、
ニュースの題材としては余り大きく取り扱われなくなりつつある。先般の汚染水のバ
イパス放水の件も、その後IAEAからもいい対策として評価され実施の方向への後
押しになるかも知れないと期待している。こうしたことも、2枚目か3枚目で新聞によ
く目を通す人にしか読まれないから、関心の度合いも低下していくのではないかと
思われる。
『事故で放出のセシウム、全プランクトンから検出』というショッキングな見出しが目
に入った。原発事故でまき散らされたセシウムが海中でも広い範囲に拡散されてい
る。海に出た放射性物質は当然、プランクトンにも影響はあるだろうからと、北海道か
らグァム島方向へ2000Kmの範囲の10地点の海水とプランクトンが調査された。場所
により蓄積量は異なるが採取した全てのプランクトンから検出されるということは、食
物連鎖の関係で魚貝類への影響も懸念される。
ただこの場合のセシウムは134で半減期が約2年と比較的短いものだから、影響の持
続と言う点では、これから暫くのすればその必要はなくなる。しかし、海水に含まれる
セシウム137は半減期が約30年と長いため、こちらの方は影響の継続調査や拡散経
路などの追跡調査を継続する必要がある。
いずれにしても、放射性物質が海の中に存在すること自体、異常な事には違いない
のに、先述のような扱いだけでいいのかな?と思う。
過度に心配する必要はないことなのか、心配しなければならないのか、それ自体分か
らないことなのだから、分かり易く解説し国民に知らしめる必要はある。
こうしたことがニュースにならなくなり、原発事故が収束したかのような風潮になり、一部
は余りにも無関心になりつつある状況を見るにつけ、福島の原発は一体何を教訓として
国民に残せるのだろうかと疑問に思う。