こならの森 40号1991.8発行
表紙/夏祭り、ブレ神輿
目 次
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2p…看板娘=藤井みよ子さん
3-4p…その他の情報
5p…結婚=岡田さん夫妻
6p…おぞねとしこ/カラムコラム
7-18p…特集=双体道祖神を巡る
19p-22p…佐野のここがダメ
22p…街角の肖像
23p…モータースポーツOCR
24p…アウトドアー/コーヒーOCR
25p…我家の子育=山本さん/青春の断想
26p…本/絵本紹介
27-29…情報
30p…本10/きれい瞬間
31-32p…協賛店名
33p…編集日記
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【本文抜粋記事】
「佐野のここがダメ」
他市出身者による覆面座談会
(名称は各人の出身地名となっています)
▲福島 はっきり言って度量が広くない。批判というものが建設的なものにもかかわらず。そういう度量がない町ですね。
●足利 安佐地区では足利に本社があるというと人が集まるが、足利では、宇都宮に本社があるというとばかにしてしまうんです。
▲福島足利はどちらかというと、東京経済圏にあるが佐野は地方経済圏の中にある。
●足利 足利は近隣の市を集めて一つの県を作ろうというノリなんですね。そこを一つの経済圏にしようというんです。
足利の人は太平記ではないんですが、いまだに反体制なんですよ。佐野と比べると歴然ですね。足利だと民間組織が強かったりします。市民運動なども強いんです。
▲福島 みんなの第一印象はどうなのかな。
■東京 星がきれいだなあーと思ったね(笑)。それから寒い。
人柄としてはほのぼのとして純朴だ。
●足利 わたしも最初に来たときにそう思いました。
▲福島 駅前の話ですけれども核になるものがないですね。
「市」というよりも東北のとある「町」と言った感じですね。
■東京 核になるものというのは何だろう。
▲福島 やはり駅前だろうね。
■東京 駅前の商店街ということかな。
▲福島 それがなくても駅ビルがあるとかね。わたしが大学に通っていた町もシンボライズなものがなかった。そこへ大手デパートが出て来て駅ビルを造ってからは大きく変わったね。人口10万くらいだったけれど若者の町となった。
佐野では市役所があんなところになくてもいいよ。市役所というのは市の真ん中にあればいい。そういうことからすればあんないい立地条件のところになくもいい。あそこは駅前商店街だよね。
★佐野 みんなそう言っているんですけれどもね。
■東京 核が駅であると言うけれどそれが出来ていないというのはどうしてかな。
▲福島 一つには都市計画が後手後手に回っているんだよ。極端に言えば都市計画が無いような、無くても済むみたいなそんな感じかな。
★佐野 現在の駅南も、もう十年遅いと言われ続けています。
▲福島 十年というより、二十年遅いよ。
●足利 私の第一印象はらーめん店が多い。それから、本当にいい人ばかりなんですよね。発展するしかない訳なんです。ですが選挙でも何でも、もろ足の引っ張り合ですよ。
▲福島 面積は足利と変わらないのかな。
●足利 面積も人口も商店件数もみんな半分ですよ。それから、文化的なものが非常に多いんですよ。足利の食い倒れ、桐生の着倒れ、佐野の見倒れ。文化的なものや史跡とかも多い。らーめんでもなんでもそういう「仕掛け」をするものが多いけれども、ただそれが風化するのを待つだけなんです。そこが一番信じられないんです。それにロマンチックな伝説も残っているんです。そういうのは、足利だったらすぐに話題になるんですが、ならない。
★佐野 そういう意味では、足利の人はマスコミの使い方がうまいよね。
●足利 先にニュースだけ流すやり方ね。それから、やはりこういうことに理解のある人というのは地元に対する執着が非常に薄いんです。ボーンとダイレクトに東京とかへもって行ってしまうんですね。非常に分かっている人は地元なんかかえりみないんです。要するに言っても分からないというような。
■東京 それは諦めであって、諦めの中に安住の地があるんでしょう。あなたたち諦めの世代駅前の話ですけれども核になるものがないですね。
「市」というよりも東北のとある「町」と言った感じですね。
はいいかもしれないけれども次の世代のことも考えなくてはいけない。
●足利 そのことに対してものんびりしてしまっているんです。場所があって交通の便がよくてそれさえあれば後はどうでもいいんだと、後は知らない、という企業が多いですね。それは、それ以外に魅力がないんです。ですから引っ掛かりもないんです。ところが、足利はいじめられていますからね……。そういうのがある。
それから「隠れ家の無い町」とも言えます。例えば仕事サボって喫茶店にいこうとか思うと、そういう場所はどこにでも何カ所かあるんです。ところが、佐野には無い。だから佐野が嫌いでとにかく好きな町にしたい、愛する町にしたいんです。それから、どこの商店街でも特に足並みが揃うということはないんですけれども、佐野は特に揃わないんです。
▲福島 もともと栃木というのは文化不毛の地なんだよ。なぜかと言うと大藩が無いんだよ。歴史的に言って小藩ばっかり何だよな。徳川幕府が江戸の近くに大藩ばっかりをおくと反逆されたとき困るから全部小藩に画一している。だからいろんな意味で文化が育たない。歴史を動かすようなエネルギーがうまれるような土壌というのはないんだよ。
★佐野 だから田中正造が出て来たのが不思議だといわれる。
▲福島 本来栃木の土壌からすれば出て来ない人なんだよね。だからここの人は田中正造を評価していないんです。自分たちの郷土の偉人という意識は全く無いね。
●足利 若い世代からすれば、やはりクライんですよ。だから賞を取るようなあれだけ立派な博物館に銅像がありながら、特別展示室がありながら「クライ」んですよ。
▲福島 だって公害じゃ暗いよ。華やかさが無いよ。
■東京 それはそうだけど、たてついた訳だからね。しかし、今言えばエコロジーだよ。
▲福島 最先端の学者なり、公害問題をやっている人間からすれば教祖だよ。
●足利 地元にはやはり応援している団体はいます。しかし、足利尊氏みたいな棟梁ではない。
■東京 だからそこまで出るスケールじゃない。
▲福島 日本の政治家の原点なんだよな。どうあるべきかということのね。
日本の政治がもっと変革されれば田中正造ももっと評価されたかもしれない。そうじゃないからね。
★佐野 村おこし、町おこしが叫ばれて久しいんですけれども、何も無理しなくても、佐野には素晴らしいものがたくさんある。逆説的ですけれども、何でも起こせはいいという商業主義はもうこれからの時代必要ないと思うんです。ですから、起こさなくていいと思うんですね。だから、「おこす」んでなくてそのことに目覚めてほしいんです。
▲福島 ここの人は田中正造を評価していないんです。若い世代からすれば、やはりクライんですよ。