KONASUKEの部屋

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生物のこと、笠間のこと、時々政治

民話の世界展⑤猫たち

2018年03月10日 | 笠間
「華蔵院(けぞういん)の猫」(ひたちなか市)

昔、湊の行商人がさびしい原っぱを通って家路を急いでいました。

辺りはすっかり暗くなり、出会う者もいません。
かすかに波の音がするだけです。
そんな時、どこからともなく笛や太鼓の音が聞こえてきたのです。
「なんだろう、今ごろ。」
と不思議に思い近づいてみますと、何と驚いたことに、はやしに合わせて大勢の猫が躍っているのです。

手ぬぐいやほおっかぶりしたり、きれいな着物を着たり、年を経た大猫ばかりがみんなうかれて踊っていました。
そのうちはやしが止んで一匹の猫がどなりました。
「やいやい、さっぱり気分がのらねえ、皆、なっちゃいねえぞ。
湊の華蔵院の猫はばかに遅いな、あいつがいねえと調子が合わねえ。」
と人間のことばで言うのです。
行商人は驚いてしまいました。
その時、坊さんの衣を着た大きな猫がかけこんできました。
「すまねえ、和尚さんの帰りが遅くて衣が持ちだせなかったんだ、どれ、始めよう。」
と息を切らせながら言うと、また踊りが始まりました。
今度は華蔵院のが調子をとるので、はやしも踊りも気分がでています。
猫たちは一晩中踊り続け、あたりが白々としてくると猫たちは姿を消しました。

行商人はあわてて華蔵院に行ってみるといつもの様に大猫がねていましたが、和尚さんに昨晩のことを話し、びっくりした和尚さんが衣を見ると猫の毛がびっしりついていました。
それ以来大猫が姿を見せることはありませんでした。

※右端から覗いているのが猫です。

十二支と猫(西茨城郡)

むかし、神さまは人間に子年、丑年などという生まれ年を与えてくれました。

そして十二の動物にそれぞれの年を代表させたのです。
ねずみが始めで牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪などです。

これを知った猫は怒って神さまに聞きました。
「猿などや馬を入れてどうして私を加えてくれなかったんですか。」
神さまは
「猫をいれなかったのは私の手落ちであった。
その代わり、お前は人間と同じような暮らしをさせてやろう。
人間にかわいがられ、魚なども食べられるようにしてあげよう。」

そしてさらに
「動物たちの順序はわしのところへ年始のあいさつにきた順にした。
ねずみを一番はじめにしたのは一番先にきたからだ。
しかし、ねずみは牛の背に乗ってきて、牛より先にわしの前にとびだしてあいさつをした。
ずるいねずみをこらしめるために、お前はねずみをとって食べる権利を与えよう。」
と言われました。

猫がねずみをとって食べるのはそのためだからなんだそうです。

~全国版とは、ちょっと違って面白いですね~KONASUKE

せいえむどん(水戸市)

昔、会津の飛脚がこのあたりを通ったときのお話です。

暑い日差しがじりじりと照りつけ、飛脚はのどが渇いてたまらなくなりました。
水を求めて沢に行くと、いろいろなけものが水を飲みに集まっていて、沢へ近づくことができません。
どこかけものがいない沢をないかと探しまわっているうちに道に迷い、仕方なく飛脚は野宿することにしました。
しかし、山には山猫だの狼だの恐いけものが沢山います。
とても地上には寝られないので大きな松の木の上で眠ることにしました。
しかし、夜もふけてくると、飛脚をねらってけものが集まってきました。
気配を感じた飛脚は昼の疲れも忘れ油断なく身構えていると、次々闇の中からとびかかってきました。
飛脚は持っていた脇差で次々とけものたちを切り払いました。
すると闇の中でささやく声が聞こえました。
「今夜のやつは、せいえむどんがいなくちゃかなわねえ、せいえむどんに来てもらうべ。」
やがて、大きな猫がやってきました。
長い歳月を経た怪物のようです。
大猫はすばやくするどいきばをむきながら声もたてずにとびかかってきました。
飛脚は力一杯刀をたたき下ろしました。
「ぎゃあーお!」
大猫は暗闇をつんざく声をあげてもんどり打って落ちていきました。

やがて、朝が来ました。
「せいえむどんとは何者だろう、手ごたえはあったが死んではいないだろう。
どうにか正体をつきとめてやろう。」
飛脚は人家を求めて歩き回り、ついに、せいえむどんというおじいさんが住んでいるという家にたどりつきました。
訪ねてみるとおばあさんが出て来て
「うちのじいさんはゆんべひでえけがをしちまって寝てやんす。」
というのです。
飛脚が
「じいさんは化猫なんだ。」
といいますと、おばあさんは怒って
「何おかしなこといいやがって!
塩まくぞ、でていけ!」
とさけびました。
しかし飛脚は
「今すぐじいさんを見せてもらいたい!
失礼御免!」
と座敷にかけあがりました。
するとどうでしょう。
今まで布団をかぶって寝ていたじいさんは、布団をはねとばし、化猫の姿となってとびかかってきたのです。
飛脚はするどいきばとつめにさらされながらもなんとか化猫を退治することができました。

かわいそうに、おばあさんはとうの昔におじいさんが化猫に食い殺されていたことも知らず、化猫を夫と信じて暮らしていたのでした。

※「せいえむ」は「せいえもん」とかかな? KONASUKE

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