弁理士近藤充紀のちまちま中間手続37
引用文献1には、触媒端部をセラミックスでコーティングし、乾燥、焼成した後、V含有液を含浸させて乾燥、焼成する触媒端部の硬化処理方法が記載されている。
引用文献3には、触媒をシリカでコーティングし、焼成した後、Mo、V、Wのうち1種以上を含む液を含浸させて乾燥、焼成する触媒の硬化処理方法が記載されている。
引用文献3には、シリカコーティングを触媒端部にのみ行うことが記載されていない。しかし、触媒の硬化処理において、端部のみにセラミックスコーティングを行うことは本願出願前周知(例えば、引用文献1参照)であるから、引用文献3記載の触媒の硬化処理方法において、シリカを端部のみにコーティングすることは、当業者ならば容易に想到し得る。
意見書
本願発明は上記のような構成を有するので、板状ないしはハニカム状の触媒端部に形成したコーティング層に存在する微細なクラックに、金属塩を充填し焼成することにより、コーティング層の耐摩耗強度を飛躍的に高めることができるという、特有の顕著な効果を奏することができる。
ところで、引用文献1には確かに、触媒の端部をセラミックスでコーティングし、乾燥し、焼成した後、V含有液を含浸させて、乾燥し、焼成する触媒端部の硬化処理方法が記載されている。
しかし、この引用文献には、金属塩溶液としてメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いる点は記載されていない。
本願発明は、上述のように、金属塩溶液としてメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いて触媒端部を硬化させるものであり、引用文献1のものとは全く異なる。また、担持金属を異にする引用文献1からは本願発明の効果、すなわちコーティング層の耐摩耗強度を飛躍的に高めることができることは予測できる筈がない。
引用文献3には、触媒をシリカでコーティングし、乾燥し、焼成した後、Mo、V、Wのうち1種以上を含む液を含浸させて、乾燥し、焼成する触媒の硬化処理方法が記載されている。
しかし、この引用文献では、金属塩溶液としてメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いた実施例は、ない。
本願発明は、実施例において、金属塩溶液としてメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いて触媒端部を硬化させ、この触媒の摩耗試験を行ったところ、コーティング層の耐摩耗強度を飛躍的に高めることができるということを確認して完成されたものであり、引用文献3の記載から到底推考できるものではない。
拒絶理由
引用文献1には、触媒をシリカでコーティングし、焼成した後、Wを含む液を含浸させて乾燥、焼成する触媒の硬化処理方法が記載されている。
引用文献1には、シリカコーティングを触媒端部にのみ行うことが記載されていない。しかし、触媒の硬化処理において、端部のみにセラミックスコーティングを行うことは本願出願前周知であるから(例えば、引用文献2参照)、引用文献1記載の触媒の硬化処理方法において、シリカを端部のみにコーティングすることは、当業者ならば容易に想到し得る。
また、引用文献1には、Wを含む液としてメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いることが記載されていない。しかし、Wを担持させる際にメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いることは本願出願前周知慣用の技術であるから(例えば、引用文献3:実施例6参照)、引用文献1記載の触媒の硬化処理方法において、Wを含む液としてメタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いることは、当業者ならば適宜なし得ることである。そして、メタ・タングステン酸アンモニウム水溶液を用いたことによる効果も、他のタングステン化合物含有溶液(例えば、引用文献1において挙げられているタングステン酸アンモニウム溶液)を用いた場合に比べて格別なものとは認められない。
意見書
本日同時提出の手続補正書にて、拒絶理由が通知された旧請求項1~3を削除し、旧請求項1に拒絶理由が通知されていない旧請求項4の内容を加え、これを新請求項1とした。
特許査定
最初の時点で、反論点としては弱いと思っていたが、その通りになった。今なら、もうちょっと違う点で反論できたかもしれない。あまり思い出したくない件ではあります。
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