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ちまちま中間手続33の3

2024-12-21 21:11:22 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続33の3

拒絶理由 3回目 進歩性
(引用例1を第一引用例とした場合) 
 引用例1には、白金族群より選ばれる少なくとも一つの貴金属と、担体とを含む炭化水素処理の使用済み触媒の再生方法であり、次の連続する少なくとも二つの工程: 
・酸素を含む気体の存在下に、350~490℃の温度で行われる、該触媒上に存在するコークスの少なくとも一つの燃焼工程(1)、 
・空気の制御された雰囲気下に、350~550℃の温度で、0.5~1時間、ハロゲン化合物の存在下に行われる、少なくとも一つのオキシハロゲン化工程(2)、
を含み、その場で行われ、燃焼工程(1)およびオキシハロゲン化工程(2)に対してラジアル移動床炉を使用する方法が記載されている(請求項1~8,第3頁左下欄第14行~右下欄第7行,第4頁右上欄第16行~19行,第5頁右下欄第2行~第6頁第16行,図面等参照)。 
 請求項1に係る発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、前者は、担体が多孔質担体であるのに対し、後者は、担体としているだけで具体的に記載されていない点(以下、「相違点1」という。)、前者は、燃焼工程において、燃焼時間を0.3~7時間と規定しているのに対し、後者は、燃焼時間に関して記載されていない点(以下、「相違点2」という。)、前者は、触媒の再生が炭化水素精製の「現場外」で行われるのに対し、後者は、「その場」で行われる点(以下、「相違点3」という。)、及び、前者は、燃焼工程(1)及びオキシハロゲン化工程(2)に対して薄層回転型の炉を使用するのに対し、後者はラジアル移動床炉を使用する点(以下、「相違点4」という。)で相違する。 
 上記相違点1について検討すると、触媒担体として多孔質担体を採用することは、通常行われることであり、当業者にとって、容易になし得ることである。 
 上記相違点2について検討すると、燃焼工程及びオキシハロゲン化工程の温度及び時間は、それぞれ失活した触媒に沈積したコークスの燃焼及び触媒のオキシハロゲン化をするのに必要な温度及び時間であり、失活した触媒の状態に応じて、適宜設定し得るものである。 
 上記相違点3について検討すると、引用例2,3には、触媒の再生を現場外で行うことが記載されている(引用例2:特許請求の範囲2、第4頁右上欄第12行~左下欄第7行、第5頁右下欄第2行~第6頁左上欄第4行、第7頁左上欄第5行~右上欄第14行、引用例3:第1頁右欄第1行~16行等参照)。 
 そうすると、引用例1~3は、触媒の再生方法に関するものであり、同一の技術分野に属するものであるから、引用例1に記載の触媒の再生方法において、引用例2,3に基づいて、現場外で行うことも当業者であれば容易になし得ることである。 
 上記相違点4について検討すると、引用例3には、再生炉としてロータリーキルンを使用することが記載されている(特許請求の範囲、第2頁右上欄第1行~8行、実施例等参照)。 
 ここで、引用例3に記載のロータリーキルンは、薄層回転型の炉に相当すると認められる。 
 そうすると、引用例1,3は、触媒の再生方法に関するものであり、同一の技術分野に属するものであるから、引用例1に記載の触媒の再生方法において、その再生炉として、引用例3の記載に基づいてロータリーキルンを採用することも当業者であれば容易になし得ることである。

(引用例4を第一引用例とした場合) 
 引用例4には、第VIII族貴金属成分と、耐火性無機酸化物担体とを含む炭化水素処理の使用済み触媒の再生方法であり、次の連続する少なくとも二つの工程: 
・酸素を含む気体の存在下に、399~566℃の温度で十分な時間行われる、該触媒上に存在するコークスの少なくとも一つの燃焼セクション(1)、 
・空気の制御された雰囲気下に、399~566℃の温度で十分な時間、ハロゲン化合物の存在下に行われる、少なくとも一つのハロゲン化セクション(2)
を含み、その場で行われ、燃焼セクション(1)およびハロゲン化セクション(2)に対して移動床炉を使用する方法が記載されている(特許請求の範囲,第2頁左下欄第3行~13行,第3頁左下欄第1行~12行,第4頁右上欄第6行~左下欄第6行,第5頁左上欄第12行~右上欄第6行,図面等参照)。 
 請求項1に係る発明と引用例4に記載された発明とを対比すると、前者は、担体が多孔質担体であるのに対し、後者は、耐火性無機酸化物担体である点(以下、「相違点1」という。)、前者は、空気とハロゲン化合物の存在下で加熱する工程をオキシハロゲン化工程としているのに対し、後者は、ハロゲン化セクションとしている点(以下、「相違点2」という。)、前者は、燃焼工程及びオキシハロゲン化工程において、それぞれの時間を0.3~7時間及び0.3~3時間と規定しているのに対し、後者は、前記両工程に対応する工程における時間を共に十分な時間としている点(以下、「相違点3」という。)、前者は、触媒の再生が炭化水素精製の「現場外」で行われるのに対し、後者は、「その場」で行われる点(以下、「相違点4」という。)、及び、前者は、燃焼工程(1)及びオキシハロゲン化工程(2)に対して薄層回転型の炉を使用するのに対し、後者は移動床炉を使用する点(以下、「相違点5」という。)で相違する。 
 上記相違点1,3~5についての検討は、引用例1を第一引用例とした場合の相違点1~4についての検討と同様である。 
 上記相違点2について検討すると、引用例4では、ハロゲン化セクションは、ハロゲンと空気が存在する雰囲気下で行われるから(第5頁右上欄第3行~6行,第5頁右下欄第14行~第6頁左上欄第4行参照)、請求項1に係る発明のオキシハロゲン化工程と差異はない。 
 したがって、請求項1に係る発明は、引用例1~4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

意見書
 (引用文献1を第一引用例とした場合) 
 拒絶理由通知には、本願の請求項1に係る発明(以下、前者と称する)では触媒の再生が炭化水素精製の「現場外」で行われるのに対し、引用文献1に記載された発明(以下後者と称する)では触媒の再生が「その場」で行われている点(相違点3)、また、前者では、燃焼工程(1)及びオキシハロゲン化工程(2)に対して薄層回転型の炉を使用するのに対して、後者ではラジアル移動床炉を使用する点(相違点4)で相違点が認められている。 
 そして、上記の相違点3について、触媒の再生を現場外で行うことが引用文献4または2に記載されていることに基づいて、引用文献1に記載の触媒の再生方法において、触媒の再生を現場外で行うことは当業者にとって容易であると認定されている。 
 また、上記の相違点4について、引用文献2には、再生炉としてロータリーキルンを使用することが記載されていることに基づいて、引用文献1に記載の触媒の再生方法において、触媒の再生のためにロータリーキルンを採用することは当業者にとって容易であると認定されている。 
 以下、上記の2つの認定に対して意見を述べる。 
・相違点3に関して 
 引用文献1には、触媒と接触させて石油原料を反応させ、同時に、触媒を再生するのための連続方法であって、前記触媒は、反応帯域と再生帯域との間を連続して流通する、方法が記載されている。触媒の再生方法は、拒絶理由通知にて認められているように、工程3において反応器3において操作される現場内再生方法である。 
 引用文献2および4には、触媒の再生を現場外で行うことが記載されている。 
 しかしながら、引用文献2には、空気を用いた燃焼による、触媒の現場外再生のために用いられるロータリーキルンが記載され、当該ロータリーキルンの内部は、複数の室に分割されており、それぞれの室毎に、空気およびリサイクルされる燃焼ガスが導入され、生じた燃焼ガスが各室から抽出される。このように、引用文献2に記載されたロータリーキルンでの再生方法は、本願請求項1の燃焼工程(1)に相当しているが、本願請求項1のオキシハロゲン化工程(2)は引用文献2には開示されていない。 
 また、引用文献4に記載されているのは、現場外で触媒を予備硫化する(硫黄の導入)方法であって、引用文献4には本願請求項1の燃焼工程(1)またはオキシハロゲン化工程(2)のいずれも開示されていない。 
 本願発明において解決しようとしている課題は、貴金属を含有し、相当量の炭素を含有 し得るリフォーミング触媒を再生することであり、貴金属を再分散させるためにオキシハロゲン化工程(2)は必ず行わなければならない工程である。 
 したがって、引用文献2および4には、燃焼工程(1)とオキシハロゲン化工程(2)を連続的に行うことは開示されていないので、引用文献1と引用文献2または4を組み合わせたとしても、本願発明の請求項1の方法に想到することは容易ではない。 
・相違点4に関して 
 上記のように、本願発明の課題は、貴金属を含有し、相当量の炭素を含有し得るリフォーミング触媒を再生することであり、貴金属を再分散させるために必ず行われるオキシハロゲン化工程(2)は、注意深く制御されなければならない工程である。 
 この点で、本願発明の請求項1における薄層回転型の炉は、触媒の層が薄く、該層の全体にわたって均一にオキシハロゲン化することが可能である。 
 これに対して、引用文献2に記載されたようなロータリーキルンは、段階的に触媒を再生させることを目的としてキルン内部を複数の室に分離しているが、薄層にて処理を行うものでないため、本願発明の請求項1のような均一な処理を行うには不十分である。 
 したがって、本願発明の請求項1の薄層回転型の炉は、引用文献4のロータリーキルンに相当しないので、引用文献1の方法に引用文献4のロータリーキルンを組み合わせたとしても、本願発明の請求項1に想到することは容易ではない。

(引用文献3を第一引用例とした場合) 
 拒絶理由通知には、本願の請求項1に係る発明(以下、前者と称する)では触媒の再生が炭化水素精製の「現場外」で行われるのに対し、引用文献3に記載された発明(以下後者と称する)では触媒の再生が「その場」で行われている点(相違点4)、また、前者では、燃焼工程(1)及びオキシハロゲン化工程(2)に対して薄層回転型の炉を使用するのに対して、後者では移動床炉を使用する点(相違点5)で相違点が認められている。 
 そして、上記の相違点4について、触媒の再生を現場外で行うことが引用文献4または2に記載されていることに基づいて、引用文献1に記載の触媒の再生方法において、触媒の再生を現場外で行うことは当業者にとって容易であると認定されている。 
 また、上記の相違点5について、引用文献2には、再生炉としてロータリーキルンを使用することが記載されていることに基づいて、引用文献1に記載の触媒の再生方法において、触媒の再生のためにロータリーキルンを採用することは当業者にとって容易であると認定されている。 
 上記相違点4および5は、(引用例1を第一引用例とした場合)についての相違点3および4と実質的に同じ内容である。したがって、上記2つの認定に対しても上記(引用文献1を第一引用例とした場合)に説明したのと同様の理由により、本願発明の請求項1は、引用文献3、2および4に基づいて容易に想到することができるものではない。 
 上記のように本願発明の請求項1は進歩性を有している。本願発明の請求項2~13は、進歩性を有する請求項1の従属項であるため、当然、これらも進歩性を有する。

続く

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