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山形県にある羽黒山・湯殿山・月山を総称して出羽三山と呼ぶ。
ここは厳しい戒律で知られる修験道の修行場だ。
伝説では、非常に強いパワーを持つ修験道のカリスマである役小角(えんのおづぬ)が月山を訪れたところ、「この山に登りたければ、まず湯殿山で修行してこい」と開祖の従者に追い返されたのだという。
こうした出羽三山の中でも一番聖なる場所が、奥の院とされている湯殿山だ。
ここは、ご神体がじかに目に出来る数少ない聖地の一つである。
今では誰が行っても追い返される事はないとはいえ、ご神体を拝むにはいくつものタブーが存在している。
まず、靴をはいたままで聖域に入る事は許されないので、参拝客は裸足になり、その後「人陰」というお札を受けて身体を清め、ようやく参拝が許されるのである。
さらに、湯殿山のご神体には「語るなかれ、聞くなかれ」という決まりがある。
ご神体について他人に話してはいけないし、ほかの人もその様子を聞いてはいけないのだ。
その為、写真撮影はいっさい禁止されている。
もっとも、他言無用のルールはあっても、なぜかご神体の姿は広く知れ渡っている。
それは温泉が涌き出る黄褐色の岩である。
この上を裸足で歩くのが、湯殿山での参拝の仕方なのだ。
一説によれば、ご神体は女性が出産する姿を象徴しているそうだ。
出羽三山では山伏が生まれ変わりの修行を行うというが、ご神体にも再生の意味がこめられているのかも知れないのだ。