かれこれ30年程前になるだろうか。
福岡県宗像市に鎮座する宗像大社の祭神「宗像三女神」をご存知だろうか。
宗像三女神はスサノオとアマテラスが誓約の際、アマテラスがスサノオの剣をかじり、息を吹き掛け生まれた神様達で、スサノオの子とされています。
宗像大社の祭神として祀られ、宮島の厳島神社にも宗像三女神として祀られています。
宗像三女神は長女に(沖ノ島沖津宮)タゴリヒメ、次女(大島中津宮)タギツヒメ、三女(田島辺津宮)イチキシマヒメと呼び、三姉妹とも美人で、ここから美人三姉妹という言葉が生まれたのかも知れません。
三姉妹の中でも、とりわけ美人と言われたのがイチキシマヒメで、水の神様だった事から、インドの神様の弁天様と同一化されています。
また、アマテラスから直接神勅を受け降臨した神様はニニギと宗像三女神だけと言われています。
それほど特別な神様だと言えるのでしょう。
その沖ノ島への参拝を願望する私達は、宗教法人名で宗像大社に参拝許可申請をしたのでした。
1ヶ月程のちに、許可が降りました。
宗像大社の沖ノ島勤務の職員は、一週間交代で海上保安庁の巡視艇で往き来しているのだそうです。
定期便のない島ですので、最寄りの神湊(こうのみなと)から漁船をチャーターし、片道2時間余りの海路を行くのですが、小さな漁船ですので不馴れな日本海の荒波は船酔いを誘発します。
往路は緊張のせいか、船酔いはしませんでしたが、復路の途中で吐き気を覚えていました。
学習しました。
船の揺れに逆らう様に肘を張って、身体を揺らさない様に乗っていると、酔いが来ることに気づきます。
揺れに身体を任せて乗っていれば、酔わない事に気づかされました。
漁船の船長には一時間後に、迎えに来てくれとお願いをして上陸します。
上陸した海岸で、住職と二人で全裸で海水に浸かり「禊(みそぎ)」をします。
身仕舞いを済ませ、急坂な山を登ります。
山の中腹に小さなお堂があり、そこでお勤めをしました。
普通は願っても叶えられない参拝を、させて頂いた事への感謝を述べて、お堂を後にしました。
わずか一時間程の参拝でしたが、島そのものが宗像大社の御神体で、御神域の島です。
二度と訪れる事のないであろう経験に
感謝しつつ、島を後にしました。
この後船酔いで、あげそうになるのですが。