クマやニホンオオカミに出会った訳ではありません。キリクチイワナは姿を見ましたが。
弥山川遡行に行ってきました。(出発地点が熊渡、狼平で引き返す。)
弥山川は、奈良県天川村にあり、近畿で最高峰の八経ヶ岳(1914m)の北側に深く切れ込んだ谷で崖の多い沢沿いを遡行すると言う、近畿では屈指の難所登山だろうと思います。
以前から知ってはいたのですが、遭難者が多いとか、立ち入り禁止になっているとか、道が壊れてなくなってるとかで、なかなか行く勇気も無かったのですが、ネットで調べてみるとどうやら行った人もあるようで、登山道も何とか整備されているようです。
行くのなら充分な計画をもって、よく調べて、必要な装備は揃えて、沢は水量が多いと駄目なので天気を見計らって行って来ました。
一つ気になっていたのは、この前の大雨で地形が変わっていないか?登山道は破壊されていないか?ですが、訪れる登山者も少なく、ここ数日の様子を知るのはネットでは無理ですね。(源流部なので水のひきがかなり早いとも思いましたが)
で奈良県の道路情報を見てみると天川村周辺は大丈夫です。(高野方面や奈良県南部でも崩土の為の通行止めはありましたが)
ま、駄目だったら引き返そう。
00:00ごろ出発、途中、コンビニで朝食を買って、R24を五条→下市口、天川までのR309は下市辺りは細い道ですがそれを過ぎるとかなり整備されていました、天川村内の熊渡までの道は細かったですが、熊渡の橋には林道関係者以外は立ち入り禁止になっていてゲートがありました。2:00ごろ到着。
で道沿いの開けたところに駐車、ここで仮眠、暗いところでの一人の仮眠は心細くってなかなか寝付けませんでしたが、ふと車のウインドウ越しに夜空を見ると、満天の星でした。一気に不安が取れて快適に仮眠がとれました。
4:30に携帯のアラームを合わせてましたが、その前に目覚め、準備をして4:50頃出発。計画では12:00時頃までに狼平に着けば余裕で尾根沿いの道を下ってこれます。15:00ごろまでに帰ってこれるかな?
橋を渡りゲートを越えて林道を歩いていくとやがて、林道は二股になり左の沢方向に行くと目の前に広大な枯沢が出てきました、白川八丁です。
石がゴロゴロしてるところもあり、歩きにくいですが、川の随所に取り残された立ち木がありこんな景色は今まで見たことがありません。沢の奥に進んでいくと所々に水を見かけるようになりましたし、この前の雨で明らかにこの枯れ沢の上を大量の水が通過した痕跡を見かけるようになりました。伏流水が通過性の良い地面の下を通っているようです。
水が見え始め普通の渓流のようになってきたと思ったら、目の前に滝が現れました、「鎌滝」です。
左に撒くとここからがこの沢の本領が見えて来るのでしょうか、道が狭くなってきました、古い木製の橋で滑りますし一部壊れてます^^;
鉄製階段や橋もありますが、大きな岩が落ちてきて壊れていたり、沢の中に転落してたり、迂回路はありますがこれまた危なかったりと・・・でもこの沢では大雨や地震が来れば仕方なしですね・・・直してもまた壊れる。
しばらく行くと小双門の滝が見えて来ました。この上には立派なつり橋も有ります。
その後沢を左へ右へ、水量は今日は多分少ないほうなので、楽でしょうか?でもかなり危ないです。滝の上の滑りやすそうな飛び石とか、川の上でこけたら激流に飲まれ・・・ずっと緊張しっぱなしです^^;
ところで弥山川は禁猟区になっています。「キリクチイワナ」という世界で最南端に生息域を持つイワナの貴重な生息域だからです。随所に「禁猟区」「密猟者告訴2名」の札が登山道にあり、これが今回この沢が初めての私にとってはテープより目立つので案外いい道案内でした。
今回の目的は体力や山登り技術の向上や沢の景色、自然を満喫、温泉、天川村の観光以外に「ハーブガード」の検証、GPSのプロットの正確性の検証など・・・
「ハーブガード」の検証では「ブヨ」にも効きました、沢の大岩と大岩の間や川近くにはブヨが群れて居ましたが一度も刺されなかったです。「ヤマビル」は残念ながら今回は一度もお出ましになりませんでした^^;、時期、場所があるかもです。(梅雨明けだしな・・・)
途中、ちょっと疲れて来ました、疲れてきた頃に左にかなり高巻き・・・また沢を右へ左へ・・・仙人嵓前までの鉄のはしごの辺りかなり来ます・・・前に進めることは進めるんですが・・・写真を撮る余裕が無くなって来ます。
足も腕も限界です。何でこんなところに来たんだろうか・・・しかし絶景です。この3D感覚は今まで行った山ではなかなか味わえません、緊張はしっぱなし・・・落ちればお陀仏・・・
何とか双門滝前のテラス→遭難碑→金剛山まで見える景色のいいところまでたどり着き、やっと下り、これまた非常に危ないです。鎖場の連続。この頃、気分的に萎えて来ました。
でも前に進まなければ今まで通って来た道を引き返す?とんでもない・・・進む方がましです。定期的に氷砂糖と水分と休憩を摂ってるので、しゃりバテや水分不足ではありません、明らかに過労?持ってきた非常食の酵素飲料を飲むと少し楽に・・・決して体は楽ではありませんが、気分的?
やっと「河原小屋」に到着、09:30です。木製ログハウス調の立派な小屋です。休憩ついでに中に入って見ると衛生面も立派、毛布もあります。記帳ノートがあったので読んでみると熟練者か「弥山川は熟練者しか入れないのでテープは必要ないのでは?」みたいなことが書かれてある記帳を見つけました。。。とんでもない、この山の最初に来た人はテープが頼りです。テープをつけた人に感謝せねばですよね?何回か行けば、慣れますが、始めはどんなにきつい山に登ってきた人でも、例えばチョモランマでもK2でも・・・この山は初心者です。遭難を防止の為のテープは必要です。(テープに頼りすぎても駄目ですが)
途中の岩と岩に囲まれた水溜りの中にハッキリとイワナが泳いでるのを目撃しました、「キリクチイワナ」でしょうか?(それまでも大きな魚影が渓流の中に消えるのを2回程)私の姿を見て慌てて泳いだ後、岩の亀裂にもぐりこんだようでした。ラッキーです。
難所のオーバーハングした岩にかかった鉄梯子や空中回廊に、これも危ないですが、今までの難所に比べれば・・・ここまで来るとネットでは狼平までもうすぐって書かれてました。
狼平の非難小屋の屋根を見つけた時は本当にうれしかったです。
11:20に到着、狼平非難小屋ももっと立派です。二階建て、ログハウス調、季節が良ければ(春や秋の涼しい時分もしくは連休なら)人が一杯でしょうが、真昼間と言うこともあり今日は無人です。きっとニホンオオカミが棲んでいたんでしょうね?山の中の静かな草原や木立・・・
この中で多分大丈夫でしょうが、ヒルチェック・・・大丈夫。持参のお袋のお弁当を食べ、ここで30分ほど休憩。天気も非常に良くって・・・昼寝でも・・・いやいやまだ目的はいくつもあります。
疲れた体に鞭打って出発。登りとは言え、普通の登山道は天国です。まもなく高崎横手の分岐に到着。ここからは頂仙岳の左を通り、今回山登りで課題の「カナビキ尾根への分岐」です。
今回の山行は弥山川の沢歩きを主体としてるため、距離の長い沢歩きのあと日帰りは、この尾根伝いの道をとらなければなりません、ところが熊渡までの道は最近開発された道で分岐がハッキリしていないようで・・・でひょっとしたらGPSの力を借りなければと思って、カシミール3Dでポイントをプロットしてgeko201にアップしておきました。
勿論、地図も熟読しておきましたが、地図通り行けば二回目の大きな鞍部の手前に分岐があって栃尾辻まで行けば失敗です。最悪の場合、河合まで降りて3km熊渡まで引き返さなければなりません。その為の時間設定でもあります。(普通に行けば熊渡15:00、最悪の場合、河合に17:00まで降りれば後は一般道路なのでライトで進んでも危なくないですね。
でも心配無用でした、カナビキ谷の出合には、親切な登山者がちゃんと県が作った看板に落書き?してくれてました(^^ゞ
と言うことで無事、熊渡の駐車地点に到着。(14:40)
後は洞川温泉で汗を流し、地元の人に聞いた「柳豊」の柿の葉寿司を買い、「ごろごろ水」を40L汲んできました。
柳豊では、お父さんがごろごろ水を取りに行くんならと、わざわざペットボトルを数本を奥から持ってきてくれました。20Lポリタンを持参してたので、遠慮しましたが、親切に感謝。
ごろごろ水は車一台につき300円の駐車料金、17個ある取水口は一台一つだけ、40Lポリタン4本まで・・・(家に持って帰って家族で飲むだけなら充分な量ですよね?)・・・何かいろいろあったようです。何事にもマナーは必要です。
今回、思ったのですがこの山も決して人を拒んでいるわけではありません、随所に綺麗な景色を胆嚢できる場所、少し技術を要する沢の歩行(私にはそんな技術はありませんが・・・)、それに奥に行けば整備された山小屋・・・来て素晴らしい景観を見て欲しいけど、荒らして欲しくない・・・キリクチイワナは渓流の際の砂場に産卵するようです。そこを歩くなと。(地元の人や有志によってキリクチイワナは何とか増えて居るようです)。
この前に行った風折滝は自然そのままで勝手に行ってください、でも責任は持ちません・・・よりもちょっと踏み込んでるのではないかな・・・遭難は良くないです。人間一人の死が登山道も変わってしまいます。強いては行政も変えてしまうかも?(登山は安全に)
また、弥山川に行くかも?まだ友人をここに連れて行くほどの私の登山技術はありませんが・・・