薬師如来像

当寺の薬師如来様です。
私が寺に入ったときは手足が取れて、箱の中にしまわれていました。金箔は使用されていないか、残されていませんでした。
仏像の中で、一番初めに修復した仏さまです。



お厨子も新調致しました。

十三仏の四十九日日忌担当の仏様として、御法事の折は薬師様の話を必ず行うようにしています。




東京文化財研究所のセミナーでの薬師如来の講演がありました。
最期に受講者の｢曼荼羅に薬師如来が描かれてないのは？｣と｢なぜ国分寺に薬師如来が祀られているのか？｣の質問です。

１、「薬師如来が信仰されたのはシルクロードの国々である。インドでは信仰されなかったために曼荼羅に描かれなかった。」
２、「国分寺に祀られたのは、｢鎮護国家｣のためである。」

１．は全く気がつきませんでした。五仏の内、東方の阿閦如来が信仰されなかったのは、お薬師さんの世界と重なるためだったようです。そのためか阿閦如来が祀られているお寺は少ないのです。奈良の薬師寺では、お薬師さまの台座に葡萄唐草文があしらわれています。

２．は高校の授業で教わったことがありましたが、すっかり忘れていました。その当時のお薬師様の役割と後世の信仰とは、違いが大きすぎます。


山梨県甲州市の大善寺のお薬師さまはブドウを持ったお姿で知られています。
その訳がシルクロードにあったとは思いも寄りませんでした。古くは他にも葡萄を持ったお薬師様があったようです。
甲州葡萄の歴史も大善寺のお薬師さんが関連しているように書かれていますが、史実かどうかはともかく甲州にふさわしい仏様です。



明治になり大善寺をお参りしたお公家さんが、｢薬師如来が手に葡萄を持つのは間違いだ｣と葡萄を外させたことがあったようです。十年以上前にはその人達の名前がネットに出ていました。

２０１６年に放映されてTBS「逃げるは恥だが役に立つ」で大善寺が撮影に使われ、参拝者が３倍に増えたそうです。
来年の１月には、続編が放映されます。 『逃げ恥』新春スペシャル link

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