私は姉との2人暮らしだが、姉は信心深い。何かしたいと思った事柄があると、何日がふさわしいか、
寺で発行する「こよみ」を見てを決める。婚礼で大安吉日を選ぶような事である。一番ふさわしい日は
解体を決めて約1週間後であったが、その決定に従った。当日お神酒を解体する家の周囲にまき、盛塩
をし線香を火を点け安全を祈った。
雨が予想されていたので、内装から解体を始めた。バールで壊して行くが、釘が錆びている為困難を
極める。又廃材を隣家に引き取って貰う為、釘は怪我をさせぬよう抜かなければならない。これに大分
時間を取られた。内装は殆どベニア板である。ベニアは薄い板を3枚ほど接着剤で貼った物だが、殆ど
剥がれ、1枚づつ剥がす事になった。それを三分割して運び易くする。
ベニアの後は土壁である。
細い竹が縦横5cm程で組み込まれ、そこに土と藁を混ぜ水で粘土状ににして練りこみ壁にした物である。
今は化学繊維の断熱材が一般的だが昔はこれが唯一の断熱材であったのだろう。驚いたのがこの竹の丈夫さ
である。100年以上経っているとは思えないほどしっかりしている。この内装を解体するのに2日かかった。
土壁を壊す際は泥粉塵がひどく、粉塵対策用のマスクを購入、また屋根に上がる事も考え地下足袋も購入し
ておく。
余談だが地下足袋は驚くほど安い。生まれて初めて履いてみたが履き心地がすこぶる良い。プロの仕事人になっ
た気分になる。但し先割れなので普通の靴下では履けない。
続く
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