台湾で撮影された西山の標識が入ったアサギマダラ
平成25年10月に日高町の西山で標識をいれ、放したアサギマダラが、同年11月に台湾へ渡っていたことが去る19日に分かった。西山から国外への飛来確認は、平成23年の香港に続く2例目。研究者や愛好家が増えてきており、国外例の確認も増加傾向だが、まだまだ珍しい。西山はアサギマダラの通るルートとして注目されており、関係者は「自然の素晴らしさを再発見する一つのきっかけとなってほしい」と話している。
アサギマダラ(Parantica sita)はタテハチョウ科マダラチョウ亜科に属し、前羽の長さが4~6センチのチョウ。日本列島では春には北上し、秋には南下するという大規模な季節移動をしながら、世代交代を繰り返す。
国内のアサギマダラの移動の謎を調べる取り組みは、昭和58年6月に故・日浦勇氏(当時大阪市立自然史博物館学芸課長)が、自然史博物館友の会会員に呼びかけて始めたのがきっかけ。今では全国各地の研究者や愛好家が「マーキング調査」を行っている。
調査は網で捕獲したアサギマダラの羽にマーク(標識)を入れて、放つ。マークしたことによって、その個体が別の場所で捕獲されたとき、いつ・どこで・だれがマークしたのかがわかり、個体の移動距離・移動日数・移動方向などがわかる。
移動距離は朝鮮半島や中国、台湾などアジアの国外にも越えることがあると言われ、データとして残る報告例は最近5、6年で増えてきているが、年に5、6件とまだまだ少ない。
そんな中、今回、西山から平成25年10月13日に日高町の崎山孝也さん(日高町職員)が西山で標識を付けたアサギマダラが、11月2日に台湾北部にある新北市万里区野柳村の野柳岬でセンダングサに止まっているのを、陳治釣さんが撮影。移動距離にして1619キロだった。
西山から海外へ飛んだ確認例は日本最長、世界第2位の移動距離を記録した、平成23年10月10日から、12月31日の香港島深水湾まで82日間かけて2500キロに渡る旅をした以来。撮影者から台北市立大學の陳健志さん、李信徳さんに伝わり、蝶の標識から探していたところ、日本の研究者に画像が送られ、研究者らの間で交換するメーリングリストやフェイスブックで情報が伝わり、今月19日に崎山さんが自筆のマークだと確認した。
例年、西山には9月下旬からアサギマダラが飛来し始め、10月中旬にピークを迎える。特にヒヨドリバナに好んで飛来すると言われ、西山に多く群生している。研究者や愛好家の中ではアサギマダラの中継点として西山の注目度は高いという。
日高町では毎年10月に町教育委員会が小学生の自然観察会を催しており、崎山さんは「参加する子どもたちにとっても期待が膨らむ情報となったのではないか。これからも西山の自然の素晴らしさに興味を持ってもらえれば」と話している。
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