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日本学生科学賞県審査で日高高校科学部の「ビル風を読む」が県議会議長賞 〈2017年10月14日〉

2017年10月14日 08時30分00秒 | 記事

サーキュレーターを改造した手作りの風洞実験装置で
ビル模型周辺の風速を測る伊藤君(左)と下野君


 読売新聞社主催の第61回日本学生科学賞の県審査がこのほど、和歌山市の読売新聞和歌山支局で行われ、14点の応募作品のなかから日高高校科学部の伊藤徳亭君と下野翼君(ともに2年)の研究作品「ビル風を読む」が県議会議長賞を受賞。11月18日と19日に行われる中央予備審査に同部から初めて進むことが決まった。

 去る4月、下野君は図書館で手にした科学雑誌に高層ビルに吹くビル風の記事が載っているのを見て、元々ビルに興味があったこともあって「おもしろそう」と研究することを発案。伊藤君とともに早速下調べをして研究内容を絞り、スクエア(四角形)型とセットバック(上の階へいくにしたがって順次その外観が階段状に細くなっていく形状)型のビル風の違いに着目した。ビル風の抑制効果は、スクエア型よりセットバック型のほうが高いことは一般的に知られているが、その差違はどのようにしてなぜ生まれるのかを考察しようと、両方の型のブロック模型を、それぞれ高さ12・5センチ、10・4センチ、8.2センチの3パターン用意して、実験に臨んだ。
 和歌山工業高等専門学校に協力を依頼し、まずはその煙風洞実験装置を借りて風を線状に可視化して、ビルの周りの風の流れを読み取る実験を行った。次に、その装置では計測できないビル周辺の風速を測るため、サーキュレーターを自分たちで改造して風を直線状に送り出せる装置を制作。それを用いてビル模型に風を当て、1つの模型型につき240もの個所からアネモマスター風速計で風速を測定。ビルの形状や高さによって周辺の風速がどう変化するかをデータ化した。
 半年に及ぶ研究から、ふたりは、風を受ける側面積が小さいセットバック型のほうが風が安定し、まわりの環境に悪影響を及ぼさないビル構造と言えることを確認。高額な風洞実験装置の類似品を、身近な材料を用いて手作りすることに成功したことも大きな成果となった。
 実験に扇風機を使ったりもしたが、測定結果から、扇風機の風は直線ではなくスパイラル状に吹いていることを発見。サーキュレーターを用いた風洞実験装置を制作する際には、サーキュレーターから真っ直ぐな風が流れ出るよう、噴き出し口にザルや網を重ねて風速のばらつきを押さえ、さらに厚紙を添えて一定方向の風を送れるよう調整した。
 中央予備審査への切符をつかんだふたりは目下、11月8日の書類提出期限に向け、レポートのさらなるブラッシュアップに全力。実験結果を物理の定理に添って証明するなどより確信性を追究し、過去に発表された事例を参考に、よりよいレポートの組み立て方を探っている。
 中央予備審査で選ばれれば、ポスター発表に参加できる。ふたりは「県代表が集まってくるので、レベルはすごく高い。ポスター発表を目指して頑張りたい」と燃えている。


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