ドイツ報告④
ビーレフェルト大学を訪問。難民の方をドイツの学校の教壇に立てるようにするプログラム「Lehrkräfte PLUS(レーアクレフテプルス)」について追跡調査を実施。2015年のシリア難民危機を契機に州政府・関係省庁と連携してビーレフェルト大学で同プログラムが始動。難民としてドイツに入国された方々が現在までに、すでに300名以上かのプログラムを修了者しドイツ国内の学校で正規の教員として活躍している。このプログラムの立役者レナーテ・シュスラー博士とチームの研究者たちと研究交流を続けてきましたが、現状について詳しく教えていただきました。
また、同大学の学生自治会(AStA)の本部でもヒアリングさせていただくことができました。ドイツの大学は学費無償ですが、州政府では学費導入の議論が常にあり、学生たち(大学教員たちもですが)それに抗しているとのことでした。この日の最後に大学附属実験学校を訪問し、アネッテ・テキストア教授にインタビューさせていただきました。教授は学校の先生方と共同研究をしてこられましたが、今日の若手教員や教員志望学生が仕事に大きな不安や負担感を抱えている状況などをお話しくださいました。
本日考えさせられたことは、2015年以降だけでも100万人以上の難民の方々を受け入れてきたドイツにおいて、生活面でドイツ社会に少しづつ根付きつつ表舞台で活躍する段階に入っているということでした。
日本ではそもそも難民受け入れ自体がほぼ皆無という政策下で、定住されている移民の方々さえも活躍しにくい社会があります。日本の学校の正規教員となれるような時代はいつ訪れるのかと考えさせられます。
なお、ビーレフェルト調査より、群馬大学の高橋望先生が参加くださっています。くわえて、日本留学経験のある同大学の現役学生で教員志望者でもある方が、インタビューに参加してくださいました。そのおかげで、自分だけで調査するときには分からない多くの発見がありました。