天候:
行程:山神社7:30-北沢コース-稜線-位牌岳11:30~40-蓬莱山13:38-割石峠13:03-呼子岳14:20-越前岳15:14~30-愛鷹山荘16:40-山神社17:09
単独
さて、今週は静岡県の愛鷹山へ。行くのは初めて。
もちろん名前は知っていたが、偉大なる富士山の陰に隠れて標高はその半分にも満たないので正直これまであまり興味がわかなかった。
今回は概念を掴んでおこうと、主要なピークである位牌岳と越前岳を結ぶコースとした。
その間には鋸岳という痩せ尾根があり、現在は基本的に立入禁止(自粛?)。行くならあくまで自己責任となっている。
でもネットで見るとけっこう多くの人たちが通過しており、それならどんなもんかと行ってみた。
未明に横浜を出て、北側の登山口、山神社へ。
先週登ったばかりの富士山が大きい。今朝は予報通り大雪煙が舞っているが、下界はそれほど風は無い。
駐車場はけっこう広く30台は停められそうだが、今日の先客は3台ほど。
隣にいた二人組に挨拶してからスタート。鋸岳がどの程度悪いのかわからないので、一応メットにハーネス、30m補助ロープなどを持参。
しばらくは沢沿いの雪道を南に向かって進む。正面には時折、鋸岳のギザギザが見える。
今朝は人が少ないが、これまで多くの人が歩いているようでトレースはバッチリ。涸沢を二回ほど渡ってしばらく行くと分岐となる。
実はこの時点で失敗。
本当は大沢橋という地点の手前で左へ分かれ、前岳、位牌岳と進む予定だったのだが、私が持っているのは古い地図で現在のコースが載っていない。
途中で気がついたが、面倒なのでそのまま北沢コースを進む。
そこは位牌岳と割石峠を結ぶ稜線の途中に突き上げるルートで、どちらかというと登路というより稜線からのエスケープ・ルートのようだ。
そのため冬はトレースも少ない。随所にある赤テープを頼りに、足首から膝下までのラッセルで登っていく。
ようやく稜線に到着。真冬の鋸岳はネットの記録もほとんど見つからず不安だったが、着いてみると新しいトレースがしっかり刻まれていた。
時間も少し押してしまい、これは計画倒れに終わるかと思ったが、まずは近い方(左手)の位牌岳を目指す。
ちょっとスリリングな鎖のトラバースをこなし、ひと登りで位牌岳着。
名前は暗いが、頂上は明るい雰囲気。樹間からは富士山が見える。頂上の登山者ノートに記帳し、再び今来た道を戻り鋸方面へ再スタート。
山と警告。ここからは自己責任で。
「警告」の看板を過ぎて少し下ると、先ほどの鎖のトラバース。足元が不安定だが、まだこの辺りは序の口。
ここで不安を感じる人のために途中で北沢への下降路があるのかもしれない。
先ほど登り着いた北沢の鞍部を過ぎると、進むにつれ尾根は次第に細く悪くなる。
最初、鎖やフィックス・ロープに一切頼らずやってみようと思ったが、足元の雪が不安定なので、全体重をかけないよう補助程度に使わせていただく。
警告の看板があるのに無理をして事故を起こしたら、それこそこっぴどく叱られるだろう。
途中、かなり切れ落ちた下りの箇所があり、ここを鎖やロープを使わずにクライムダウンするのはかなり怖ろしい。
位牌岳からだと前半は主に北面のトラバース。鋸岳が近づいた所で狭いギャップを通過し、そこから今度は南面のトラバースとなる。
南面は日当たりが良く雪も解けているので、脆い浮石に注意。
ここも鎖やロープに半分頼りながら通過。何とか無事に鋸岳の稜線を突破できた。
もっとわかりづらいかと思ったが、視界が良ければルートは明瞭。たぶん冬の方がブッシュも少なく、アイゼンも効くので、夏よりもかえって不安が無いかも。
鋸岳・危険コース
蓬莱山でしばし小休止。木々に囲まれてあまり展望も利かないので、そのまま割石峠、呼子岳と先を急ぐ。
位牌岳から鋸岳の稜線を振り返る。
進行方向、越前岳の向こうに富士山
本日最後のピーク、越前岳へはダラダラと長い登りが続いて意外と遠かった。
南面は雪が解け、道も泥だらけとなる。
途中、中高年男女三人組と擦れ違い、陽が西に傾き始めた越前岳(1,504m。愛鷹山塊の最高峰)に到着。
黄金色に輝く駿河湾が美しい。
その後、北東側の富士見峠へと進む。途中、朝の駐車場で会った男二人組と遭遇。
もう下山しなければならない時間なのに、まだ越前岳の手前でこれから山頂へ向かおうとしている。大丈夫なのかな?
途中にあった愛鷹山荘。無人無料。六畳一間ぐらいでカーペット、毛布等あるが、よほどでない限り利用することは無さそう。
後はタラタラと道なりに下り、山神社の駐車場に着。
登りは若干コースをはずれてしまったが、予定通り位牌岳-鋸岳-越前岳と愛鷹山のメインコースを歩けたので、とりあえず満足。
帰りは途中にある「大野路」の露天風呂で浸かってから帰宅。
[メモ]
・愛鷹山の公式(?)HPはこちら。「愛鷹山ハイキングガイド」http://www2u.biglobe.ne.jp/~rss/
鋸岳稜線の両端にある位牌岳と蓬莱山にはどちらも警告の看板があり「立入禁止」となっているが法的根拠までは無いようで、現状は「自粛、自己責任」のようだ。
・ネットの記録では、蓬莱山から位牌岳へ向かうパターンが多い。前掲のHPでもそちらを推奨している。
・今回ロープは持参したものの不使用。ヘルメットは落石、滑落のためというより、しばしば木の枝に頭をぶつけるので有効。
またハーネスもフィックスロープにセルフビレーを取りながら進めるので、着けていると安心。
・鎖は中には新しく付け替えられたものもあるが、ほとんどが古く支点もどれだけ信用していいものか怪しい。
外国のヴィア・フェラータのように整備されているものでないと思うので要注意。
・車で日帰りだと今回のコースで十分だと思うが、探してみたら電車・バスで北麓の十里木まで行って越前-鋸-位牌-愛鷹と縦走し、東海道線の原駅まで日帰りで行っている強者ハイカーの記録もあった。
けっこうハードだと思うが、今度やってみようかな。http://chmastian.blogspot.jp/2014/05/blog-post_10.html
・同程度のルートとして「那須・朝日岳東南稜」、「秩父・両神山赤岩尾根」、そして「愛鷹山・鋸岳」の三つを、冬に一人で行った経験をあえて比較すると、
朝日岳東南稜・・・一番アルパインぽく、すっきりしている。風が強いと厳しい。懸垂一回必要。
両神山赤岩尾根・・・両神山まで行くと一番長丁場。ルーファイも必要で体力がいるが、技術的には(私は)残置物に一切頼らず行けた。
愛鷹山・鋸岳・・・正味悪い箇所は小一時間ほどで短いが、残置物に頼らないとかなり悪いし、その残置物も不確か。
シャモニ針峰群?・・・いえいえ静岡針峰群