KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

冬の赤岩尾根~両神山、完結

2017年01月29日 | バリエーション・ルート
日程:2017年1月29日(日)前日発日帰り
天候:
同行:まっちゃん、ノトっち(我が社の山岳部)
行程:起床4:30-赤岩橋・出発5:45-赤岩峠6:45~55-赤岩岳7:20~25-P49:00~10-P110:40-八丁峠11:10~20-西岳12:10-両神山14:05~25-上落合橋17:15

 この週末は一人で軽い山へ行ってスノーシューで遊んでこようと思っていたところ、直前になって我が社の山岳部・若手二人からお声がけいただき急遽、両神山へ計画変更。
 冬の両神・赤岩尾根は、私は過去二回単独でトライしているが、いずれも八丁峠までで時間切れ。両神山までは達していない。
 やはり横浜を当日朝に出発していては登山口に着くのが9時過ぎになってしまうので、今回は前日発。これで三度目の正直としたい。
 横浜から両神山は圏央道により多少は近くなった気もするが、高速を下りてからもなかなか遠い。 
 本当はもっと明るいうちに着いて廃村となったニッチツ住居跡のシュールな景観を見てもらいたかったが、夕暮れになってから到着。
 シェフ・ノトっちの山メシとそれぞれ持ち寄った酒を飲んで明日に備える。
 
 翌日曜。ヘッデンを点け、未明に出発。
 夜明け前だとわかりにくいかなと思ったが、さすがにこれまで二回も行っていたので道を覚えていた。
 ルートに詳しいといっても終始、自分が先頭を行ってはつまらないだろうから今回は基本的に若い二人に先を任せる。
 我が社の山岳部の中でも特にパワーが有り余っている二人だけに、おじさんは付いていくのに早くも汗ダク・・・。

 赤岩峠着。
 積雪はそこそこあるが軟らかく、アイゼンを着けるほどではない。
 そして驚いたことに、昨日歩いたかのような真新しいトレースがあり、これから進む赤岩尾根へと続いている。
 ネットで検索すると、無雪期の赤岩尾根はもはやポピュラーなバリエーションだが、冬の記録となるとほとんど無い。
 そんな変人は自分ぐらいしかいないということか?

 ラッセルの必要は無い積雪量ながらルーファイが重要となる赤岩尾根にとって、このトレースはかなり時間短縮となり、今回大いに助けられた。

 尾根を少し登ってから正面の岩からそれて左へ樹林帯をトラバース。雪のルンゼ、そしてちょっと細い岩のリッジを辿っていく。
 「これで一般ルートですかぁ?」とノトっちがボヤくが、まぁ一応バリエーションとなってます。
 赤岩岳に到着。木陰から大ナゲシ、遠く浅間山方面を遠望して小休止。先へ進む。

 

 

 続いて1,583m前衛峰。一応、このルートの核心か。
 正面突破はⅢ級の岩登り、やや左のFIXロープ沿いにも行ける。チャレンジャーのまっちゃんは前者、堅実派のノトっちは後者を選ぶ。
 私は前二回とも正面を登っているので今回はノトっちの後からFIXロープ沿いに登ってみた。
 過去の記録にはFIXロープはかなり年季が入っていて却って頼るのは危険と書いてあったが、今(2017年現在)はもう一本比較的新しいのがしっかりハンガーボルトでセットされ、不安はない。
 まぁ瞬間的にほぼ垂直の箇所もあるが、慣れた人ならロープを頼らずに登れる。

 続いて1,583m峰。
 向かって右側、南側面をトラバースして段差のあるスラブ状の岩場を登っていく。
 ピークから一旦高度を下げ、尾根は続く。登り返した所が樹林帯の中のP4。
 ここまでで赤岩尾根の約半分か。八丁尾根から両神山までまだまだ長い。

 

 

 簡単に跨げる小キレット、ちょっと悪いトラバースを経てP3。そしてⅢ級のチムニーを越えてP2へ。

 この先、古いFIXのトラバースがあってP1に到着すると記憶していたが、ロープが雪に埋まってしまっていたのか全く気付かず南側の一段下がった巻道へ進んでP1を飛ばしてしまう。
 特にピークに拘るつもりはないが、P1は赤岩尾根の中で一番展望が良いのでせっかくなので、まっちゃんと共に登り返す。省エネ派のノトっちは割愛。
 これで赤岩尾根はほぼ終了。後はタラタラと快適で緩やかな道を下って八丁峠着。

 

 

 多少のタイムロスはあったが、誰かのトレースと以前よりも増えた赤テープに導かれ、ここまでペースは順調。
 多少疲れはあるが、小休止後、予定通りに八丁尾根へ継続する。
 この先は私も初めて。

 赤岩尾根がルーファイが求められる細かいアップダウンの連続だとしたら、八丁尾根はルートこそ明瞭だが、大きく鉈で断ち割ったような鎖場が続く。
 これが赤岩尾根からの継続だと、体力的に響いてくる。

 

 

 「長いなぁ、シンドイなぁ。」とボヤキながらもういくつ目となったかわからない鎖場を登り切って、ようやく両神山山頂に到着。
 やっと終わった。

 だが、まだ安心できない。
 下山口の上落合橋までの最後の下りも一応作業道とされているが、一般ルートでなく、いわゆるバリエーション道だ。
 特に雪の時期だけに状況がわからず、ここはヘッデンを使わず明るいうちに突破したい。
 ネットの記録を参考に通行止めのトラロープを二回潜り、雪の沢筋へ。

 しばらく真っ直ぐ雪の急斜面を下っていくが、やがてクライムダウンも厳しそうな凍った小滝に行く手を阻まれる。
 ロープを出して懸垂下降かと思ったが、そこさえ越えれば安全かという保証はなく、無雪期にあれだけ多くの人が下っているならこんなに悪い筈がないという気がした。
 すると、まっちゃんが向かって右手の方に道標となるピンクのテープを発見。いや、これはファインプレイ!
 以後、向かって右手の山裾をトラバースする作業道をピンクテープに導かれ、延々と下る。

 しかし、この下りもなかなか長い。
 無雪期だと1~1時間半と書かれていたりするが、とんでもない。
 この時期だと不安定な雪の箇所などあって、思いのほか長く感じられ、「下りは短く、楽勝(なはず)だから。」と事前に説明していたオヤジは、若い二人から不信のまなざしを向けられてしまった。

 それでも何とかヘッデンが要らないギリギリの時間に安全地帯である林道に到着。良かった。
 技術、体力的には一人で行けても、この下りは単独では泣きが入ったかも。若手二人には精神的に大いに助けられた。感謝!
 帰りは大滝温泉で汗を流して、秩父市内のちょっとレトロな洋食屋で夕食。

 
 
 行動時間約11時間半。

 結局、持参したロープもアイゼンも今回は使わなかったが、翌二日間はフルマラソン級の腿筋バキバキ状態が続いた。畏るべし藪岩魂。
 冬の赤岩尾根から両神山、これにて完結。


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