一日目 、カナダではのち
成田-カルガリー-キャンモア(ACC Clubhouse泊)
さて、いよいよカナダである。
出発は17時の便なのでいつもよりゆっくり起きて、録画しておいた「孤独のグルメ3」を見ながら朝食。
juqcho氏からLINEで"Good luck!! I'm looking forward to hear your success."とメッセ-ジが入っていたので"Thanks! I go without overdoing it. See you."と返す。
荷物は、直前になって向うにいる娘から「スノボのウェアを持ってくるよう」指令が下ったので、結局オスプレー・イーサー60とLL.Beanの50Lバッグが目一杯となってしまった。
昼過ぎに家を出て、15時前には成田着。
JR成田空港駅でまず出迎えてくれた(?)のは、この人。
海外の山はいつかそのうちと思っていたが、いざ行くとなるとやはり金銭面や家庭のこと、仕事の都合などいろいろとハードルは高い。
そんな時、「じゃいつ行くの?今でしょ!」と背中を押してもらったことは確かである。
夏休みの空港はそこそこ混み合っていたが、前日のうちにAirCanadaからのメールでチェックインを済ませていたので、手続きはいたってスムーズ。
さぁ後は乗るだけと思ったら、ここで大ボケ。
飛行機に乗る直前になって係員に呼び止められる。
「すみませんが、バッグ開けさせてもらっていいですか?」
「いいですよ。特にヘンな物は入っていないと思いますが・・・。」
と、言ったそばから何とEPIのガス・カートリッジ!
もちろんこれは預け荷物でもNGで、自分でも重々承知していたのだが、どうやらいつもの山へ行く習慣で「コッフェルの中にはカ-トリッジ」とまったく無意識のうちに入れてしまったようだ。
まったく未使用の新品だったが、もちろんその場で即没収!
今回、AirCanadaのシートはエコノミーながら、プラスいくらか払って足がゆったり伸ばせる機体中央(翼の付け根)の非常口付近にしてもらった。
飛行時間は10時間。向うの山に登る前にエコノミー症候群になってしまったら身もフタもない。
ところが、隣の席のかつてK1に出ていたピーター・アーツ似の大男が、具合が悪いのか飛行機が怖いのか、最初から頭を抱えてうずくまっている。
せっかくの足元ゆったりスペースも、身長190cm以上もある男がヒザを抱えるようにしてうずくまっていると邪魔で、気軽にトイレに行くこともできない。
悪いと思って背中から跨いでいこうとしたら気付いたようで、怒った顔で「そういう時は思い切りオレを突っつけ!」と言う。
だったら、ちゃんと座れや。ピーター!
さらに運が悪いことにすぐ後ろの席のガキ・・・いや、お子様がビービー泣いてうるさい。
ようやく泣き止んだと思ったら、今度は後ろからドンドン、シートを蹴飛ばす始末。ったくもう!
唯一の救いは日本人のCAが二人、うち一人がちょい藤原紀香似で、この人がいろいろ親切にしてくれた。
機内では小難しい映画を見る気がせず、以前見たことのあるサーフィンもの「Blue Crush!」、それにカナダTVのプロレスとアマゾン・フィッシングものを見て過ごす。
10時間後には運転しなければならないので、ビールは自粛。
あまり眠れなかった気がするが、2回の機内食の合間に出されるというアメリカン・カップヌードルにまったく気が付かなかったので、そこそこ眠っていたのだろう。
そしていよいよカナダ、カルガリー国際空港着。涼しい!
空港ビルの壁にはロッキーの山が描かれ、気分が高まる。
入国手続きはスムーズ。
アヤしい東洋人が一人で、ということで係員に一瞬、怪訝な顔をされたが「My daughter is in Edmonton. A student of the university・・・」と言うと「OK!Have a nice day!」と応えてくれた。
二つの大荷物をカートに乗せてレンタカーHertzの窓口へ。
日本で予約済みだが、念のため確認するとやっぱりFPOになっていた。
FPOとは最初からガソリン満タン込の料金設定で、外国ではよくあるパターン。日本では満タン返しが普通なので、ちょっと馴染みが薄い。
FPOの利点は車の返却がスムーズな点だが、もしいくらかガソリンが残っていたらその分最初に高い料金を払っているので、こちらはいくらか損したことになる。
やはり自分の使った分だけ払いたいので「No FPO. Change it, please.」と言って変更させる。
Hertzの日本オフィスであれほど念押ししたのに、全然伝わっていない。早くも大陸のアバウトさの洗礼を受ける。
車は一番安いコンパクトにしたところトヨタのYaris、つまり日本名ではヴィッツ。
左ハンドルだが、何となく遠い異国の地で同胞に会えたようでホッとする。
White Body なので、「ホワイティ」と命名
今回のカナダではさらに頼りになる相棒として「Sygic」というオフライン・ナビをスマホにダウンロードして持ってきた。
しかし、なぜかここに来てナビのGPSがうまく作動しない。
あれこれやっても英語表記のアプリなので細かいことはよくわからず、かといってこのままここでウダウダしていてもちっとも先に進まない。
Let it be. とりあえず出発。
しかし大体の地図は頭の中にインプットしているが、やはり実際に走るとここで曲がっていいものか不安になり、結局、空港の回りを馬鹿みたいにグルリと一周してまた同じ位置に戻ってしまった。
マズイ!このままでは今日中にキャンモアにさえ着けないかもしれない。
しかし、ここで救世主、現る。
"BANFF"と書いた紙を持ったヒッチハイカーが立っている。
以前「ヒッチャー」という恐ろしい映画を見て、それ以来ヒッチハイカー恐怖症の自分だが、こうなったらしかたがない。
彼を掴まえナビ代わりとする。
Nice to meet you!
彼の名前はクリス。アメリカ生まれのノルウェー育ち。28歳。
アバランチ(雪崩)の研究をしているらしい。
四人兄弟で、長兄はニューヨークでカーペンター、弟はミャンマーで脳(?)の研究、妹はカンボジアで働いているとか。なんてワールドワイドな家族なんだ。
クリスのおかげで2号線から16号、そのままトランス・ハイウェイ1と走り続ける。
小1時間も走ると、それまでの大平原からポツポツと道の両側にロッキーの山々が現れ始める。
凄い!これが本場のロッキーか。
日本のような穏やかな山並ではなく、大きな岩の塊をナタで断ち割ったよう岩山がズドンズドンと豪快に現れる。
途中から結構強い雨となる。
バンフ手前のゲートでナショナルパ-クのエントリーパスを買う。
カナディアンロッキーは4つの国立公園にまたがっているが、ここに入るには入園料が必要。
1日券と1年間の二種類があるが、今回のように一週間以上いるなら年間パスの方が割安。$67
(カナダドルはこの時点で1ドル約100円。以下Canada$を単に$と表記)
バンフまでクリスを送ると、ありがたいことにナビが正常に作動し始めた。
山を見ては一々驚き、途中の踏切で1kmはあろうかという長い貨物列車が通るのを見ては感動する。まさに映画で見る大陸そのものだ。
来た道を少し戻る形でキャンモアへ。
あいにく時間が遅くて町のインフォメーション・センターは閉まったばかり。
歩いて少し町を見て回るが、細かい地図が無いのでよくわからず。
山の店があったので、ここでドライフーズと念のためガス・カートリッジ(小)を購入。
自分のストーブはEPIだが、ロッキーの町ではEPIやPRIMUSはまず見かけずMSRやJET-BOILがほとんど。
一応MSRが互換性がある。
その他、Sobeysというスーパーで食糧品を買い、本日の宿ACC(Alpine Club of Canada=カナダ山岳会)のクラブハウスへ。
部屋は二段ベッド二つの4人コンドミニアム。狭いが物価の高いカナダにあって一泊$25は格安だ。
初日からヒッチハイカーに助けられたりの珍道中で、我ながらこの先が思いやられる。
それでも前夜が機内だったので、この日はぐっすり眠れた。
冒険ですね。
アドベンチャーですね。
先が楽しみです。
ところでAir Canadaのエコノミーって荷物何キロまで許容してるんですか?
海外の山に行ったことがない私にとっては
そこからがもう高~い壁です。
喉元過ぎれば・・・じゃないけど終わってみれば笑い話ですが、けっこう毎日がギリギリのクロス・プレイでした。
ACの荷物は「地球の歩き方」によれば2個×23kgまでOKとなっていますね。
私は今回60Lザックと50Lバッグでしたが、たぶん重さはそれぞれ20kg未満だったと思います。
外国人のバカでかいスーツケースやダッフルに較べて、日本人は常に軽量化を考えていますから、まず大丈夫でしょう。