『古語林』(大修館)はおもしろい。コラムも役に立つ。たとえば、「耳がよかった万葉人」より。
<万葉集の時代には清音60、濁音27を使い分けていた(現在は清音44、濁音18)。「あき」のキは甲類の「伎・吉」、「つき」のキは乙類の「奇」というように決まっていた。>(p471)
「折口信夫は古代人の言葉を聞くことができた」と吉本さんが評したのも、このことかと感心した。おそらく折口も、万葉人の発音を聞き分けることができたのだろう。
長い間、『岩波古語辞典』の愛用者だった。この辞書にもいろいろ思い入れも愛着もある。ただマニアックでくせがあり、初学者が使うにはクセがありすぎる。