きょうのホッファー

　1958年10月13日、沖仲仕……は、放送上避けたい用語だそうだが……の哲学者ホッファーの日記より。

　「十月十三日
　今日で六日連続して仕事。先週の水曜日の仕事始めより今の方がずっと元気があるようだ。もしかしたら、毎日働き続ければ、疲労のサイクル、疲労曲線がわかるかもしれない。働きながら疲労を克服することさえできるかもしれない。
　頭の回転がどうなるか、予想するのは難しい。長期にわたって休んでも、刺激にはならなかった。なにかくらいつく問題がないかぎり、また、考え直したり検討を加えたりする原稿がないかぎり、閑暇が生産的なものになるという保証はない。ためしてみて結果がわかってしまうのを恐れてさえいる。
　目下なにか問題をかかえているだろうか。知識人の問題はそれとはちがう。これはわかっている。また、ファナティシズムの問題もちがう。知識人、トゥルー・ビリーヴァー（The True Believer　邦訳『大衆運動』）、大衆運動などは、もっと大きな問題の一側面であるにすぎない。これらの主題は、どれをとっても、目下のところ刺激にもならないし、熱中することもない。おそらく、私はこれまでずっと一つの中心的な問題を追いかけてきているのだろうが、それがなんなのかまだわからない」（『波止場日記－－労働と思索』）

　この日のホッファーのように感じることがある。定時退社していた頃より、徹夜含む残業続きの今月のほうが、調子がよい。これは十分に検討に値する問題だ。

　（ホッファーはモンテーニュの『エセー』を三度通して読み、「この十六世紀の貴族は自分のことばかり語っている」と印象を受けたという）