何色と訊かれて春のいろという
俳句を始めたばかりのころ「山笑う」という季語を知った。春の山の様子を「笑う」と表現したその季語に、初心の私は色づきはじめた春山を思い浮かべ、確かに山は嬉しくて笑っている、なんて素敵な季語なんだろうと、俄然「山笑う」で句を作ってみたくなった。私が思う春の山は芽吹いている植物の色。若葉のうすみどり、花々のももいろ。そして祝福するような真っ青な空の色。どの色も外せない。ならば、と出来た句が『うすみどりももいろそらいろ山笑う』。全部入れてしまった。
掲句は逆だ。とにかくそれらを全て表す言葉として「春のいろ」。こういえば日本人なら同じような色を思い浮かべるだろう。何色かと訊いてこんな答えが返ってきたら、曲者だけど嫌いじゃない。
我が家の春のいろ達