11月27日、私のチェンバロ、クラヴィコード、バロックダンスの師匠のコンサートがありました。バッハとベームを中心としたプログラム。バッハとベームの出逢いを現したコンサートになっていました。
この日の目玉はプログラムもそうですが、なんと言っても2台のクラヴィコードが運び込まれた点でしょう。1台はレッスンで私が使わせていただいているライゼ・クラヴィコード。もう1台はフーベルトモデル1787年のレプリカ。こちらは初めて聴きましたし触らせていただきました。
クラヴィコードは響きを持った音色を出すのが本当に難しいです。私は音が出るようになるまでに2年かかりましたし、弾けるようになるまではまだまだです。タッチに拘らなければならない楽器だと感じております。音がようやく出るようになってからインヴェンションの1番をレッスンしていただきましたが、こちらも2年かかりました。つい先日のことです。
それだけにこの日のコンサートは楽しみでした。大学時代、ベームにハマり、ベームの楽譜(鍵盤)全てをまとめ買い良い思い出(笑)そのベームを師匠のクラヴィコードで(チェンバロではなく!!!)聴けるのだから、それはそれは楽しみでした。
1曲目はメールロのトッカータ。トッカータ(触れるの意)とは楽器の調子や会場の響きなどを知るための調べです。トッカータの前にも即興がありました。クラヴィコードは音の小さな楽器ですから、お客様もものすごく集中します。その視線や聴線(なんて単語はないけど)を背中に受け止めての演奏。会場にいた全員が敏感な耳となったことでしょう。前半の最後はベームのハ短調の組曲。さて、私はバロックダンスも習っていると書きましたが、師匠はバロックダンサーでもあります。バロック音楽をやる上で欠かせない要素の1つです。バロックダンサーが演奏する舞曲。これはやはりいつも聴かれる演奏とはまるで違っていました。音からダンスの躍動感(というと安っぽいけど)が伝わってくるようでした。中でも印象的だったのはジーグでした。今日聴かれるジーグは甘いのかもしれません。タッチによって変わる響きを目の当たりにしました。
後半にはバッハのリュートのための前奏曲から。そしてバッハのフランス組曲2番。この日最も感動した演奏でした。数年前のレッスンで「バッハを良く演奏すること」と話されていたのを覚えています。その言葉が自分には何故か印象的で、この演奏に触れてその想いが強く伝わってきたように思いました。集中力というか入り込みというか…背中から伝わるもので、楽器と一体になったような演奏…「舞曲」におさまりきらない「バッハの音楽」がそこにありました。
そして初めて聴いたフーベルトモデルのクラヴィコード。バッハと同じ時代を生きたフーベルトのレプリカは素晴らしい音色でした。運搬を手伝ったのですが、大きいだけあってとても重かったです。
今月もまたレッスンがあります。こちらも死ぬ気で練習してレッスンに臨もうと思います。バッハ、ベームの素晴らしさを改めて知るとともに、気が引き締まる思いのしたコンサートでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます