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自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険(その四)

2014-01-09 | 秘密保護法

リブインピースホームページ自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険よりの転載 

以下Qは「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」による

Q7 市民が得られていた情報が、ある日突然隠される可能性は排除できない。(12月4日 朝日新聞・朝刊)

(1) 回答は「内閣総理大臣」が指定について行政機関の長に対して指示する「改善策」をもって反論しているが、全くの見当外れである。国民の声を無視して強行成立させた安倍首相の戦時体制・監視体制構築を問題にしているときに、安倍首相が管理するから大丈夫という反論はありえない。逆に、恣意的な運用、際限なき拡大を促進するものになるだろう。

(2)「『市民が得られていた情報』は『公になっていないもの』という要件を満たしておらず、特定秘密に指定されることはありません」という回答も、全く的外れだ。政府が防衛計画で調達しようとしている軍艦や戦闘機の数、軍事作戦、軍事演習、防衛政策などの重要な点について、これまで公表されていた情報でさえも、新たな方針・計画については知らされないことになるということが、懸念されているのである。回答は「過去公表して公になっているものは新たに特定秘密に指定することはない」と言っているだけである。
 一方、森雅子担当大臣は11月29日の答弁で、過去の膨大な非公表文書にもさかのぼって「特定秘密」の指定が可能と回答している。

 だが【逐条解説】を読むと、ことはそう単純ではない。「公になっていないもの」について以下の記述がある。「『公になっていないもの』との概念は公にされたか否かとは別個の概念と解すべきであり、例えば特別秘密に該当する事項を壁新聞に掲載して公道の掲示板に掲示する行為は、特別秘密を公にした行為であるが、たまたま警察官がこれを早期に発見して撤去し、誰の目にも触れなかった場合には、当該事項は『公にされた』ものの、いまだ『公になっていないもの』として、非公知性の要件は失われない」
 いかにも禅問答のような解説だが、問題はなぜ「公にされたもの」と「公になったもの」を区別するような発想がでてきたのかということではないか。誰かに「公にされた」としても政府が「公になっていない」と強弁して秘密指定することができるとともに、すでに「公になっているもの」をブログなどで公表した者を、「公にされた」もののいまだ「公になっていないもの」を公にしたとして、特定秘密保護法違反で処罰する余地を残す。「公になっている」「いない」が極めてあいまいなのだ

 これは決して荒唐無稽な話ではない。1937年に改訂された軍機保護法では、それまで公表されていた戦闘機や軍艦の情報が突如公表されなくなった歴史がある。宮澤・レーン事件では、宮澤氏が撮影した根室の海軍の飛行場などの写真や情報が、軍機保護法違反に問われた。裁判で弁護人は「新聞にも載っている周知の事実」などと主張したが、大審院は「公然化していたとしても、海軍が公表していなければ軍事機密に該当する」と退けた。この史実は、それまで市民が得られていた情報が知らないうちに特定秘密に指定され、突然特定秘密保護法違反で逮捕される危険性を示している。

Q8:今回の法律も秘密に接近しようとしただけで処罰の規定がある。「話し合い」が共謀にあたるのだ。(12月6日 東京新聞・朝刊)

 回答は「極めて例外的な場合を除き、公務員以外の者が処罰対象となることはありません」としている。つまり、「極めて例外的な場合」は処罰される。それは、Q1、Q6と同様である。ここでは新しい基準が付け加えられている。「処罰される」ためには「特定秘密であることを知ってこれらの行為を行う必要がある」というのである。だが、条文にはどこにもそんなことは書いていない。もしそうであるならば「特定秘密を知った上で取得した者」と法律に明記すべきだった
 仮に「特定秘密を知って」というのが処罰の条件になるとしても、「何のために取得したのか」「特定秘密と知っていたかどうか」が問われることになる。仮に知らなかったと主張しても「知って取得しようとしただろう」と逮捕・起訴されれば、裁判で「知らずに取得した」ことを証明しなければならない。「知らなかったこと」を証明するのは「知っていたこと」を証明するよりはるかに難しい。わざと知らせて、「おまえ特定秘密と知っていて取得しただろう」と市民を陥れることも可能となる。
 また、「『話し合い』が共謀にあたる」については、「2人以上の者が漏えい行為の実行を具体的に計画して、合意したときに成立し、単に『話し合う』だけでは『共謀』に当たら」ないとしているが、市民団体の会合で「情報を役所に聞きに行こう」と日時や場所を具体的に話し合っただけで共謀にあたることになる

イ 「共謀」
 2人以上の者が漏洩行為等の実行を具体的に計画して、合意することをいう。(【逐条解説】より)

Q9「何が問題かわからないまま処罰されることになりかねない。」、「共謀や未遂のケースでは、どんな秘密に関わって罰せられるのか、被告自身がわからないという事態さえ考えられる」(12月2日 朝日新聞・朝刊)

 回答は「『共謀』『教唆』『煽動』が成立するにはその対象が特定秘密であることを知っている必要がある」とする。これはQ8と同じである。繰り返すが条文のどこにもそんなことは書いていない。「知った上で教唆した、煽動した」といわわればそれまでだし、条文に書いていない以上、知っていたかどうかは違法かどうかの判断基準とはならない。
 特定秘密を取得した市民は、それがいかなる状況であろうと処罰される危険性があると考えなければならない。
 後半部の刑事訴訟については、「被告人の防御権を侵すことのない形で進められるべきである」と書かれているだけで、どのように防御権が保障されるのかは一切書かれていない

Q10「特定秘密を知った公務員の家族や友人、さらに省庁に出入りする民間の契約業者で働く従業員にも処罰対象が広がる」(12月6日 朝日新聞・朝刊)

 回答は「特定秘密を偶然知った者がこれを他の者に伝えたとしても処罰の対象にならない」とする。つまり特定秘密を取得し伝達した者が罪に問われた場合、その秘密を偶然知ったか故意に知ったかが問われるということ、有罪にならないためには、特定秘密と知らなかったこと、情報を偶然知ったことを証明しなければならないということである
 最近の「パソコン遠隔操作事件」では、「なりすまし」によって濡れ衣をかけられた人が最低4人冤罪で逮捕され2人が「自白」させられている。「偶然知った者」が検挙され、警察の執拗な追及によって「故意に知った」と自白しない保障がどこにあるのだろうか。
 問題は、特定秘密が市民に知らない間に指定されることによって、「秘密取扱者」とつながる膨大な数の市民が冤罪の危険にさらされるということである

Q11 国民の権利を侵害しかねない。(12月6日 東京新聞・朝刊)

 回答は、「国民の基本的人権を侵害してはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」旨を定めていると、第22条の条文をそのまま繰り返しているだけで、その保障や担保は全く書かれていない。
 この条文では「十分に配慮」とされているだけで、報道や取材の自由が保障されているわけではない。しかも実際の条文では、「国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず」と「不当に」がはいっており、「不当でない侵害」は許されることを示しているのだが、ここでは、「不当に」という文言を割愛し、あたかも「国民の基本的人権の侵害」が一切ないかのように、回答している。

(参考)
※「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」は以下のホームページに掲載
  秘密保護法報道?自民党反論文書の中身」(GoHoo)
「特定秘密の保護に関する法律Q&A」(自民党)
「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」(自民党)
「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」(内閣官房 2013年11月)
「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議)
 (なお、法律案の制定過程で「特別秘密」が「特定秘密」に変わったため、古い文書では「特別秘密」と表記されている場合がある)

「特定秘密の保護に関する法律(全文)」

(つづく)

(ハンマー)


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