集団的自衛権解禁=9条解釈改憲に反対する(2)
--限定容認はまやかし。無制限な海外派遣・武力行使につながる
安倍首相は集団的自衛権反対が根強いとみるや表向き全面解禁ではなく「限定容認」を打ち出すことで自民党内部の慎重派を押さえ込み、さらに公明党を切り崩そうとしています。
しかし「限定」はウソとまやかしに塗り固められています。「限定」どころか数々の「例外規定」がもうけられた、なんの限定もない集団的自衛権のフリーハンドの承認なのです。
安倍首相の諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」は「限定容認論」の「限定5条件」を列挙しています。①密接な関係にある国が攻撃された場合、②放置すれば日本の安全に大きな影響が出る場合、③当該国からの明示的な支援要請がある場合、④第三国の領海通過では許可を得る、⑤首相が総合的に判断して国会承認を受ける。
まず最初の問題は、「5条件」を付けるのが首相だということです。しかも「5条件」は閣議決定の文書には盛り込まれず、首相の国会答弁などにとどめるといいます。「将来への決定的な制約になってしまう」からだというのがその理由です。つまり、「5条件」は口頭で、「集団的自衛権行使容認」だけが政府見解として閣議決定され文書に残るというのです。
しかしその5条件全てが下記の点で何の「限定」にもならないのです。
--行使対象国の無限定性、無制限適用。共に軍事的侵略行動を行う対象国、「我が国に密接な関係にある国」とは米国が中心であることは言うまでもありません。ところが米国に限定されていません。「密接な関係」とは何かもはっきりしません。政府自身がオーストラリア、インドネシア、フィリピンなどが含まれると公言しています。限定ではなく、無制限の拡大です。政府が「我が国と密接な関係がある」と言いさえすれば、自衛隊を派兵し武力行使することが可能になります。
--行動範囲の地理的無制限性、グローバル派兵。政府は、地理的行動範囲は原則として日本領域か公海に限定する、従って他国領域には踏み込まないと言っています。ところがこれもウソです。現に石破幹事長が「地球の裏側もありうる」と公言し続けています。公海上ならどこにでも行けるし、「他国の領域では行使しない」という限定も、「当事国からの明示的な要請」があれば、「放置すれば日本の安全に大きな影響が出る場合」は認められる危険性があるのです。
--安保法制懇は、PKO活動などで派遣した自衛隊が他国の部隊に対する攻撃に参戦したり、後方支援をしたりする事態を想定しています。従来「戦闘と一体」の行動を禁止してきましたが、一気に解禁する方向で進めており、隣接する他国PKO部隊への攻撃を口実に戦闘への全面的参加さえ可能になります。
今年一月スーダンPKOにおいて、首都ジュバの宿営地付近で銃撃戦が起きた際、全隊員に武器使用を許可したという報道がなされました。PKOは「停戦合意がなされていること」などのPKO5原則が前提なので即時撤退判断すべきはずが、実際は戦闘地域に派遣され武器使用さえ指示されていることが明らかになったのです。
(ハンマー)