4月22日、住吉区の教育フォーラムに参加してきました。他の区の教育フォーラムとはかなり違う点がありました。
まずは教育フォーラムの参加者は住吉区民に限るとされていたことです。しかし、実際に会場に行ってみると、住吉区民であることのの証明は特に必要とはされませんでした。
この教育フォーラムに「こどもの夢が広がる教育環境を考えよう!」という題が付けられていた点には、他の区が単に「教育フォーラム」と銘打っていたのに比べると、学校選択制を導入したいという気持ちが表れているように感じました。
最初に区長が学校選択制について説明をおこないましたが、ここで特徴的なことは、まず、学校選択制が導入された場合のスケジュールを具体的な年と月を挙げて説明していたこと、そしてこの制度が文科省の指導の下で1997年に開始され、そのための法改正もおこなわれ、現在14%の地域で学校選択制が実施されているという紹介をしたことです。学校選択制は、すでに国の主導のもとで開始され、全国的に実施の流れが進んでいるかのような印象を与えるような説明でした。
この説明の後、他の区では会場の参加者との質疑応答があったのですが、住吉区ではパネルディスカッションの時間がかなり取られていました。コーディネーターは阪大の名誉教授で、「大阪市学校適正配置審議会」の会長でもある金子氏でした。
ちなみに、この審議会というのは、大阪市の小中学校の統廃合について議論しているところで、学校選択制と学校の統廃合が密接に関わっていることを想起させる人選でした。
一方パネラーとして発言したのは、小中学校の校長とPTAの代表、地域振興会の方々でした。選択制を支持する発言ばかりになるのかと思いきや、むしろ、選択制を批判する内容を展開した方々が多かったのには驚きました。
まず、小学校の校長は、選択制のメリットとして挙げられている「特色ある学校作り」「学力向上」は、むしろ地域との連携の中で形成されるのだということを展開しました。義務教育である以上基本的なところで他との違いを出すわけにはいかないが、地域の人をゲストティーチャーとして呼んで地域の歴史を学習したり、体験的な学習を通じて学力の向上をはかったりしているというということを説明されました。
また小学校のPTAの方は、中学校はともかく、小学校の選択は子ども自身がするのは難しく、結局保護者が選択することになるが、そうなるとすべてが保護者の責任とされてしまうが、保護者への説明が不足しているのではないかと疑問を呈していました。
中学校のPTAの方からはたいへん重要な指摘がいくつもなされました。
「10年以上前から導入が図られているにしては、14%というのは少ないように感じる。それはデメリットが多いからではないのか。一律に推進すべきではない。」
「学校により深い関心を持つということが選択制のメリットとしてあげられているが、それはどこからの情報を基準におこなわれるのか?“世間の声”なのか? そこにはいろいろな風評や偏見も混じっている。学校に対するより深い関心というのは、他と比べてどうこう言うことではなく直接その学校と話をすべきことではないか。」
「教育の質を高めるのは学校選択制でなければできないのか? 学校間に格差ができるのはおかしい。」
「教員の取り合いが起こる危険性が生じるのではないか?」
「希望する学校の抽選に外れた子どもが出るなら、義務教育で“勝ち組”や“負け組”を作ってしまうことになる。」
「同推校(同和教育推進校:校区内に被差別を抱えた学校)など、選んでもらえない学校はどうなるのか?」
他のパネラーも総じて学校と地域との結びつきの重要性を訴えていました。
中学校の学校給食については、中学校校長から現状についての説明があり、450人の生徒のうち、400人が弁当で、現在実施されているデリバリー方式の業者弁当を頼んでいるのは10~20人だということでした。アレルギーの子どもはかなり多く、修学旅行などでも常に対処をおこなっているということでした。全員給食の場合、アレルギー対策ができるのかどうかということを問題にしていました。
また、中学校のPTAからも、給食についての問題点が指摘されていました。「300円というのは高くないか、給食費を滞納する人が出たらどうする? 運動部に入っている生徒はこれで量が足りるのか? おかわりはできるのか? 好き嫌いや体調等で残すことになれば無駄にならないか? アレルギー対策は?」などの問題点を挙げ、全員給食ではなく選択給食にすべきだという意見を述べていました。
これに対して、市教委は、300円は食材費だけで、調理費は大阪市が出すので高くはない、好き嫌いをなくすのは教育の一環、量やアレルギーの問題は課題として論議するなどの返答をおこなっていました。
この後、質疑応答の代わりに、あらかじめ配られたアンケート用紙に意見や質問を書いて回収するということがおこなわれました。この記入と回収は15分と予定され、その間に舞台では警察官と住吉区のゆるキャラ「すみちゃん」による交通安全のキャンペーンがおこなわれていました。
さて、最後に、回収した用紙の質問をコーディネーターが整理して、教育委員や区長が説明をおこなうということになっていたのですが、このコーディネーター、なんとももたもたしていました。
それに対して会場から、「意見をそちらの都合のいいように選ばずに全部の意見を紹介してください」とい声が上がりました。
この声に対してコーディネーターはますますおろおろし、「200以上の意見・質問が出ている」と述べ、「これほど多くの意見が集まるとは思ってもいなかった。いやもちろん意見がたくさん出るのはいいことですが…」などと、あらぬ事を口走ってしまっていました。
どうやら、挙手方式ではなくアンケート方式をとったのは、意見や質問が次々と出て収拾がつかなくなることを恐れたためだと思われます。しかし、この方式をとることでかえって多くの意見が表明されてしまいました。200といえば会場のほぼ全員が書いたのではないでしょうか。挙手方式にすれば、そこまで多くの意見が出ることはなかったと思われます。
区長が繰り返す「この場は何かを決定する場ではなく、あくまでもこちらの見解を説明する場だ」という発言にも怒りの声が巻き起こりました。
また、「8月に就任する公募区長が決める」という説明に、「公募区長って誰やねん」という会場からの声がだされ、これに対して「わかりません」と答える区長にヤジと失笑が巻き起こりました。
さらに会場から時間延長を求める声があがり、区長は若干の時間延長を承諾し、できる限り意見や質問を紹介するということなりました。コーディネーターが出された意見や質問を読み上げていくと、一番最初に紹介された「引きこもりやいじめをなくすために自由選択制にしてほしい」という意見以外は、義務教育の序列化に反対だという意見、少人数校は統廃合されるのかという不安を訴える意見などが続き、その度に会場から大きな拍手が起こりました。
すると、そこで会場から、さっき会場が騒然となったことに対して「住吉でこんな怖いことがおこるなんて…。決められた時間通りに終わってほしい。」という意見が出され、小さな拍手がおこりました。区長はおそらくほっとしたと思われます。「あと、2、3の質問を紹介して終わりましょうとコーディネーターを促しました。
その後読み上げられた意見も、みな学校選択制に批判的なものばかりでした。
区長は、いちおう、出された意見・質問はすべてインターネットで紹介するということだけは確約しました。しかし、会場からは、話し合いをもっと継続してほしいという意見が出され、大きな拍手がおこりました。また、パソコンを持っていない人のために、印刷したものを区役所に置いてほしいという意見も出されました。
とりあえず、この教育フォーラムはなんとか終了しましたが、主催者側の思い通りの運営がおこなわれなかったことは、この問題についての区民の反発がいかに大きいかということを示していると思われます。(鈴)
鈴さんが内容をわかりやすく書いてくださいましたので、私は面白かったこと(笑)をご紹介します。
まず、開会の時間になって司会が出てきたときに、最初マイクが入っていませんでしたww
次に、区長自らパワーポイントを操作していたことに笑えました。普通他の人が操作して、喋る人が集中して喋られるようにすると思うんですけどね。
それからパネルディスカッションの時が傑作です。小・中学校の校長先生の机に張られていた肩書きが逆になっていたんですwwwこれはひどい不手際です。
途中で張り直されましたが、紙が歪んでいました(笑)
そのディスカッションの後にアンケート回収をしますが、同時に警察と住吉区のキャラクターとのコラボ企画がスタートしました。
自転車の交通マナー向上のための講座で、○×のクイズ形式でおこなわれました。
しかし、すみちゃんの手には裏返しにされた2枚のパネル。どっちが○?×?と思いました。
しかもすみちゃんの喋り(録音と思われる)がなかなか出なくて、進行の方が焦っておりましたwww
そしてクイズもよく分からないものでして、結局○のパネルは使われじまいでした。意味ねぇwww
この交通マナー講座は10分くらいはあったでしょうか。その間に区長や教育委員の人らが回収した質問用紙に目を通しているのかと思いきや、全然そんなことはありませんでした。
あとは鈴さんの書いた通りですね。
向こうさんがあたふたする姿がなんとも面白かったです(笑)
以上、不手際特集でした。(表裏)