教育・受験産業大手ベネッセも学校選択制がもつ影の側面に着目しています。
※学校選択制は曲がり角?(ベネッセ)
http://benesse.jp/blog/20120531/p3.html
筆者の教育ジャーナリスト渡辺敦司氏は、「橋下市長が学校選択制を導入しようとしているが、全国的には、撤退する動き広がっている。東京都多摩市、同杉並区、長崎市、埼玉県三郷市、東京都板橋区、群馬県前橋市などが学校選択制を縮小・廃止している」とし、以下のように書いています。
「背景には、何があるのでしょうか。これらの自治体は2000年代前半に導入したところが多く、「地域に開かれた学校づくり」「学校運営の活性化」など当初の目的は一定の成果を得たとしています。一方で杉並区のように、各学校の特色を比べて、というよりも、自宅からの距離や友達と同じ学校など個人的な事情で選ぶことが多いばかりか、「あの学校は荒れている」といった風評や口コミに左右され、学校運営に支障が出ることさえあるといいます。」
「また近年ではただでさえ少子化が進んでおり、そのうえに学校選択制で児童・生徒数が偏ってしまっては、将来的な学校存続の見通しが立てにくくなる、という事情もあります。」
「もう一つの大きな要因が、地域との関係です。前橋市では「地域との関係の希薄化」が見直し理由の一つでしたが、杉並区では東日本大震災を契機に、災害時の対策にも関心が高まったといいます。多摩市も学校選択制の課題の一つとして、緊急時の安全確保を挙げていました。」
興味深いのは、学区の弾力的運営を打ち出した文部科学省(当時文部省)も最近では、「地域とともにある学校」の必要性を訴え、コミュニティ・スクールの促進に力を入れているとの指摘です。コミュニティスクールについては別途議論が必要かもしれませんが、少なくとも橋下氏が時代に逆行しているのは明らかです。
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※新宿は越境制限 杉並は希望理由記入 都内の学校選択制見直しの動き(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120518-00000553-san-soci
(ハンマー)