政府与党が11日に正式合意した安全保障関連法案=「戦争法案」(その2 武力攻撃事態法)
(5/12朝日新聞朝刊より抜粋)
【重要影響事態法案】
(目的)
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「重要影響事態」という。)に際し、合衆国軍隊等に対する後方支援活動等を行うことにより、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与することを中核とする重要影響事態に対処する外国との連携を強化し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
(重要影響事態への対応の基本原則)
第二条 政府は、重要影響事態に際して、適切かつ迅速に、後方支援活動、捜索救助活動、重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)第二条に規定する船舶検査活動(重要影響事態に際して実施するものに限る。以下「船舶検査活動」という。)その他の重要影響事態に対応するため必要な措置(以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする。
3 後方支援活動及び捜索救助活動は、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われている現場では実施しないものとする。ただし、第七条第六項の規定により行われる捜索救助活動については、この限りでない。
4 外国の領域における対応措置については、当該対応措置が行われることについて当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては、当該機関)の同意がある場合に限り実施するものとする。
(定義等)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 合衆国軍隊等 重要影響事態に対処し、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行うアメリカ合衆国の軍隊及びその他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊その他これに類する組織をいう。
二 後方支援活動 合衆国軍隊等に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置であって、我が国が実施するものをいう。
三 捜索救助活動 重要影響事態において行われた戦闘行為によって遭難した戦闘参加者について、その捜索又は救助を行う活動(救助した者の輸送を含む。)であって、我が国が実施するものをいう。
2 後方支援活動として行う自衛隊に属する物品の提供及び自衛隊による役務の提供は、別表第一に掲げるものとする。
(基本計画)
第四条 内閣総理大臣は、重要影響事態に際して次に掲げる措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という。)の案につき閣議の決定を求めなければならない。
一 前条第二項の後方支援活動
二 前号に掲げるもののほか、関係行政機関が後方支援活動として実施する措置であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの
三 捜索救助活動
四 船舶検査活動
2 基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 重要影響事態に関する次に掲げる事項
イ 事態の経緯並びに我が国の平和及び安全に与える影響
ロ 我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由
二 前号に掲げるもののほか、対応措置の実施に関する基本的な方針
三 前項第一号又は第二号に掲げる後方支援活動を実施する場合における次に掲げる事項
ニ 当該後方支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、当該後方支援活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間
(国会の承認)
第五条 基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方支援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならない。ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該後方支援活動、捜索救助活動又は船舶検査活動を実施することができる。
(自衛隊による後方支援活動としての物品及び役務の提供の実施)
第六条 防衛大臣又はその委任を受けた者は、基本計画に従い、第三条第二項の後方支援活動としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとする。
3 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該後方支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
4 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の後方支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合又は外国の領域で実施する当該後方支援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。
(捜索救助活動の実施等)
第七条 防衛大臣は、基本計画に従い、捜索救助活動について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
2 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある捜索救助活動の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該捜索救助活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。
別表第一(第三条関係) 補給、輸送、修理及び整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用、訓練業務
(ハンマー)