3/29戦争法施行を糾弾する
戦争法(平和安全保障法)が3月29日施行された。戦争放棄・戦力の不保持を謳う日本国憲法に違反し、「集団的自衛権行使は違憲」としてきた従来の政府解釈・内閣法制局の見解をも踏みにじるものだ。圧倒的多数の憲法学者が「憲法違反」として施行しないよう警告してきた。この日国会前や全国各地で施行に反対する抗議行動が展開された。各地で戦争法違憲訴訟の準備も進む。安倍政権による憲法無視の法律施行を徹底して糾弾する。違憲の戦争法は廃止しかない。
※安保法施行 「命守らない政治、反対」37都市で抗議集会(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160330/k00/00m/040/119000c
※安保法施行、学生ら国会前で抗議 「忘れてないぞ」(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201603/0008938024.shtml
※安保法反対、無言のスタンディング 演劇人ら各地で(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASJ3X7TRTJ3XUCVL045.html
※安保法に「ノー」、これからも 法施行の日、各地でデモ(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASJ3Y5Q9WJ3YUTIL03K.html
※安保法施行、各地で反対集会 「戦争法発動止めよう」(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-247694.html
※国会前で“安保”抗議デモ 安全保障関連法が施行で(テレビ朝日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000071380.html
※安保法の廃止求める集会 今後も活動(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160330/k10010461161000.html
※安保関連法は違憲 弁護士グループが集団提訴へ(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160329/k10010460771000.html
3/29 SEALDs KANSAI,しーこぷ。,ママの会 メンバーの呼びかけで行われたヨドバシカメラ前での街宣行動。若い人も多く、赤ちゃんをつれた若いお母さんも目についた。ママの会のメンバーも駆けつけたらしい。参加者は1700人。
まず第一に憲法に違反している。憲法第9条は戦争、武力による威嚇、武力行使を禁じている。戦力の不保持を明言し、交戦権を放棄している。自衛ための戦争も禁じている。つまり一切の戦争と戦力を否定している。集団的自衛権とは日本が攻められてもいないのに、他国の領域を踏みにじり、米国の戦争に参戦することだ。憲法違反以外の何者でもない。全世界で米国の侵略戦争に加担することが可能となってしまう。
第二に、戦闘によって殺し殺されるリスクが飛躍的に高まる。いや高まるどころではなく必ずそのような事態が起こる。政府が7月の参院選までは戦争法に基づく任務を自衛隊に行わせない方針であることに現れている。夏までに死傷者が出ては困るからだ。とりわけ解禁されるPKOの駆けつけ警護は、武装勢力による拉致や銃撃戦が起こっている現場に重武装で突撃する危険な任務である。死傷者が出ないはずがない。すでに自衛隊では負傷自衛隊員の救護体制の構築に向けた訓練と研究を進めている。PKO駆け付け警護で銃撃戦を想定し、敵を殺害する研究も国会論戦で暴露されている。(http://soka-news.jp/2016-3-5.html)
※28日の朝日新聞は陸上自衛隊の関係者の話として「陸自の研究機関は安保法成立前後から約半年かけ、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)を対象に、安保法に基づく「駆けつけ警護」の運用方針をまとめた。人や車両の模型、地図を使って民間人らの救出方法を検討した結果、「相手側を含め、犠牲者を出さずに完遂するのはかなり難しい」「犠牲者が出る前提での運用方針作りは困難。これも法運用の準備が遅れている一因だ」と伝えた。
第三に、世界中での米軍やその友軍の戦争への「後方支援}=兵站任務である。この危険性についてはドイツのアフガニスタン派兵の実例がある。日本政府の説明は「現に戦闘が行われていない地域に派遣する」というが、現在の戦争は非正規戦、ゲリラ戦である。イラクしかりアフガニスタンしかりシリアしかりだ。戦場に「後方」「非戦闘地域」など存在しない。平穏な現場が瞬時に戦場になる。ドイツ軍は2002年の派兵当初任務を「民生分野・治安維持活動」に限定し「戦闘には加わらないこと」を決議までしていたが、いつの間にか戦場の泥沼に引きづりこまれることになった。結果56人ものドイツ兵の犠牲者を出した。もちろんドイツ兵によって殺されたアフガニスタン側の犠牲はこの数倍に上るだろう。
第四に、対中国、対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍事対決と戦争挑発だ。日本による「尖閣国有化」強行によって、東シナ海は緊迫している。さらに南シナ海における中国に対する米軍の「航行自由作戦」の危険である。これを日本が支持し、南シナ海の米中軍事紛争に日本の自衛隊が加担・協力する危険さえでてくる。そもそも5カ国が関与する南シナ海の領土紛争に日本が首をつっこむ理由がない。米は空母打撃群を南シナ海に投入するという常軌を逸した行動に出ている。危険きわまりない。
北朝鮮の相次ぐ「核実験」報道とロケット発射は、北朝鮮を侵略し崩壊つせることを視野に入れた米軍事戦略の転換(作戦計画5015)と「斬首作戦」と名付けた米韓合同軍事演習の脅威への対抗である。脅威を与えているのは日本と米国の側である。
日本政府は戦争法における「米艦防護」の規定によって米の対中国、対北朝鮮の軍事政策に全面的に協力し、さらには日本の対北朝鮮「敵基地攻撃」に言及することで東アジアの緊張を飛躍的に高めている。
第五に戦争への民間動員である。すでに動きは始まっている。防衛省は3月民間フェリーを「有事」の輸送に動員するための事業契約を特別目的会社と締結した。それとともにフェリー会社の社員(船員)を予備自衛官(補)に任官させ動員する計画だ。これに対して全日本海員組合は1月末に、船舶を戦争に動員しないとの決意から、船員の強制徴用につながるとの反対声明を出した。
防衛省では民間会社に入社した新人社員を自衛隊で2年間程度研修させるとのインターンシップ構想も報じられている。形を変えた経済的徴兵制だ。武力攻撃事態を想定した「国民保護法」では自治体、病院をはじめ公的機関の有事の協力が規定されている。国民の協力義務や罰則は明記されていないが、一度戦争の歯車がまわり始めたら「志願」「自主協力」という名の「国民総動員」が襲いかかるだろう。断固反対しなければならない。
第六に「報復の連鎖」の危険だ。昨年11月のフランス同時多発「テロ」に続いて、3月ベルギーでも同時「テロ」が起こった。いずれもシリアへの空爆にもっとも積極的な国であり、米軍の有志連合軍である。ISは犯行声明を出している。フランスでは今も非常事態冷下にあり、ベルギーの「テロ」は厳戒態勢をとっていた中で起こった。警戒や治安活動で「テロ」を防ぐことはできない。今回の事件はそれを証明している。日本が攻められてもいないのに、米軍の侵略に加担し武力行使することになれば日本が「標的」になるのは避けられない。誰もが無縁ではあり得ない。
第七に戦争最優先、戦争準備のもとで軍事費がはじめて5兆円を超え、社会保障や福祉・教育予算が切り捨てられ、国民生活が破壊されていることだ。憲法に保障された生存権さえ脅かされる深刻な事態がこの日本で起きている。「ワーキング・プア」「若者の貧困」「貧困女子」「ブラック企業」「ブラックバイト」「奨学金という名の学生ローン」「医療からの排除」「介護地獄」「子どもの貧困」「ひとり親家庭の貧困」「貧困の連鎖」「下流老人」「保育所落ちた日本死ね」「原発棄民」等々。未来を担う若者も、子どもを育てる母親も、老後の生活もすべてがずたずたにされようとしている。
平和的生存権を脅かす戦争準備をやめるべきだ。9条改憲、緊急事態条項等一切の改憲策動に反対する。戦争法を廃止せよ。
(ハンマー)