アフガニスタン情勢は新しい局面に入っている。もはやオバマは、「対テロ戦争」の戦略を全く見失っていると言っていいだろう。「戦争を継続するには6万人の増派が必要」とするマクリスタルの報告を巡って政権内部で異論が噴出し、まとめきれなくなっている。タリバンを殲滅するのか懐柔するのか、主戦場をアフガンとするのかパキスタンに移すのか、主敵はタリバンなのか「テロリスト」と「アルカイダ」なのか、空爆を主体とするのか地上戦に戦力を投入するのか--情勢認識と戦略の本質的なところで一致できなくなっている。
※'Different' Afghan strategy urged(BCC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8284996.stm
米軍はじわじわと活動可能地域を狭められ、追い詰められている。
※[翻訳紹介]「9.11から8年後の今日、タリバンはアフガニスタンの80%に恒久的プレゼンスを擁している」(リブ・イン・ピース☆9+25)
http://www.liveinpeace925.com/iraq_afgan/taliban_presence.htm
対処療法として、16000人程度の増派を行う方針だと報じられている。兵力の手薄な10カ所程度に集中して配備を行うという。これは事実上、旧支配勢力であるタリバンを掃討・殲滅するという方針を断念せざるを得なくなったことを示している。だが、米軍の攻撃対象を「アルカイダ」とし、タリバンとはしないというのは米国の勝手な言い分である。なぜなら、アフガニスタンで米軍に対して攻撃をかけてくるのは、米軍の占領支配に反対する人々であって、武器に「タリバン」「アルカイダ」「反米勢力」とラベルが貼られているわけではない。要するにこの増派は、駐留する米軍と多国籍軍を防衛するためのものにすぎない。グリーンゾーンと米軍基地への攻撃を防ぐことが増派の自己目的になっているのである。駐留する米軍を守るために米軍を増派するというのは本末転倒というほかない。
※U.S. to Protect Populous Afghan Areas, Officials Say(ニューヨークタイムス)
http://www.nytimes.com/2009/10/28/world/asia/28policy.html?_r=2&hp
このような中10月27日、首都カブールで国連関連宿泊施設が武装勢力によって6時間にわたって占拠され、職員ら10人が殺害されるという事件が起こった。重大な局面転換である。米軍だけでなく、米軍に協力する者への重大な警告とされた。詳しい事情はわからないが、タリバンが犯行声明を出している。テレビのインタビューで、タリバンと思われる人物が、「アフガニスタンの復興を支持する者は、すへて敵だ」と語っていたのは印象的である。これは米軍がアフガンに居座り続ける限り、混乱と破壊に拍車をかけ、被害を拡大するということだ。もちろん、日々流されているアフガニスタンの人々の犠牲の血こそが問題にされなければならない。
米は、自らの占領支配とその先棒を担ぐ傀儡政権カルザイの大統領権力を正当化するために大統領選挙を強行した。だが、おびただしい不正の発覚によってその目論見は崩れ、決選投票に追い込まれた。11月7日に決選投票が行われるが、もはや選挙でどちらが勝つにしても、「民主的体裁」そのものの破綻を明るみに出した事実は覆せない。そもそも反政府闘争によって選挙自体の成立が怪しい状況だ。傀儡政権を正当化させるセレモニーとしての決選投票を強行しようとする米に対する怒りが爆発するのも無理はない。
一方で米軍は、アフガンに流入するタリバンの拠点を叩くという口実で進めているパキスタンでの軍事行動のエスカレーションに対して人民の反発が強まっている。28日に起こった、300人近い死傷者を出した爆発事件は、アフガンだけでなくパキスタンをも戦場へと変えようとするオバマの「対テロ戦争」の破壊的な影響を示している。
※パキスタン自爆テロで被害拡大 91人死亡、200人超負傷(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/091028/asi0910282255008-n1.htm
10月の米兵の犠牲者数は58人となり、開戦以来の月間死者数の最悪を更新し続けている。オバマのアフガン増派は、ただいたずらに犠牲を生み出すだけの消耗戦に入っていくことを意味するだろう。
※アフガンの米兵死者、最悪を更新 月間ベース、増派決断に影響(日経新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091028AT2M2800Y28102009.html
ベトナム戦争との対比だけでなく、泥沼のアフガン戦争が崩壊の引き金の一つとなったソ連の失敗になぞらえる論調さえ出てきている。
※Obama's Afghan strategy hit by deaths and dissent (Independent)
http://www.independent.co.uk/news/world/americas/obamas-afghan-strategy-hit-by-deaths-and-dissent-1810517.html
鳩山政権はこの現実を深刻に受け止めるべきだ。インド洋での給油を続けることは、このような凄惨なアフガン戦争に手を貸しつづける事だ。それだけではない。軍事であろうと民生であろうと、今アフガニスタン政府に援助することは、米軍の軍事行動と傀儡政権の維持を支えることになる。日本政府は米のアフガニスタン政策から手を引き一切の援助・支援をやめるべきである。
(ハンマー)
※'Different' Afghan strategy urged(BCC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/8284996.stm
米軍はじわじわと活動可能地域を狭められ、追い詰められている。
※[翻訳紹介]「9.11から8年後の今日、タリバンはアフガニスタンの80%に恒久的プレゼンスを擁している」(リブ・イン・ピース☆9+25)
http://www.liveinpeace925.com/iraq_afgan/taliban_presence.htm
対処療法として、16000人程度の増派を行う方針だと報じられている。兵力の手薄な10カ所程度に集中して配備を行うという。これは事実上、旧支配勢力であるタリバンを掃討・殲滅するという方針を断念せざるを得なくなったことを示している。だが、米軍の攻撃対象を「アルカイダ」とし、タリバンとはしないというのは米国の勝手な言い分である。なぜなら、アフガニスタンで米軍に対して攻撃をかけてくるのは、米軍の占領支配に反対する人々であって、武器に「タリバン」「アルカイダ」「反米勢力」とラベルが貼られているわけではない。要するにこの増派は、駐留する米軍と多国籍軍を防衛するためのものにすぎない。グリーンゾーンと米軍基地への攻撃を防ぐことが増派の自己目的になっているのである。駐留する米軍を守るために米軍を増派するというのは本末転倒というほかない。
※U.S. to Protect Populous Afghan Areas, Officials Say(ニューヨークタイムス)
http://www.nytimes.com/2009/10/28/world/asia/28policy.html?_r=2&hp
このような中10月27日、首都カブールで国連関連宿泊施設が武装勢力によって6時間にわたって占拠され、職員ら10人が殺害されるという事件が起こった。重大な局面転換である。米軍だけでなく、米軍に協力する者への重大な警告とされた。詳しい事情はわからないが、タリバンが犯行声明を出している。テレビのインタビューで、タリバンと思われる人物が、「アフガニスタンの復興を支持する者は、すへて敵だ」と語っていたのは印象的である。これは米軍がアフガンに居座り続ける限り、混乱と破壊に拍車をかけ、被害を拡大するということだ。もちろん、日々流されているアフガニスタンの人々の犠牲の血こそが問題にされなければならない。
米は、自らの占領支配とその先棒を担ぐ傀儡政権カルザイの大統領権力を正当化するために大統領選挙を強行した。だが、おびただしい不正の発覚によってその目論見は崩れ、決選投票に追い込まれた。11月7日に決選投票が行われるが、もはや選挙でどちらが勝つにしても、「民主的体裁」そのものの破綻を明るみに出した事実は覆せない。そもそも反政府闘争によって選挙自体の成立が怪しい状況だ。傀儡政権を正当化させるセレモニーとしての決選投票を強行しようとする米に対する怒りが爆発するのも無理はない。
一方で米軍は、アフガンに流入するタリバンの拠点を叩くという口実で進めているパキスタンでの軍事行動のエスカレーションに対して人民の反発が強まっている。28日に起こった、300人近い死傷者を出した爆発事件は、アフガンだけでなくパキスタンをも戦場へと変えようとするオバマの「対テロ戦争」の破壊的な影響を示している。
※パキスタン自爆テロで被害拡大 91人死亡、200人超負傷(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/091028/asi0910282255008-n1.htm
10月の米兵の犠牲者数は58人となり、開戦以来の月間死者数の最悪を更新し続けている。オバマのアフガン増派は、ただいたずらに犠牲を生み出すだけの消耗戦に入っていくことを意味するだろう。
※アフガンの米兵死者、最悪を更新 月間ベース、増派決断に影響(日経新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091028AT2M2800Y28102009.html
ベトナム戦争との対比だけでなく、泥沼のアフガン戦争が崩壊の引き金の一つとなったソ連の失敗になぞらえる論調さえ出てきている。
※Obama's Afghan strategy hit by deaths and dissent (Independent)
http://www.independent.co.uk/news/world/americas/obamas-afghan-strategy-hit-by-deaths-and-dissent-1810517.html
鳩山政権はこの現実を深刻に受け止めるべきだ。インド洋での給油を続けることは、このような凄惨なアフガン戦争に手を貸しつづける事だ。それだけではない。軍事であろうと民生であろうと、今アフガニスタン政府に援助することは、米軍の軍事行動と傀儡政権の維持を支えることになる。日本政府は米のアフガニスタン政策から手を引き一切の援助・支援をやめるべきである。
(ハンマー)