寒冷地で真冬に花ものの盆栽を開花させることは長年不可能と思ってきた。たまたま、玄関フードに置いて凍結する鉢が続出、かわいそうに思い玄関に入れたところ、真冬に開花する鉢が相次ぎ、二十年以上、その方法で管理を続けている。
こういう事情での管理なので、盆栽本来の鉢にこだわらず、冬の寒い時期に毎年、花を咲かせることを優先目的としてきた。
盆栽用の鉢は、極限美を表現するための道具である関係で、極力、小さめの和風の鉢が選ばれる。園芸店で買ってきた盆栽についている鉢はたいていそうだ。
しかし、そのままでは、冬季の凍結、特に水切れ状態ではどうしようもない。夏季は、二三日、水をやるのを忘れると枯れてしまう。いくら暑さ、寒さに強い梅でも小さい鉢ではかわいそうだ。そこで、深底の素焼きの鉢を選んだ。選んだのはイタリアやドイツの洋風テラコッタである。こうすることで、四季を通じて水切れの心配がなくなる。土を増やすことで肥料の量を増やせるメリットもある。私はそんなにたくさん施肥はしないが。
盆栽は、盆栽家にとっては、本来、外観としての極限美を珍重する芸術みたいなものだ。しかし、私の場合、積雪寒冷地において最も寒い時期に開花させることを優先、そのために、盆栽家が選ぶような鉢を選択しなかったのである。