若いころの情欲から遠ざかり、
清い心で主を呼び求める人々と共に、
正義と信仰と愛と平和を
追い求めなさい。
「テモテへの手紙二」/ 02章 22節
新約聖書 新共同訳
お月さまに貧しい人がいたら、
わたしたちは、そこに
行かなければなりません。
マザーテレサ
(マザーテレサ100の言葉より)
★大人もときめくパックのチョコレート
中村江里子 パリからあなたへ
◆朝日新聞デジタル&M 2014年4月16日
▲大量のチョコレート。子どもたちも総勢15人くらいいました。楽しんでもらいたくて、ママたちは張り切って袋を持ってあちこちにチョコレートを隠しました
▲ウサギのチョコレート。芝生の中に突然、ちょこんとウサギが現われて。一応、考えながら隠していたんですよ
▲次女はバッグを持って、芝生に隠れている卵形のチョコレートを大切に拾っていました
▲「絶対にまだどこかにあるはず!」と、ママの協力を得て、さらにさらに庭の奥のほうに入っていきます。でも正直、隠した私たちも一体どこにあるのかわからなくなってきていました……
▲これが我が家の子どもたちの「イースターバッグ」。アメリカの『ランズエンド』というブランドの「イースターバッグ」と名付けられたトートバッグです。イラストの反対側には子どもたちの名前が入っています。バッグからあふれるチョコレート。この日以外はおもちゃや小物入れとして使っています
▲これ全部、チョコレートなのです! 心ときめきませんか? 大きな卵の家の中から雌鳥が出てきていたり、卵があったり、カエルがいたり……。チョコレート屋さんのお店のディスプレーはアートです。子どもたちは時間が経つのも忘れるくらいに眺めています
▲こちらも販売されているものです。中央の大きな卵で110ユーロ(約15464円)でした。残念ながら我が家のためには買えないのですが(笑)、週末お世話になる友人宅に持って行ったら喜ばれるかな? と思っています。でも、壊して食べてしまうのももったいないし、かといって飾っておいたら美味しくなってしまうし。他にも可愛らしい形のチョコレートがたくさん並んでいました。(写真 中村江里子)
チョコレートといえば日本ではバレンタインデーですが、フランスではパックです。イースターという言葉でよく知られていますが、フランスではパックといいます。ヘブライ語に由来しているそうで、キリスト教のもっとも重要な行事の一つ「復活祭」です。
十字架にかけられて死んだイエス・キリストが復活したことを祝うものです。キリストは木曜日に弟子たちと最後の晩餐(ばんさん)をし、金曜日にゴルゴダの丘で磔(はりつけ)の刑にされ、埋葬されました。2日後の日曜日にマリアたちが墓に行くと、キリストの遺体はなく、天使たちによってキリストの復活が告げられるのです。
パックの日は3月21日以降、最初の満月後の日曜日ということで、移動祝日となっています。今年は4月20日です。フランスでは「ランディ ドゥ パック」といって、翌日の月曜日も祝日になるんですよ。
さて、このパック。3月の終わりくらいからスーパーやチョコレート屋さんには可愛らしい卵や雌鳥、魚、鐘などの形をしたチョコレートが並びます。スーパーでは山のように積み上げられていて「3袋以上買うと、3袋目からは半額!」なんていう文字が躍っています。チョコレートが、そのような形なのは意味があります。
まず卵は、新しい生命の誕生や復活のイメージです。また、キリスト教ではキリストが磔になった金曜日には肉を食べず、魚を食べるという慣習があることから魚。ちなみに子どもたちの通学しているカトリックの学校では、金曜日の給食には肉は出てきません。様々な説があるのですが、鐘がローマに行って復活祭の卵を運んできたとか、ウサギが卵を運んできたなどということから、鐘やウサギの形のチョコレートも登場します。
ノエル(クリスマス)同様、とても大切な行事ですから子どもたちはその意味合いをきちんと理解していますが、何といっても楽しみなのは「卵探し」です。子どもたちがまだ小さい時には、アパルトマンの中庭や、雨の日には家の中のあちらこちらにチョコレートを隠して「卵探し」をしていました。通常、卵を入れるのは籠なのですが、わざわざ買うまでもないかな? と、小さな可愛い紙袋を用意していたのですが、昨年からは子どもたち3人それぞれの名前入り「パック卵探し用バッグ」を用意しました。
前述のようにパックは連休のため、昨年は友人の田舎の家で過ごしました。パック当日、友人宅の近所に住む他のファミリーも合流し、子どもたちをパパたちに託します。ママたちは大きな庭のあちこちに、大量のチョコレートを隠す作業です。
玄関に集合した子どもたちは掛け声と同時に走り出し、バッグや籠、紙袋にチョコレートを入れていきます。我が家の長女と長男が、まだ小さくて出遅れてしまった妹のために、大きなウサギなどのチョコレートを見つけてきてはバッグに入れてあげているのを見ると、本当に穏やかな気持ちになります。そして、庭の隅々まで探し回って「チョコレート、全部拾ったあ!」と喜んでいる子どもたちを見て、ママたちは「結構、隠すのも大変な作業だったねえ」とほっとしたり……。
今年も間もなくパックです。昨年同様、友人宅で過ごすことになりました。すでに「卵探し」用のチョコレートを買いだめしてあります。パン屋さんでもお菓子屋さんでもチョコレートが並べられています。子どもたちだけでなく、大人もときめいてしまう魅力的なチョコレート屋さんのウィンドーに心惹かれて、ついついチョコレートに手が伸びてしまうのです。
次回は4月30日の配信を予定しています。
PROFILE
◼️中村江里子(なかむら・えりこ、Eriko Barthes)
1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にフランス人のシャルル エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。妻であり、3児の母でもある。現在は、パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆、講演会などの仕事を続ける。著書に『エリコ・パリ・スタイル』(マガジンハウス)、『ERIKO STYLE暮らしのパリ・コラージュ」(朝日新聞出版)、『女四世代、ひとつ屋根の下』、『マダムエリコロワイヤル』」(ともに講談社)、新刊『ERIKO的 おいしいパリ散歩』(朝日新聞出版)と多数。
(朝日新聞デジタル&M 2014年4月16日)
【今日の御言葉/今日の聖句】