をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

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シネマ歌舞伎 らくだ (映画)

2008年12月13日 | 映画
                         (c)2008松竹株式会社

映画 シネマ歌舞伎らくだ

歌舞伎を映画上映するシリーズも「野田版鼠小僧」などから数作上映され、浸透してきたように思います。
まだまだ上映館が少なく残念ですが、地方で歌舞伎を見られない方や、歌舞伎は初めてという方、あるいはこの演目を見逃してしまった方、映画館なら気楽だという方など、シネマ歌舞伎の意義はあると思うのですね。

今回ご紹介の「らくだ」は、歌舞伎よりも落語で有名なお話です。フグにあたって死んだ通称“らくだ”の死体を使って酒とつまみにありつこうという遊び人と、そこへ通りかかった屑拾いとのやりとりが本当に笑わせてくれます。

落語で想像した方が…という人もいるでしょうが、死体を嫌々おぶった屑拾いが、ちょっと気を抜くと頬と頬が触れ合って「キャー」となるのも、実際に目にできるから面白い。しかもその屑拾いを芸達者な勘三郎が演じるとなれば、益々大笑いなんです。
一方、遊び人というか地回りの役に三津五郎。こういうちょっと男前のワルが良く似合います。

酒をせびるためにゴウツク大家の家で「かんかん踊り」を死体に躍らせる場面は、大家の奥さんが熱演のあまりのハプニングもあり、大笑いです。

しかし、物語に出てくるものといえば、貧乏、フグ中毒の死体、屑拾い、遊び人、アル中、吝嗇、騙り、強請りなど、ろくなもんじゃない。それなのに、明るく笑えるこの筋立てのよさと役者たちの演技に拍手です。

ともかく55分、楽しく気軽に歌舞伎が楽しめましたね。
併映は「連獅子」。美しくダイナミックな毛振りを山田洋次監督が撮っています。
どちらも記録映画とは異なる息遣いを感じる作品です。
来年から改修の始まる歌舞伎座とあわせてご覧になってはいかがでしょうか。

「シネマ歌舞伎 らくだ」出演:中村勘三郎、坂東三津五郎、市川亀蔵
12月27日より東劇ほか全国順次ロードショー




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