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次郎長三国志 (映画)

2008年06月22日 | 映画
次郎長三国志」(映画)

「しみ~ず~み~なとのめい~ぶ~つ~は~」という、粋な歌声が流れてくると、「あ! 次郎長だ」とわかるこの唄で始まる「次郎長三国志」。

日本映画で時代劇全盛の頃、この物語もマキノ雅弘監督によって撮られたのだとか。残念ながら、世代的にそれは見たことがないのですが、TV版は東京12チャンのお正月12時間ドラマで2回ほど見たことがあります。そのときの主演は高橋英樹。豪快ですがすがしいスカッとした次郎長を演じており、また、ライバル役の黒駒の勝蔵役の山城新伍が憎憎しく最期は幕末という時代に翻弄される哀れな姿も描かれており、娯楽や痛快、そして史実もからめ盛りだくさんで面白かった覚えがあります。

さて、今回は、監督はマキノ雅彦。ご存知の方も多いでしょうが津川雅彦さんですね。富士山と茶畑をバックに清水一家が歩いてくるオープニングは、やはり映画は映画館で観たいなーと思わせてくれますね。
次郎長役には中井貴一。観る前は中井貴一は柳沢吉保みたいな冷静な男は合っているけど、次郎長役はどうかな?と思っていましたが、若き頃から描いているので意外と違和感なしでした。
恋女房お蝶は鈴木京香。逆に若い頃はとても違和感があり…。でも、おかみさんになってからはよかったですね。

かわいい子分といって筆頭は森の石松ですが、今回は小政にスポットを当てているようです。演じるのは北村一輝。この人は何年か前のNHKドラマで、とても心が寂しいゆえに嫌な役どころを感情を上手にとらえて演じており、いい役者だなと思っていたら、しばらく間をおいて最近は色々な媒体に出るようになりました。

あと大野の鶴吉役の木下ほうかは拾いもんです。この人、「仮面ライダーキバ」に80年代の喫茶店のマスター役で出ていて、このときはメガネをかけアロハで軽妙な演技をするので気になって調べたら、木下さんという役者だったのです。そしたら、今回はメガネをとっていましたが、おいしい役ででています。脇で見せながらでしゃばらない演技が上手ですね。

その他、笹野高史岸部一徳温水近藤芳正など芸達者が並びますから観ていて飽きないですね。

黒駒の勝蔵は佐藤浩市ですが、そんなに出てきません。この対決よりも三馬政との対決がメイン。でもこの役の竹内力がひと頃の本田博太郎のような演技であまり合わず浮いていました。ああいう演技は小柄な本田さんから滲み出るものがあり、悪人の中でも卑劣に見えるから良いのであって、竹内力の今回の演技だと大味で単なるお馬鹿さんにしか見えないのがツライ。多分あれではモテないだろうし。逆に冷徹で寡黙な男に設定した方が良かったのではと思います。

ま、なにはともあれ、眉間にしわ寄せて観る芸術作品とは違い、気軽にぶらりと映画館に立ち寄って、小一時間楽しく過ごして家路に着く、こういう王道の娯楽作品っていうのは必要ですよね。映画本来の楽しさを思いださせてくれる1本です。

9月より角川シネマ新宿、シネカノン有楽町2丁目などでロードショー
http://www.jirocho-movie.jp/



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