空飛ぶ自由人・2

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ドラマ『終わりなき夜』

2023年09月01日 23時00分00秒 | 映画関係

[ドラマ紹介]

2013年1月27日深夜
ブラジルのリオグランデドスル州サンタマリアの
ナイトクラブ「キス」で火災が発生、
242人の若者が命を失った。

本作は、その事件に基づくリミテッドシリーズ。
ジャーナリストであるダニエラ・アルベックスの著書を原作に、
今日まで続く、犠牲者の親や生存者たちによる
正義を求める闘いを描く。

そのナイトクラブは、
700人の定員に1000人を詰め込み、
入り口は一つしかない。
バンドはステージで花火を使用、
その火が天井に燃え移り、
天井の防音素材が有毒ガスを発生、
ほとんどの犠牲者が火よりもガスで命を落とした。

最初の2話で、
火災の状況を克明に描写する。
火事の知らせを受けた家族は現場に直行。
息子や娘の消息を求めて走り回る。
やがて、遺体の中に子どもを見つけての悲嘆。
犠牲者が若者ばかりで、
父母は初老の夫婦。
子どもの成長を楽しみにしていたのに、
その希望を断たれた悲しみが痛々しい。

やがて、警察の捜査で、
ナイトクラブは営業許可を取り消されており、
再開の申請中だったこと、
防音素材は防火素材ではないのを使用、
消防の検査もずさんで、
市役所もその不備を把握していたことが分かる。
バンドが使った花火も燃え移らない室内用ではなく、
安価な野外用のものを使っていた。

検察は店のオーナーやバンドの責任者など4名を
業務上過失致死傷罪で起訴するが、
遺族は消防や市役所職員まで含めた
28名の起訴を求め、対立する。
市長も危険を認識していたはずだという。
しかし、検察は法律で定めたものしか起訴できない、という。

検察を突き上げた遺族に対して、
名誉棄損で訴えられたりする。

命は助かったものの、
片足を切断した女性、
全身ケロイドの男性が
けなげに生きていく姿が涙をさそう。

ブラジルの裁判制度について、
分からないところが沢山あった。

火災から8年後の2021年、
オーナーらに対する有罪判決が出たものの、
控訴となり、
今だ次の裁判の予定はないという。

事件から6年後の裁判で、
遺族会の会長が語る言葉が胸に迫る。

「私たちが問うているのは、
命に価値があるかどうかということです。
罪のない若者242人の命に価値があるのかどうか。
遺族や残された友人が
6年以上苦しむ価値があるのかどうか。
正義はあるのでしょうか。
同じことが起きないよう、
誰かが責任を負わなければなりません。
私たちは6年半も判決を待つ被害者の遺族です。
正義を求めてずっと闘ってきました。
私たちの人生は空っぽです。
でも、裁きが下れば、安息は得られるはずです」

監督はジュリア・レゼンデカロウ・ミネム

Netflixで配信中。
5話完結、計3時間34分。