[映画紹介]
スペイン産のサスペンス映画。
題名に魅かれてた観た。
ただ、これは日本で勝手に付けた邦題で、
原題は「Todos los nombres de Dios 」。
意味は、「すべての神の御名」。
WOWOWで日本初公開。
タクシー運転手のサンティことサンディアゴ・ゴメス・ラサレテは、
夜勤明け最後の客を空港まで乗せて、
妻にもうじき帰るという電話を入れた時、
空港で爆発が起こった。
負傷した青年を助け出し、病院に運ぼうと乗せると、
青年は銃を突き付け、この町を出ろと命令する。
青年は爆弾付きベストを着ており、
テロ組織の一員で、どうやら爆破を失敗したらしい。
治安警察は対策本部を立ち上げ、
防犯カメラの解析で、
テロ犯は3名であることを突き止めた。
爆発は2度だったので、
もう1人は失敗して逃走しているようだ。
それがサンティが助けた青年。
やがて、商店の監視カメラから、
タクシー運転手が人質となっているらしいと判明する。
サンティは青年を説き伏せ、自首させようとするが、
夜勤明けの眠気で事故を起こしてしまい、
やって来たテロの首謀者に青年は射殺され、
サンティは殴られ、気を失ってしまう。
目覚めた時、サンティの体には爆弾ベストが付けられており、
センサーで立ち止まると爆破が起こると告げられる。
サンティは警察の保護を受けたが、
歩くのを止めるわけにはいかず、
林立するビルの中、
警固車両と共に、
マドリッドの町を歩き続けるが・・・
一定の速度に落ちると爆発が起こる仕掛けは、
「スピード」(1994)や「新幹線大爆破」(1978)がある。
本作は、その徒歩版。
歩いていることを感知する万歩計みたいなセンサーで、
立ち止まると爆発が起こる、
というのは、かなりユニークな設定。
身も蓋もない邦題通りの展開になるのが
ようやく映画のほぼ半分くらい。
そこから、どうやって爆弾を外すかのサスペンスになる。
対策本部では、
どこか市民の被害が少ない場所にサンティを連れて行って、
そこで爆発させる、
つまり、サンティの命を犠牲にすることも考えるが、
女性指揮官は、それは最後の手段と主張する。
[以下、ネタばれしているので、
観る予定の方は、読まないで下さい。]
歩いている情景はテレビで生放送され、
それをテロ首謀者が監視していることから、
フェイク映像を流し、
その間に、装甲車の中にサンティが入ると、
ウォーキングマシーンがあり、
その上を歩きながら、
爆弾処理班が南京錠をカットし、
爆弾ベストを外す、
という解決法。
ウォーキングマシーンに、そんな活用法があったとは。
その間に、捜査本部での女性指揮官の活躍や、
サンティの家族、青年の家族の描写も挟まる。
後半はもっともっとアイデアを出し合ったらよかったのではないか。
人々が逃げ出した建物の回廊を歩き回る様や、
都会の無人の道路を、
装甲車に囲まれながら、
ひたすら歩くサンティの姿がなかなかシュール。
多分、監督はこの絵を撮りたかったんだろうな。
だったら、マドリードの名所を歩くサンティの姿を
もっと描いたらよかったのではないか。
監督はダニエル・カルパルソロ。
サンティを演ずるルイス・トサルは、
「暴走車ランナウェイ・カー」(2015)にも出ていた人。
そういえば、この設定、
「暴走車ランナウェイ・カー」に似ている。
「暴走車ランナウェイ・カー」は、
リアム・ニーソン主演の「バッド・デイ・ドライブ」(2023)のように
アメリカやドイツ、韓国でもリメイクされているので、
本作もリメイクされるかもしれない。
マンハッタンの道路を、
爆弾ベストを来て歩く孤独な男の姿は絵になるだろう。
いや、東京のレインボーブリッジを
一人歩く主人公の姿も面白い。