空飛ぶ自由人・2

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映画『ペナルティループ』

2024年03月25日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

岩森淳は恋人の唯を何者かに惨殺されてしまう。
その犯人・溝口に対し、
綿密な計画を立てて復讐し、刺殺し、
池に沈めるが、
翌朝目覚めると、前日に戻っており
溝口も生きている。


同様な計画で再び殺そうとするが、
溝口の方にも殺された記憶が残っており、
計画を察知して逃げるために、
微妙に殺人方法は変更を重ね、
最後は溝口殺しを果たす。


そうした日々、
同じ6月6日が繰り返されるうち、
次第に殺す側と殺される側に
不思議な友情連帯感のようなものが生れて来る。
やがて、「今回が最後」という告知がなされ、
溝口にも伝えた上で殺人する。
すると、次の目覚めは6月7日。
タイムループが解けたのだ。

その後、岩森は、ある人物に会い、
事態の秘密が解明される・・・

という、私の好物、タイムスリップものの一つ。

ちょっと潮谷験の「時空犯」と似ている気がするが、
同じ日が繰り返されるというのは、
先行作品が沢山ある。
それを殺人にからめたのが新機軸。
更に殺された側も記憶が継続するのが目新しい。

恋人が殺された時の岩森の職業は、
建築物のミニチュア製作者だったが、
ループの中では、
植物プラント工場の技術者ということになっており、
溝口は同じ工場の作業員。
どうやって溝口を犯人として特定できたかは、
後になれば推測できる。

段々、殺すの飽きてきて、
ボーリングを一緒に遊び、
「もう、今日は殺さない」と宣言しても、
どうしても、溝口を殺すことになってしまう。
その現場にいた人物は、
「あなたは、『同意』していますから」
と謎の言葉を言う。

殺される方も慣れてきて、
「殺すよ!いい?」、「OK!」みたいなノリになって、
このあたりは、笑える。
繰り返しの反復が
角度や視点を変えて描かれるのは、
よく工夫されていると思う。

8回(多分)続いたあたりで、
終了の告知がなされるのだが、
そこから後は、
一種の「○オチ」と言われるもので、
ああそうだったのか、
とは思うが釈然とはしない。
まあ、タイムループそのものが、
「釈然」の範疇を越えているのだけどね。
その先の展開は、
もっと釈然としない。
恋人の唯の存在が曖昧で、
これも釈然としない。
ラストも釈然としない。

このあたりが
もう少し緻密に作られていれば、
一歩進んだタイムループものになっただろうが、
惜しい。
題材としては、
犯罪被害者の遺族の心の傷の回復の問題なので、
一歩深めれば、傑作になっただろうに。

岩森を若葉竜也、溝口を伊勢谷友介が演ずる。
伊勢谷は事件後の復帰作だが、
いい味を出している。

荒木伸二監督のオリジナル脚本。

5段階評価の「3.5」

新宿武蔵野館他で上映中。

 



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